しなの鉄道新型車両の続報
しなの鉄道が老朽化した115系(ほとんどが1978年製なので、40年が経過したことになります。近年故障件数が増え、JRで115系の廃車が相次いでいることから、部品の調達が困難になっているようです)の置き換え用に新型車両を投入する(観光列車以外をすべて置き換えます)という話は以前にも書きましたが、その続報です。
新型車両の投入期間は2019年度から2026年度の8年間。26編成52両を投入します。総事業費は約110億円で、国が1/3、長野県が1/6、沿線市町が1/6、しなの鉄道が1/3の割合で負担します。車両を製造するのはJR東日本系列の株式会社総合車両製作所、軽量ステンレス鋼です。車椅子対応洋式トイレを備え(現行車両にはトイレすらありません。そのため、トイレを求める声は多くありました。し尿の処理施設を小型化することができ、コストも下がったので、今回、車両にトイレを設けるようにしたのです。し尿処理施設は戸倉の車両基地内に1億円かけて整備します)、自動制御方式によって快適な車内温度を設定することができます。ドアの開閉はボタンを押して行い(重たい扉を手で開ける必要がありません)、台車は空気ばねです。使用電力量は半分程度になり、運用コストとCO2を削減することができます。車両検修費等の維持管理コストも減らすことができます。実は、しなの鉄道は115系の置き換えを中古車両で行う予定でしたが、新車にしたほうが使用電力量が半分になるなどの原因で、今後32年間の累計費用が下がるのです。中古を持ってくれば557億円かかるところ、新車なら257億円で済むのです。ホームと車両の段差は210ミリになり(115系は305ミリ)、かさ上げされた場所ではほぼフラットになります。座席の横幅は430ミリから540ミリに拡大され、ゆったりとなります。
座席配置は2パターン用意します。3編成つくられるライナー用(定員228人、うち座席80席)と一般用(定員270人、うち座席100席)です。投入初年度(2019年度、実際の運行は2020年7月ごろから)は、ライナー用を3編成投入します。収益性を考慮しての判断です。ロングシートにもクロスシートにもなるライナー用車両は朝夕の有料ライナーとして使用します。有料のライナー列車は2015年3月以来の復活で、現行の快速の一部を有料ライナーに変更します。朝夕以外は座席シートをロングシートにして、一般車両として使用します。休日は観光用の有料ライナーとして走らせます。休日は北しなの線にも乗り入れます。残りの23編成はセミクロスシートの一般用です。ただ、E129系のようにクロスシート部分は少なく、ロングシートが主体です。
(追記)
115系を改造した「ろくもん」にはトイレがありますが、このトイレについてはバキュームカーで対応しています。
(参考:しなの鉄道ホームぺージ http://www.shinanorailway.co.jp/news/20180531_torishimariyakukai_syaryou_gaiyou.pdf、信毎web http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180601/KT180531FTI090012000.php、日本経済新聞ホームぺージ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31216500R30C18A5L31000/、「鉄道ジャーナル」2018年12月号 鉄道ジャーナル社、東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/307833?page=2)
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