日田彦山線、輸送密度は131人しかいないが鉄路で復旧?
2017年7月の九州北部豪雨で日田彦山線は大きな被害を受け、一部区間は不通のままです。久大線はこの7月14日に復旧しましたが、日田彦山線はなかなか話が進みませんでした。
ところが、20日に福岡市で沿線自治体との協議会が開かれました。ここで、2019年4月までに復旧方法や費用負担について話し合い、早期に着工することで合意したという見かたがあるようです(ただし、被害が大きいため、運転再開時期は未定です)。
復旧に当たってのネックとなっているのが、70億円と言われる復旧費。JR九州は自社単独での復旧は困難だと考えています。そこでコスト削減策が考えられ、橋梁を架け替えではなく修繕にすることにより、鉄道の復旧費用を56億円に抑えました。改正鉄道軌道整備法も使います。この法律を適用させることによって、国と自治体が最大1/4ずつ負担します。上下分離にすれば、国と自治体の負担は最大1/3になります。
地元とすれば、鉄道の復旧はありがたい話でしょうが、JR九州が提供したデータ(不通区間の添田-夜明間の2016年度データ)を見る限りでは、日田彦山線は鉄道を走らせるだけの需要のある路線とは思えません。運賃などの収入は年間2800万円であるのに対して、運行経費や車両メンテナンスなどの費用は10倍以上の約2.9億円。輸送密度はたったの131人です(しかも減り続けています)。JR北海道の札沼線などと同じレベルです。バスで十分で、鉄道が廃止になっても文句は言えない水準です。鉄道として維持するのが不適当なところに資源をつぎ込むことによって、鉄道がその能力を発揮することのできる路線への手当がその分手薄になってしまいます。投資が必要な路線の足を引っ張ってしまうのです。しかも、JR九州は復旧した後も鉄道を維持することができるように自治体に協力を求めていますが、乗客増加策として地元が提示しているのは、周辺景観の整備や駅へのアクセス向上ぐらいで、そう効果的とは思えません。地元にとっては悪いですが、名誉ある撤退を望みたいところです。
(参考:産経ニュース http://www.sankei.com/region/news/180721/rgn1807210034-n1.html、毎日jp https://mainichi.jp/articles/20180723/ddl/k44/040/138000c)
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