福井まで特急を存続させると年7億円収入減
北陸新幹線が敦賀まで延伸すると、「サンダーバード」等の特急は敦賀止まりとなり、福井や金沢へは階段の上り下りが必要となる乗り換えが必要となります。金沢やその先なら敦賀の乗り換えが面倒でも、所要時間の短縮が図れます。北陸新幹線のフリーゲージトレイン導入を断念したことが明らかになっても、石川県としては反発していません。今でも乗り換えがいる金沢以遠なら、なおさらです。ところが福井の場合は所要時間の短縮はほとんどなく、乗り換えの手間だけが加わります。そのため、特急の福井への直通を求める声が強いです。
それでは、福井県の望み通り、特急が福井まで直通すれば、どうなるのでしょうか? 9月11日の福井県議会予算決算特別委員会で報告された内容によれば、並行在来線を運営する第三セクターの収入が年間7億円減少するとのことです。北陸新幹線金沢開業のときに、関西方面からの特急を富山まで乗り入れるという話がありましたが、それと同じ結果が出ました。特急を増やすとその分だけ貨物列車の線路使用料が減るからです。
北陸新幹線金沢開業のときは、特急を富山まで延伸することに意味がありました。富山-金沢間は短いので、新幹線に乗り換えるロスが生じます。在来線特急が富山まで直通すれば、関西との需要はほぼカバーできます。しかし、敦賀開業の場合は、福井まで特急を直通しても、関西との需要をカバーすることができません。福井の人はともかく、正直言ってあまり意味はないのです。新快速を福井まで延長するというアイデアを出している人もいますが、新快速だと遅すぎて意味がありません。姫路方面まで走る新快速に交直流の車両も用意しなければならず、誰の得にもなりません。もちろん、JR西日本は特急や新快速の福井乗り入れに否定的です。
結局、最善の策は福井県がお金を出してでも、新大阪までの全線開業を早めることしかありません。福井県がお金を出してでも福井県内の利便性向上をしたいなら、JR西日本に特急の乗り入れを強制させるのではなく、自分たちだけでできる快速や普通の増発をしなければなりません(ちなみに、2両編成の普通列車を福井-敦賀間で1往復させると、追加でかかる経費は年間2900万円となります。普通列車の増発で貨物列車の線路使用料が減ることを考えると、普通列車で年間3700万円を稼がない限り、増発の採算が取れないということになります)。521系はお金を出せば自分たちでつくることができるのですから。
(参考:福井新聞ホームぺージ http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/698010、http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/697678、http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/703173、「鉄道ジャーナル」2019年10月号 鉄道ジャーナル社)
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