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近江鉄道の輸送密度

 近江鉄道は1898年に彦根-愛知川間を開業して以来、120年の歴史を誇る鉄道です。その間、地元の人たちの足として使われてきましたが、ほかの地方鉄道と同様、厳しい状況となっています。その現状について、近江鉄道から「近江鉄道線の経営状況について」というタイトルで説明がありました。

 近江鉄道の利用者数についてから説明します。一番多かったのは1967年度の1126万人。その後減り続け、2002年度には369万人にまで落ち込みました。その後、新駅(2006年フジテック前、2008年スクリーン)を開業したことにより、2017年度には479万人にまで回復しています。営業損益は1994年度に赤字に転落して以来24年間連続しての赤字で、2017年度は3.5億円の赤字(営業収益11.3億円、営業費用14.9億円)、営業損失は2017年度で40.3億円にも上ります。当然ながら信号の自動化、駅の無人化、ワンマン運転の実施などの経営努力は続けていますが、それでも営業赤字は拡大しています。ただ、施設が老朽化しているため、設備投資をむやみに抑えることはできません。老朽化対策として今後10年間で、これまでの10年間に比べて約4割(15.7億円)の増加が必要とされています。約56.5億円の設備投資が必要とされています。主な内訳はレールの取り替え、橋の補修、踏切道の補修などの線路関係が14.6億円の増加、車両の置き換えなどの車両関係が4.3億円の増加です。しかも沿線の人口は2015年をピークに減少に転じ、長期的には輸送人員の減少につながると考えられています。

 そして、鉄道が使われているかどうか一目でわかる、輸送密度はどうでしょうか? 区間ごとに分けたデータが出てきました。2017年度のデータで、米原-彦根間が692人、最混雑列車の乗車人員は64人、彦根-高宮間が3058人、最混雑列車の乗車人員は167人、高宮-八日市間が1559人、最混雑列車の乗車人員は175人、八日市-水口間が1176人、最混雑列車の乗車人員は167人、水口-貴生川間が1485人、最混雑列車の乗車人員は109人、高宮-多賀大社前間が598人、最混雑列車の乗車人員は110人、八日市-近江八幡間が4681人、最混雑列車の乗車人員は253人です。近江鉄道全体の輸送密度は1902人です。ほとんどの区間で輸送密度は2000人を下回っています。路線の維持が難しいとされる数字です。ただ、ほとんどの区間で最混雑列車の乗車人員が100人を上回るため、バスなどで対応することが難しい状況となっています。また、車両基地が彦根にしかないため、例えば(彦根から離れた)八日市-近江八幡間だけを存続させるということはできません。しかも、滋賀県が調査を委託した地域公共交通総合研究所(岡山市)によれば、鉄道を廃止してバスに転換すれば、車両の購入などの初期投資に約30億円が必要となり、利用者は鉄道に比べて4割減るとのことです。部分的にはともかく、大規模な鉄道の廃止は難しく、滋賀県や沿線自治体が支えるのが妥当と思われます。
(参考:近江鉄道ホームページ http://www.ohmitetudo.co.jp/file/group_oshirase_20181218.pdf、京都新聞ホームページ https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181227000142)

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