国交省、青函トンネルから貨物列車を追い出せず
北海道新幹線は青函トンネルを含む区間で在来線(貨物列車)と共用しているため、スピードが出ません。3月にスピードアップされたものの、青函トンネルなど約82キロの区間では、最高速度が時速160キロに制限されます。新幹線がその能力を発揮できていないのです。
そこで国交省は、2018年の秋から、青函トンネルから貨物列車を全面撤退させることを考えていました。青函トンネルから貨物列車がなくなれば、新幹線の所要時間が12分短縮されるのです。ところが、追い出される貨物列車を利用している農業関係者からの反対があったこともあり、貨物列車の全面撤退を断念しました。
現状の鉄道輸送を海上輸送に切り替えるのが難しい以上、貨物列車を追い出すのは無理です。新幹線に貨物列車を追い出す資格はなく、当面は狭軌の貨物列車で運ぶのが妥当なところでしょう。ただ、長期的な視点で考えると、このまま在来線で貨物列車を走らせるのは適当ではありません。貨物列車を残すことによって函館近辺を除いて旅客が期待できない並行在来線を残さないといけません。逆に言えば、本州から苫小牧あたりまで船で結べば、函館付近を除いて鉄道を廃止して、維持費を節約することができます。残った函館付近は標準軌にすれば、新幹線との直通ができます。また、貨物列車は適切なコストを負担していません。基本的には自前の線路を持たないJR貨物は、旅客会社にお金を払って列車を走らせていますが、そのお金は安いのです。本来払わなければいけない負担をしていないのです。
なぜJR貨物の線路使用料が安いのでしょうか? 安くしなければ利用してくれないからです。これを解決するには、貨物列車を速くしないといけません。すなわち、新幹線上に貨物列車を走らせるのです。現状ではまだまだ運ぶことのできる量が少なく、改良の余地が大きいのですが、うまくいけば適切な線路使用料を払って、かつJR貨物も儲かる、利用者も便利というウィンウィンの関係を築くことができます。
(参考:北海道新聞ホームページ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/336172/、Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190820-00010002-doshin-hok、headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190820-00000003-hbcv-hok&pos=5)
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Comments
>残った函館付近は標準軌にすれば、新幹線との直通ができます。
→これはよく言う人が多いが、そもそもその工事を誰が負担するのでしょうか。新幹線が札幌開業時に並行在来線として移管する区間に、JRが負担するわけがありません。(新幹線が函館駅に入らないから電化と言う形だった。本来は、電化をする予定もなかった。)
Posted by: たかちゃん | 2019.08.22 07:48 AM
たかちゃんさん、こんばんは。
* →これはよく言う人が多いが、そもそも
費用負担の話はともかく、飛び地となった函館付近を狭軌で維持する必要はありません。お金を出して標準軌にして直通させたほうが有意義です。
Posted by: たべちゃん | 2019.08.22 09:13 PM