名古屋市科学館の前にレールを敷いてSLを走らせる?
名古屋でのSLについて、あおなみ線での運行は諦め、名古屋市科学館にあるB6(1904年にドイツでつくられました。愛知県の今のJRに当たる線路で走っていました。SLの全長は10メートルです)という蒸気機関車の車輪だけをモーターで動かすというところまでお伝えしましたが、新しい動きがありました。B6が線路の上を走るのです。
線路は名古屋市科学館の敷地に敷きます。約120メートルの線路を敷き、そこにB6を走らせます。環境に負荷がかかる蒸気機関ではなく、圧縮空気で走らせます。蒸気で走るSLと同じように、「プシュー」という音や煙を再現することができます。
やはり問題となるのはお金。現在、B6は大阪市内の工場で解体されていて、これを走行できる状態にするだけで最大3.3億円もかかります(蒸気機関だと4.8億円かかるので、それよりは安いです)。線路の敷設費用などを含めるとさらに膨れ上がります。名古屋市教育委員会はこの2020年1月から復元工事の設計を始めるようですが、そこまでして走らせる価値があるのかは難しいところです。後ろに全長10メートル程度の客車をつなぐので、実際にお金を取って走らせても良いでしょうが(通勤通学の足であるあおなみ線とは違って、単なる遊戯施設と割り切れます。営業している鉄道なら求められる安全装置も簡略化できます。科学館のアトラクションのひとつと言えます)、SLに乗りたいなら大井川か京都に行けばいいのですから、難しいところです。
もっとも、河村名古屋市長はこれでも不満です。レールが120メートルしかないのは短いとして、白川公園の南西まで330メートルの長さにする案を持っています。客車は10メートルほどの小型客車ではなく、JR東日本から旧型客車2両を取得します。330メートルにすると、120メートルでは要らなかった踏切が必要になってきます。当然ながらコストは増大します。しかも、まだ話には先があります。第一段階は、名古屋城の南の道路を1車線潰して、SLを走らせます。そして、最終目標は、あおなみ線での運行です。あおなみ線で走らせることを諦めていないのです。いくらSLを走らせたくても、遊戯施設が限界でしょう。
(追記)
名古屋市科学館にあるSLを敷地内で走らせることについて、市議会の理解を得られず、名古屋市教育委員会は計画を白紙撤回することになりました。
(参考:中日新聞ホームページ https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019122502000080.html、https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020010690213115.html、https://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20191226/CK2019122602000057.html、朝日新聞1月15日朝刊 中部14版、朝日新聞2月13日朝刊 中部14版)
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