釧路駅の高架化構想
道東の中心都市、釧路。この街にも鉄道の高架化構想があります。釧路の中心市街地を根室線が走っていて、市街地を分断しています。地震の際、津波から逃れるために線路を越えて海から離れた北側に行くには、駅を迂回して跨線橋を渡るか、駅の地下道を通らないといけません。一刻も早く北側に行かないといけないのに、時間のロスです。高架化ができれば、高架の線路の下に新たに道路を通すことができ、すぐに北側に避難することができます。余談ですが、現在の釧路駅は3面5線ですが、高架化によって2面4線になります。
しかし、高架化というものはすぐにはできません。釧路市は2020年度中に釧路駅の高架化を盛り込んだ駅周辺整備の指針、「釧路都心部まちづくり計画」の事業構想編を策定しますが、着工まで少なくとも7~10年かかります。実際に完成するのは、まださらに先です。費用負担はこれからです。また、札幌側には車両基地があり、その部分は高架化の対象外です。市街地を分断し続けるのです。
さらに言えば、札幌側はともかく、根室側や釧網線は利用者が少なく、廃止になることもあり得ます。もし北海道や地元市町村がやる気がなくお金を出さなかったら、釧路駅は終着駅です。札幌側はともかく(車両基地の部分には地下道などを整備する必要があるでしょうが)、根室側は何もしなくても北側に行くための道路を整備することができます。高架化の意味はかなり減ってしまいます。
(参考:釧路市ホームページ https://www.city.kushiro.lg.jp/common/000016347.pdf、北海道新聞ホームページ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/413855)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
「JR北海道」カテゴリの記事
- JR北海道、2025年度中に特急全車指定席へ(2025.04.30)
- 札幌-室蘭間高速バス、4月からほぼ半減(2025.03.31)
- 「ノロッコ号」、2026年度も運行(2025.04.15)
- 留萌線全線廃止後の交通体系(2025.04.07)
Comments
500年間隔地震で甚大な被害が想定されるので、津波の高さや威力を勘案した高架橋、駅にしないといけないですね。これからの設計で上記津波を考えなかったら、釧路は過去に此処に街はあったが津波で消えてしまったとなりかねません。浜名湖にあるようんz砂浜の土を活用した土砂ダム形式の高さ15m程度の防潮堤と合わせた設計が必要でしょう。
Posted by: 仙台藩主 | 2020.05.22 07:28 PM
仙台藩主さん、こんばんは。
* 500年間隔地震で甚大な被害が想定されるので、
本気で津波対策を考えるなら、駅を高架にするだけでは足りず、街全体を陸前高田みたいにかさ上げしないといけません。少なくとも、海岸に巨大防波堤を張り巡らさないといけないでしょう。
もっとも、こうなったら鉄道で議論する範囲を超えています。
Posted by: たべちゃん | 2020.05.22 10:09 PM
内閣府防災担当の「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」から見解が出されたことから、ブログ主の仰る通り、釧路駅高架事業は、鉄道事業者のみで計画出来る範疇を超えてるなぁと思った次第でコメントさせて頂きました。
税金使ってのプロジェクト故、内閣府の見解を無視した計画は有り得ず、どう関係箇所と調整しながら計画が進むのか見守りたいなぁと。一方、道東道は結果論でしょうが巨大津波を考慮したルート選定となってる様なので、昔の巨大津波を考慮してないルート選定、設計となってる鉄道インフラは今後どうなるか興味があるところです。
Posted by: 仙台藩主 | 2020.05.24 10:09 AM
仙台藩主さん、こんばんは。
* 一方、道東道は結果論でしょうが巨大津波を考慮したルート選定となってる様なので、
以前の記事( https://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2018/11/post-8a10.html )でも書きましたが、高速道路は赤字でも税金を投入して津波に対応したものがつくられます。しかし、鉄道はそのような税金の投入はなく、ただ津波が来ないことを祈ることのみです。
Posted by: たべちゃん | 2020.05.24 08:31 PM