青函トンネル内時速200キロ運転の詳細
北海道新幹線と貨物列車は、青函トンネル等の区間を共用しています。そのため、新幹線は最高時速を160キロに抑えて走っています。しかしそれでは、時間がかかってしまいます。札幌までの全線が開業しても、東京-札幌間に5時間近くかかり、航空機から転移する客はほとんどいないということになってしまいます。青函トンネル等でも北海道新幹線がフルスピードを出すことができればいいのですが、青函トンネルは貨物列車にとっても重要な路線です。追い出すわけにはいきません。
そこで考え出されたのが、新幹線の運行時間と貨物列車の運行時間を分け、新幹線の運行時間だけ最高速度を時速200キロにします。この時速200キロ運転は2020年度中に行われますが、その詳細が明らかになりました。
まず時速200キロ運転を行うのは、毎日ではありません。貨物の需要が減る、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆といった特定の期間だけ行います。しかも、その中でも新幹線が時速200キロを出すことができる時間帯は決まっていて、始発から15時半までです。15時半から最終までは従来通り時速160キロ運転です。
そして、時速200キロは新幹線と貨物列車が線路を共用する全ての区間で行うのではありません。青函トンネル内に限定されるのです。なぜかと言えば、時速200キロ運転を行う前に、必ず確認車というのを走らせないといけません。前方に線路上に支障物がないことを確認してから、新幹線を時速200キロで走らせることができるのです。ところが、時速200キロ運転の区間が長いとその分だけ確認車を走らせる区間が長くなり、確認にかかる時間も長くなります。新幹線も貨物列車も走らせることができない時間が増えるのです。そこで時速200キロ運転を行う区間を青函トンネル内のみに限定し、確認にかける時間を短くしました。また、青函トンネル内なら構造が複雑な三線軌分岐がなく、気象の影響を受けにくいことも、時速200キロ運転区間を青函トンネル内に留めた理由です。
最後になりますが、時速200キロ運転を行うのは下りだけで、上りはしません。なぜかと言えば、下りは新幹線と貨物列車の運行時間を分けることができるのですが、上りはうまく分けることができなかったからです。
(参考:「鉄道ジャーナル」2020年1月号 鉄道ジャーナル社、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/679cb443a8808fbf8d38ebbd2fdf72059af161c6)
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Comments
高速化といっても非常に限定的なものになってしまいそうですが,現状ではやむを得ないですね.
根本的な解決策が見つからない以上は青函トンネルを除く区間を高速化する事で対応するしかないでしょう.
札幌延伸時にまでは盛岡以北も高速化されるでしょうから,ALFA-Xが実用化されて,青函トンネルを除く整備新幹線区間も含めて360km/h運転となれば青函トンネル区間が遅くてもかなり時間短縮できて4時間30分を切ることも十分可能になりそうです.
さすがに4時間を切るとなると青函トンネル区間の問題が解決ができない限り無理そうですが...
Posted by: 84axgd86dm70 | 2020.06.07 11:29 PM
84axgd86dm70さん、こんばんは。
* 根本的な解決策が見つからない以上は
青函トンネルをもう1本掘ることは難しいですから、それ以外の区間でできる限りの高速を図ることが欠かせません。
Posted by: たべちゃん | 2020.06.08 09:47 PM