福井県並行在来線の運賃は3パターン&将来はえちぜん鉄道や福井鉄道と合併か?
2023年春に北陸新幹線が敦賀まで延伸すると、並行在来線の北陸線金沢-敦賀間は第三セクターになります。その第三セクターの運賃はどのようになるのでしょうか?
福井県は並行在来線の運賃水準を3パターンで考えています。(1)現行水準(普通運賃、通勤定期、通学定期ともに変わらず)、(2)あいの風とやま鉄道やIRいしかわ鉄道の当初計画水準並み(普通運賃と通勤定期の1~5年目は1.15倍、6~11年目は1.20倍。通学定期は1.05倍)、(3)えちごトキめき鉄道の現行水準並み(普通運賃と通勤定期は1.30倍、通学定期は1.15倍) の3パターンです。
利用者にとっては運賃が安いほうがいいのですが、特急がないので赤字確実です。福井県内の並行在来線の輸送密度は約5100人と推測され(あいの風とやま鉄道は約7700人、IRいしかわ鉄道は約15000人です)、福井県の収支予測調査によれば、開業初年度は8.2億円の赤字、開業10年度には15億円に膨れ上がります。赤字の分は福井県や沿線市町が負担して基金を積み立てておく必要があります。その額は(1)の場合85~90億円、(2)の場合65~70億円、(3)の場合55~60億円と、値上げすれば少し下がります。基金は福井県と沿線市町が半分ずつ負担する方向です。運賃を上げると基金が減りますが、利用者も減ります。逆にすれば福井県や市町の負担が増えます。福井県は今後、市町や利用者団体、経済団体の意見を聞いて、9月の定例県議会で議論を行い、2020年中に運賃の水準と基金の規模を決めます。なお、第三セクターの開業準備や内部留保のための出資金については、2021年に増資を行うようです。増資の額は15億円ですが、このうち福井県や民間が出すのは3億円。残りの12億円は沿線にない市町を含めた全17市町で負担します。人口や利用者数に応じて負担額を決めます。
話は変わりまして、福井県には2つの私鉄があります。えちぜん鉄道と福井鉄道ですが、どちらも行政やそれに準ずる団体が関与する私鉄です。福井県は、将来の話ですが、並行在来線会社、えちぜん鉄道、福井鉄道を一体化することを考えているようです。効率化を進めるのが目的で、すでにえちぜん鉄道と福井鉄道の間では、資材の共同調達や工事の一括発注を行っていて、一定の効果を挙げています。これに並行在来線を加え、連携していきます。その後、JR西日本から並行在来線会社に出向する社員がいなくなり、プロパー社員だけになる開業10年後を目途に、経営体制を再検討するとのことです。3社との間で給与や運賃の水準が異なるといった問題点がありますが、検討する価値はあるでしょう。
(参考:福井新聞ホームページ https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1157377、https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1163535、https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1147740)
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