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交通政策審議会答申案のその後

 交通政策審議会において2016年に発表された、「鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果」。以前にも書きましたが、ここに載った路線プロジェクトの全てができあがるものではありません。文章をよく見ないとわかりませんが、実現可能性の低いものも取り上げられています。正直言ってバスの整備で足りるものもありますし、既存の鉄道を使えば今のままでも対応できるものもあります。今回は参考で取り上げた雑誌の記事を題材に、気になったところを取り上げていきたいと思います。

 まず、鉄道の優れたところと言えば大量に人や物を運ぶことができること。車では1時間に1700台しか通ることができませんが(片側1車線の場合)、鉄道なら10両編成の列車を3分間隔で走らせると1時間に3万人を運ぶことができます。バスでも1時間に1000本連節バスを走らせると、中央線のラッシュ輸送に相当する1時間に12万人を運ぶことができますが、3.6秒間隔でバスが走らせないといけません。

 もっとも、建物が建ち並んでいる大都市で新たに鉄道をつくるとなると、かなりのコストがかかります。ですから、ローカル線の立場からするとうらやむようなレベルの輸送密度が見込まれても、採算が取れるとは限りません。数万人の輸送密度が見込まれても採算が取れるとは限らないのです。鉄道建設のコストを下げるためにLRTをつくるというアイデアもありますが、LRTのキャパは小さいのです。単車の路面電車の場合は1両に90人、連接車の場合でも150人程度しか乗ることができません。普通の路線バスで75人、連節バスで120人乗ることができることを考えると、輸送力の面で優れているとは言いがたいです。かといって、新交通システムやモノレール、ミニ地下鉄だと建設費が高くつきます。鉄道をつくるだけの需要があるならともかく(貨物線など既存の路線を流用できるところは強いです)、そうでなければバスの整備で何とかなるのかもしれません。

 また、LRTの車両費は輸送力の割には高くつくので、それなら大手私鉄の枝線や地方のローカル私鉄のように中古の2両編成で走らせたほうがいいのかもしれません。ホームさえ高床にしておけばバリアフリーになるのです。
(参考:「鉄道ジャーナル」2020年9月号 鉄道ジャーナル社

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