JR九州高速船、ジェットフォイル3隻を売却して、「クイーンビートル」を国内航路転用?
JR九州高速船の新しい船、「クイーンビートル」。本来なら博多-釜山間の航路に使われるはずだったのですが、新型コロナウイルスの影響で就航することができません。せっかくお金をかけて新しい船をつくったのに、使われないままになっているので、維持費だけがかさみ、経営は悪化するばかりです。
そこでJR九州高速船は、会社の規模を縮小することを考えています。出向元であるJR九州に返すほか、希望退職を募るなどの方法で約110人の従業員を70人程度に減らすことも考えています。また、所有する船のうち「クイーンビートル」だけを残して、ジェットフォイルの「ビートル」3隻を売却することも考えているようです。つまり、博多-釜山間航路の運航が再開しても、キャパの大きい1隻で対応するということなのです。なお、比田勝への寄港は無期限の休止になるようです。「クイーンビートル」はジェットフォイルよりスピードが遅く、運航時間が延びるからです。すでにこの方針は対馬市に伝えています。
しかし、このままでは博多-釜山間航路の運航が再開するまで、一銭も稼ぐことができません。日本国籍の船なら、当然国内で運航することができますが、この「クイーンビートル」は税負担の軽減などを考えてパナマ船籍にしているため、基本的には国内での営業運航ができないのです。これは日本だけの規制ではなく、ほかの国にもある規制です。JR九州高速船は特例措置を九州運輸局に申請しました。一時は九州運輸局も前向きだったのですが、全日本海員組合が強く反対し、実現しなかったのです。日本国籍の船は日本人船員を雇用しなければなりませんが、外国船籍の船にはそういう規制がありません。人件費が安い国の人を使います。もしその外国船籍の船が国内航路に入れば、運航コストを下げるために外国人を多く使い、日本人船員の働く場が減ります。そのため、全日本海員組合は強く反対したのです。余談ですが、大型クルーズの船旅でちょこっと釜山などの外国の港に寄るのは、クルーズに使われる船が外国船籍の船だからです。国内の港だけを巡るクルーズはできないので、外国の港を入れているのです。
ともかく、このままでは「クイーンビートル」の働く場はありません。判断ミスか運が悪かったかはともかくとして、このまま新型コロナウイルスの嵐が収まるのを待つだけです。
(追記)
「クイーンビートル」の国内遊覧運航について、3月10日に国交省から沿岸輸送特許を得ることができました。
そこでJR九州高速船は、3月20、21、27日の3日間、沖ノ島への遊覧コースを運航します(島には上陸しません)。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66582790U0A121C2LX0000、西日本新聞ホームページ https://www.nishinippon.co.jp/item/n/669376/、東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/402568、JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2021/03/10/210310_queen_beetle_01.pdf)
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