長崎線から佐世保線が分岐する肥前山口駅。この肥前山口駅があるのは江北町です。人口約9700人の町です。なぜ駅名と町名が一致しないのでしょうか?
肥前山口駅(当時は山口駅。1913年に改称)は1895年に開業しましたが、このときは江北町というのはありませんでした。1932年に山口村など3村が合併して江北村になり、1952年に町になりました。駅名が町名を無視してつけたのではなく、町名の江北のほうが駅名を無視してつけているのです。
その江北町が駅名を変えようとしているのは、町名の知名度アップのため。山田江北町長(2020年の町長選で駅名改称を公約に掲げて当選しました)によれば、佐賀県民でさえ江北町がどこにあるか知らない人がいるようです。全国レベルになれば当然のことで、鉄道の分岐駅として知られた肥前山口のほうが知名度としては高いのは当然です。
駅名を地元の要望で変えるなら、改称にかかる費用は地元が負担します。数億円かかるようです。ただ、江北町が改称を予定している2022年(町制施行70年の節目の年でもあります)には、長崎新幹線が部分開業します。この新幹線開業に合わせて改称すれば、長崎新幹線の分はJR九州などが負担しないといけないため、江北町の負担は減ります。江北町は1億円程度で済むと考えています。江北町は町の知名度を上げるための投資と考えているようです。
もっとも、駅名改称に反対する人もいます。先ほども書きましたが駅のほうが歴史が古いのです。知名度のためなら町名を駅名に合わせてもいいぐらいです。反対派は6402人分の署名を集め、22日、山田江北町長に提出しました。
(追記1)
3月17日の江北町議会で、肥前山口駅の改称のための関連費用などを含めた2021年度一般会計当初予算案が可決されました。
肥前山口駅は2022年秋に江北駅に改称されるようです。
(追記2)
4月21日、JR九州から肥前山口駅の駅名改称についての発表がありました。長崎新幹線武雄温泉-長崎間の開業と同時に、江北駅に改称されます。
(参考:佐賀新聞ホームページ https://www.saga-s.co.jp/articles/-/636278、https://www.saga-s.co.jp/articles/-/646387、 朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASP2K6QW2P2HTTHB003.html、JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2021/04/21/210421_hizsenyamaguchi_ekimei.pdf)
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