九州新幹線、12駅中5駅で当初予測を下回る
この12日で九州新幹線は開業10周年を迎えました。九州新幹線全線開業前の2010年度の博多-鹿児島中央間の輸送人員は440万人でしたが、熊本地震のあった2016年度を除いてほぼ順調で、2019年度には1394万人になりました。全体的に言えば九州新幹線は順調に利用者を増やしてきたと言えますが、九州新幹線には博多を含めて12駅あります。想定通り利用されているのでしょうか?
成功したと言える駅のひとつが熊本。2019年度の熊本の乗車人数は15441人で、全線開業前の想定である13100人を17.9%上回っていました。鹿児島中央はもっと多く、想定は11650人でしたが、実際は74.0%多い20271人になりました。九州新幹線開業によって関西への需要も増えたのです。また、九州新幹線開業前、沿線が心配していたのは、大都市である福岡に人が集まる「ストロー現象」でした。確かに九州新幹線開業によって福岡市に買い物に出かける人が増えています。しかし、熊本市や鹿児島市でも商業施設が充実したので、そこでの買い物客も増えているのです。
ただ、いいことばかりではありません。九州新幹線には12の駅がありますが、1日当たりの乗車人数(2019年度)が想定を上回ったのは7駅だけでした。想定を下回ったのは、新鳥栖、新大牟田、新玉名、新水俣、出水の5駅で、新鳥栖を除いては、想定を30~50%も下回っています。
一番想定を下回ったのが、新大牟田。想定は1150人でしたが、608人しかいません。なぜでしょうか? 政治家が無理に駅をつくったからではなく、新大牟田の立地が悪いのです。市の中心部にある大牟田から7キロほど離れているので、わざわざそこまで行って新幹線に乗る人は少ないのです。福岡ぐらいなら在来線や西鉄の特急でも十分だったのです。JRも格安の切符があって安かったのです。ちなみに、想定は在来線の実績を元に出したものですが、駅が町外れにでき、少々速くなったものの本数が減り、料金が高くなっては使う人が増えないのも当たり前です。ここに大牟田の町自体の人口減少が響いてきます。大牟田の人口のピークは1959年の約20万人、それが九州新幹線開業時の2011年3月には12.6万人に減り、2021年3月には11.2万人に減りました。さらに、両隣に予定のなかった駅ができました。筑後船小屋と新玉名です。博多から距離のある新玉名はともかく、筑後船小屋に駅をつくる意義は見いだせません。
(参考:毎日jp https://mainichi.jp/articles/20210312/k00/00m/020/216000c)
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Comments
この実績から見ても郊外に新設された”新○○駅”はあまり振るわない傾向ですね。
線形上やむを得ず新○○駅になってしまうこともあるとはいえ,やはり新幹線駅の立地条件の重要性が感じられます。
Posted by: 84axgd86dm70 | 2021.03.20 12:46 PM
あの……すいません……
新水俣は見逃して貰えないでしょうか……?
新大牟田と新玉名なら焚き付けなりダーツの的なり好きにして貰っても構いませんので……。
と言いたくなるような数字ですね。
あ、新水俣と出水は久留米と筑後船小屋の間違いやろ?と書き込もうとしたのは……なんかすみません。
Posted by: 日置りん | 2021.03.20 06:55 PM
84axgd86dm70 さん、こんばんは。
* この実績から見ても郊外に新設された
やはり新幹線も町中に駅ができたほうが便利です。
大都市から離れていれば新幹線のスピードが駅の立地の悪さをカバーしますが、新大牟田だと駅に着くまでの時間がかなりのロスです。
Posted by: たべちゃん | 2021.03.20 09:45 PM
日置りんさん、こんばんは。
* 新水俣は見逃して貰えないでしょうか……?
新水俣や出水は、単に大都市から離れているので、都市の規模が小さいだけでしょう。筑後船小屋のように、駅を置くのは誤りだったと言えるところではありません。
* あ、新水俣と出水は久留米と筑後船小屋の
久留米は九州新幹線12駅の中で最も想定からの上回り率が大きく、乗車人数も鹿児島中央や熊本に次ぎます。
Posted by: たべちゃん | 2021.03.20 09:53 PM