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羽越新幹線、奥羽新幹線は果たしてできるか?

 羽越線、奥羽線沿いにもフル規格新幹線の構想があります。それぞれ羽越新幹線、奥羽新幹線というもので、羽越新幹線は富山-新青森間(富山-上越妙高間及び長岡-新潟間は北陸新幹線、上越新幹線として開通済み)、奥羽新幹線は福島-秋田間にフル規格新幹線を建設します。このたび、山形県など6県からなる「羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチーム」は、フル規格新幹線を建設した場合の需要予測や費用対効果などについて調査結果を発表しました。

 まず、羽越新幹線の停車駅は、富山、黒部宇奈月温泉、糸魚川、上越妙高、柏崎、長岡、燕三条、新潟、新発田、村上、鶴岡、酒田、羽後本荘、秋田、東能代、鷹ノ巣、大館、弘前、新青森とします。速達便は富山、上越妙高、長岡、新潟、鶴岡、秋田、弘前、新青森に停まります。奥羽新幹線の停車駅は福島、米沢、赤湯、山形、さくらんぼ東根、新庄、湯沢、横手、大曲、秋田とします。福島-新庄間もフル規格新幹線をつくり、停車駅を整理します。速達便は福島、山形、秋田に停車します。そして、時速320キロ運転した場合の速達便の所要時間は東京-秋田間(新潟経由)が2時間51分、東京-秋田間(山形経由)が2時間23分となります。

 このような羽越新幹線、奥羽新幹線でも条件次第によっては採算が取れるようです。まず、複線ではなく単線でつくり、駅舎を簡略化し、高架ではなく地平もしくは盛土構造でつくります(道路とは全て立体交差にしなければならず、排雪設備は必要となりますが、そこのところは大丈夫でしょうか?)。2つの新幹線を従来通りの方法でつくると約5.5兆円ですが、このように節約すると約4兆円でつくることができます。さらに、社会的割引率を引き下げます。これまでは過去の国債利回りを基に4%としていますが、実際は低金利でこのような国債利回りはありません。2%や3%に引き下げると、費用便益比は上がり、採算が取れるようになります。

 確かに数字を調整すれば採算が取れる結果となりますが、すでに山形、秋田の県庁所在地にはミニ新幹線とはいえ新幹線が通じています。部分的に長大トンネルを掘り(板谷峠仙岩峠)、輸送の安定化とスピードアップを果たすことは必要ですが、フル規格新幹線をつくるまでは至らないというのが現状かもしれません。それならもっとほかのところにフル規格新幹線をつくりたいです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/108324、タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/uetsi-ouu202106/)

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Comments

山形や秋田の場合、フル規格よりも、板谷峠や仙岩峠の新トンネルで対応した方がいいでしょうね。
ただし、奥羽新幹線の基本計画が存在するからには板谷峠トンネルはフル規格対応で作っておいた方がいいでしょう。
一方で仙岩峠トンネルは並行する新幹線基本計画はないからミニ新幹線規格でいいでしょう。

この試算では社会的割引率の設定を複数のパターンで行われているようですが、現在の低金利を考えると4%は高すぎるので、社会的割引率の引き下げは必要だと思います。

Posted by: 84axgd86dm70 | 2023.06.27 11:13 AM

 84axgd86dm70さん、こんばんは。

* 山形や秋田の場合、フル規格よりも、

 トンネルだけをフル規格で掘っておけば、将来需要が増えてフル規格が求められるようになっても、やり直しをする必要がありません。

 少なくとも板谷峠は、フル規格で掘る必要があるでしょう。

* この試算では社会的割引率の設定を複数のパターンで

 確かに4%は高いでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2023.06.27 10:17 PM

羽越線等は、区間によっては廃止対象線並みの輸送密度しかないところもあります。

そんな線区が、採算が取れるって、適当過ぎる数字合わせにしか見えませんが。

ちなみに、北陸新幹線や北海道新幹線も、BC1を超えるとして着工したものの、建設費の高騰で、1を割ることがほぼ確定していますが。

Posted by: かにうさぎ | 2023.07.13 09:20 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* そんな線区が、採算が取れるって、

 現時点の金融事情を考えると、4%という社会的割引率が妥当かどうかは再検討する余地があります。

 社会的割引率次第で採算が取れるか取れないかは大きく変わってしまうのですから。

Posted by: たべちゃん | 2023.07.13 10:30 PM

現在の低金利を考えると、社会的割引率を2%とかに引き下げるのは必要だと思います。
金利が下がっているにもかかわらず、金利が高かった時の社会的割引率のままで計算すれば、B/Cが実態より低く出てしまうでしょうから...
4%のままでは超優良事業以外は事業化されないことになってしまい、必要な投資も行われないということになってしまうと思います。

事業再評価において、当初よりもB/Cが低下したりするのは、事業費の増大だけではなく、事業化時よりも金利が下がっているにもかかわらず、金利が高かった時の社会的割引率のまま再計算してしまっているというのも原因の1つでしょう。社会的割引率を適正な値に引き下げればそれなりのB/Cにはなるでしょう。

Posted by: 84axgd86dm70 | 2023.07.14 06:47 PM

 84axgd86dm70さん、こんばんは。

* 4%のままでは超優良事業以外は事業化されないことになってしまい、必要な投資も

 必要な投資を行わないのは望ましいことではないので、最近の金利の動向を踏まえて社会的割引率を設定するのが望ましいと思われます。

Posted by: たべちゃん | 2023.07.14 09:23 PM

この会議の資料によると、4%での計算は維持しつつ、近年の実態に合わせて2%や1%に引き下げた場合の計算も併記するという方向になるようですね。
なので例えば、4%での計算では1を越えなくても2%での計算なら1を越えるから容認、などといった運用も可能にはなるでしょうね。

今後多少金利が上昇したとしても、昔のような高金利になるとは考えにくいですし、社会的割引率も実態に合った数値に引き下げていくべきでしょう。(どの程度引き下げるかはその時の金利等の事情によって多少変わってくるでしょうけど)

https://www.mlit.go.jp/tec/hyouka/public/09_public_10.html

Posted by: 84axgd86dm70 | 2024.06.10 06:35 PM

 84axgd86dm70 さん、おはようございます。

* この会議の資料によると、

 情報提供、ありがとうございます。4%は現状では高いです。

Posted by: たべちゃん | 2024.06.11 06:21 AM

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