都会の人のお金で地方の鉄道のバリアフリー化も行う?
駅のバリアフリー化を行うためには、多額の費用がかかります。本来なら予算を取ってきて国や地方自治体で負担する話ですが、以前にも書きましたが、国交省はそれを利用者に負担させようとしています。
しかも、話には続きがあります。鉄道利用者に負担させるなら運賃の値上げで対応する話ですが、国交省は運賃ではなく、料金扱いとして徴収します。自社の駅でエレベータやスロープ、ホームドアなどのバリアフリー設備の整備や維持に限って使います。
さらに言えば、料金を負担させられるのは、東京、大阪、名古屋の3大都市圏のJRと大手私鉄に限られます。金額自体は1回10円以下でそれほど高くはないのですが、姑息な手段です。都会の鉄道なら競争力があり、10円ぐらい払っても車などに逃げないからでしょうが、本当に必要なら運賃の値上げで対応すべき話です。料金というのは速く行きたい(特急)とか快適な椅子に座りたい(グリーン車)というときに払うもので、鉄道に乗ったら払わなければならないものは料金ではありません。国交省が運賃の値上げから逃げているだけです。JRなど鉄道会社は、大都市圏や新幹線の収入で鉄道としての使命を失ったローカル線の赤字を埋めています。ですから、値上げすべきは地方路線であり(新幹線や特急については運賃を値上げする代わりに、ダイナミック・プライシングを適用して、繁忙期以外に利用する場合のトータルの負担を減らせばいいのです。「みどりの窓口」で切符を買う人には年中高い運賃・料金を請求しても良いでしょう。ネットへの移行を促す効果もあります)、大都市の路線ではないのです。
さて、国交省は都会の人にバリアフリー費用を負担させて、どうするのでしょうか? バリアフリーは地方の鉄道でも必要ですが(とは言え、新幹線停車駅と主要幹線の特急停車駅を除いて、ほかにどれぐらい必要な駅があるのでしょうか?)、地方の鉄道にとって負担が重いです。そこで国交省は国の予算(2020年度で約130億円)を地方に割り振り、少々の負担を課しても鉄道の利用者が減らない大都市は利用者に負担させるのです。再び言いますが、姑息な手段です。負担する人(大都市)と受益を受ける人(地方)が全くかみ合わないのですから。地方の鉄道のバリアフリーを進めるなら、地方にも追加料金を課さないといけません。10円の負担で競争力がなくなる鉄道ならそれまでですし(地方で鉄道が必要なのは、特急が走る幹線と県庁所在地近辺の通勤鉄道ぐらいです)、車のない人しか使わない鉄道なら、無理して維持する必要もありません。バスで十分です。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20210619-OYT1T50357/)
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