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全国知事会、今ごろになって県をまたぐ旅行、帰省の中止を求める

 1日にオンラインで開かれた全国知事会。ここで、夏休み中の県をまたぐ旅行や帰省の中止を国民に求めるよう、国に対して緊急提言を行うことにしました。

 はっきり言って「今ごろ?」の話です。夏休みの旅行ならとっくに計画が決まっていて、今からキャンセルすると手数料がかかります。そういうことを言うならもっと早くしないといけません。大した保証もないまま生死の境をさまよっている観光業者にとって、書き入れ時の夏を失うのは大きな打撃です。

 そもそも、県をまたぐ移動をなくせば、新型コロナウイルスの感染者がなくなるという保証はありません。移動する人が少なければ感染のリスクは減りますが、一人で静かに列車に乗っているのなら、リスクは小さいです。ビジネスマンが通勤で混雑した列車に乗って県をまたいだ移動をすることはよくありますが、それで感染者が大幅に増えたという話は聞きません。列車内で黙っているからです。酒を飲まず、空いていない限り弁当も食べず、静かに乗れば安全です。同じ県内でも繁華街に行って、店の外でわいわいがやがやと酒を飲んで騒ぐほうが感染リスクは高いです。自宅でも店でもない外で飲酒することを禁じるほうが先決です。

 大体、このような移動をシャットアウトするのは、去年の春か夏の話です。あのころは新型コロナウイルスについてわからないところが多かったのですから、そういう極端なことも許されますが、今はどうすればよいか答えはわかっています。新型コロナウイルスの予防接種を進めることです。今、東京などで新型コロナウイルスの感染者数は増えていますが、高齢者は新型コロナウイルスの予防接種を受けているため、これまでに比べて高齢者の占める割合は低いものとなっています。今やるべきことは、東京などの都会を中心に新型コロナウイルスの予防接種を進めることです。全国どこも同じように進めるのではなく、感染者の多い地域から先に予防接種を進めるのです。

 本来なら最初の緊急事態宣言のときに医療体制について改善をするべきでしたが、それがうまくいかず、世界的に見れば新型コロナウイルスの感染者はそれほど多くないのですが、医療の適切な配分ができないがために、医療体制がうまくいっていないように見えるだけです。その失敗を国民に押し付けるわけにはいきません。何度も何度も緊急事態宣言や旅行等の自粛を求めているうちに緊張感が薄れ、国民にメッセージが伝わらないのです。無観客とはいえオリンピックをやっているのは、国民に対してマイナスの強いメッセージを与えています。世界中から人が集まっているのですから、国内の移動はたいしたことではありません、というメッセージです。国民に強いメッセージを伝えたいのならば、今やっている途中のオリンピックを中止するぐらいのインパクトがないと無理でしょう。ただしこの場合、全世界に対して恥をさらし、菅総理の政治生命が絶たれることとなりますが。
(参考:朝日新聞8月2日朝刊 中部14版)

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