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国交省の「準新幹線」構想

 新幹線は時速320キロと速いですが、膨大な建設費がかかります。在来線のままだと建設費はかからないのですが、最高速度が時速130キロに抑えられ(踏切がなければ時速160キロまで可能)、競争力という点では問題です。

 そこで国交省が考えているのは、時速200キロで走るという「準新幹線」。今つくっている整備新幹線が完成した後にどの路線を整備していくか考えている過程で浮かび上がってきたのです。新幹線をはじめとした幹線鉄道網の未来像について検討する、「幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査」という名前で、2017年度から行われています。

 まず出てくるのは、コスト削減策。今までの新幹線のように、複線で、橋やトンネルを多用していては、お金がかかります。単線の新幹線を地面の上に敷くときにかかるコストを1とすると、複線のトンネルは1.4倍、高架橋は1.7倍、橋梁は2.5倍にもなります。単線にしてできるだけ橋やトンネルを減らせばコスト削減につながります。

 さてその「準新幹線」、どこにつくられるのでしょうか? まず、鉄道がどの距離を移動するのに適しているかを考えます。鉄道が得意とするのは、300~700キロの範囲です。100~300キロぐらいだと小回りの利く車のほうが便利ですが、長距離運転すると疲れます。あまり長距離になると航空機のスピードが圧倒します。ただスピードが速くなれば、100キロ程度でも力を発揮することができるとしています。「準新幹線」はフル規格新幹線よりも安く、しかもミニ新幹線よりスピードを上げる方法として考え出されました。以前に記事にした「中速鉄道」と同じぐらいか若干速いぐらいの速さです。

 「準新幹線」の軌間は1435ミリと1067ミリの2パターンが考えられています。前者は既存の新幹線と直通することができます。ミニ新幹線を改良したイメージです。市街地は既存の線路を使い、郊外は高速化に適した新線を敷きます。そして急曲線が多い区間には短絡線を整備します。山形新幹線の板谷峠を長大トンネルで掘れば、「準新幹線」になります。当面は板谷峠区間のみをフル規格新幹線でつくり、後は今の在来線を活用すればいいのです。もし需要が増えたら、全線フル規格新幹線にすれば良いのです。全線狭軌の「準新幹線」はスーパー特急の改良版なのでしょうか? 狭軌の場合、貨物列車を走らせることはできますが、今のところ狭軌で時速200キロを出す車両はありません。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/kansenchosa2020/)

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