「やくも」に制御付自然振り子方式による新型車両
伯備線の特急「やくも」は1982年の電化以来、国鉄型の381系で運転されていました。
しかし、分割民営化から30年以上が過ぎ、381系は古くなってしまいました。この「やくも」の置き換えの話は以前からありましたが、正式にJR西日本から発表がありました。
新しい「やくも」用特急車両は273系と言います。参考にしたプレスリリースではシルエットしか分かりませんが、JR西日本の特急によく見られるようなかたちになっています。そして、カーブの多い伯備線に対応するために、振り子方式を採用しています。国内初の車上型の制御付自然振り子方式というものを採用しています。これまでの制御付自然振り子方式とどかが違うのかと言えば、これまでのは列車の位置情報を得るのにATSの地上子を使っていました。それに対して273系は、車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させます。JR西日本、鉄道総合研究所、川崎車両の共同開発によるものです。
JR西日本で381系を使っていた列車のうち、紀勢線の「くろしお」は287系など、振り子方式でない車両で置き換えました。紀勢線電化時に線路を改良したこともあり、白浜までなら振り子方式でなくてもそんなに遅くなりません。白浜から先は需要が少なく、保守コストの高い振り子方式を入れるのはもったいないです。しかし、伯備線の需要は終点の出雲市までそこそこあるので、最新式の振り子方式の車両を入れることにしたのでしょう。振り子方式には低コストの空気ばね車体傾斜方式もありますが、それを採用しなかったのは、空気ばねでは対応できないと考えたからでしょうか? ただ投入車両数は381系の約60両に比べて44両(4両11編成)と少なくなっています。通常なら4両で間に合いそうですが、多客時の増結をどうするのかは分かりません。投入時期は以前の話の通り、2024年春以降です。約160億円かかります。
なお、話は変わりまして、現行の381系のうち1編成を懐かしい国鉄色に変更します。3月19日から「やくも」のうち2往復で走らせます。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220216_03_yakumo.pdf、https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220216_07_kaiken.pdf、タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/yakumo273/)
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