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JR西日本、特定区間運賃を一部見直し

 国鉄末期から東京付近及び大阪付近は、幹線よりも若干割安な運賃が適用されています。電車特定区間と言います。さらに東京付近、名古屋付近、大阪付近の一部区間については、私鉄との対抗上、さらに割安な運賃が適用されています。特定区間運賃と言います。JR西日本の場合、315区間に設定されています。

 ところがJR西日本は、新型コロナウイルスの影響で経営状況が厳しくなっていることから、2023年4月1日購入分から特定区間運賃を一部見直すことにしました。34区間(高槻-大阪間、大阪-神戸間、天王寺-奈良間、天王寺-和歌山間など)が普通運賃及びそれに基づく通勤定期運賃、65区間(京都-大阪間、大阪-元町間、大阪-宝塚間、京都-奈良間、JR難波-奈良間など)が6か月通勤定期運賃のみです。これらの区間は、並行する私鉄よりも安くなっているので、私鉄を超えない水準にまで値上げします。いずれの場合も、通学定期の見直しは行いません。例えば、高槻-大阪間は260円から280円に、大阪-神戸間は410円から450円に、天王寺-奈良間は470円から500円に、天王寺-和歌山間は870円から890円になります。消費税率の改定に伴うものを除いて、運賃を値上げするのはこれが初めてです。値上げによって、JR西日本は年間10億円の増収を見込んでいます。

 ただ、この値上げは抜本的なものではありません。本来、運賃を値上げするのは国の認可がいるのですが、特定区間運賃は国の認可を受けた水準から値引いた区間であるため、国の認可がなくても値上げできるのです。値上げの規模が小規模に留まるのはそのためです。以前にも書きましたが鉄道の運賃はあまりにも硬直的で、実情に合っていません。航空機や高速バスのように、需要に応じて値段を上げ下げすることができないのです。鉄道しか交通機関のなかった時代ならともかく、今となっては時代錯誤なものです。鉄道だけ厳しい規制でがんじがらめにする必要はありません。100キロ程度ぐらいの短距離ならともかく、新幹線や特急を利用するのが当たり前の距離では時代に応じた見直しが必要でしょう。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220329_03_keihanshin.pdf、朝日新聞3月30日朝刊中部14版、「鉄道ジャーナル」2022年6月号 鉄道ジャーナル社

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