JRが利益を維持するには2~6割の値上げが必要
少子化が進む日本。今後も人口減少の傾向は続きます。さらに言えば新型コロナウイルスの影響で通勤需要が減り、収支が悪化しました。しかも、新型コロナウイルスが収束したとしても、ある程度はテレワークが進み、通勤需要が元に戻るとは考えにくいです。需要が減ると言うことを前提に、採算を考えないといけません。
そんな中、野村総研は、JR東海を除く旅客鉄道のJR5社が、現在の路線網を維持した上で2019年度の利益水準を維持しようとした場合、今から20年ほど後の2040年度には、運賃を2~6割上げないといけないということが分かりました。イメージで言えば、東京-大阪間の現在の運賃は8910円ですが、2割上がると約10800円に、6割上がると約14400円になります。
この間に需要の少ないローカル線の廃止が行われるかもしれませんが、あまりに利用者が少ないことから赤字の金額はそれほどでもなく、芸備線東城-備後落合間を廃止しても、2.6億円しか赤字は減りません。高速輸送や大量輸送の需要がないローカル鉄道は退場するしか仕方がありませんが、赤字の解消の点から言えば、劇的な効果は生み出しません。
そういうことから言っても、ある意味安すぎる運賃の値上げは不可避でしょう。大都市圏以外ならローカル私鉄や路線バスの運賃を基準に、JRの運賃を決めれば良いのです。ローカル私鉄なら東京のお古でも許されるのに、JRなら京阪神の新快速並みの車両が求められ、しかも運賃は大都市圏とさほど変わらないのであれば、やっていけないのはある意味当然です。
また、ある程度の距離になれば、特急を使います。東京-大阪間を普通列車だけで行く人は鉄道好きな人を除いてはまずいません。静岡でも新幹線でしょう。ある程度の距離になれば、運賃そのものよりも、運賃と特急料金の合算がいくらになるかが重要です。その点では、運賃だけを値上げする近鉄の値上げは評価できます。大阪から名古屋や伊勢まで特急に乗らずに行く人はあまりいないでしょうから。さらに言えば、正規料金は高くても、競争の激しい区間についてはインターネット等で安売りの切符を売れば良いのです。有人の「みどりの窓口」で買う人には高い切符を買ってもらい、券売機やインターネットで買うことのできる人にはライバルの交通機関の状況を考えた切符を売れば良いのです。
(参考:東京新聞ホームページ https://www.tokyo-np.co.jp/article/173308)
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