鉄道とバスの運行にかかるコスト
鉄道はバスに比べてコストがかかるので、ある程度の需要がなければ効率は良くない、と言われます。それなら、どれくらいの需要があれば、鉄道のコストのほうが小さくなると言えるのでしょうか?
国交省の検討会で出された資料によれば、1キロ当たりの営業費用はJRが5354円、バスが491円なので、鉄道はバスの11倍ということになります。しかし、JRには新幹線もあれば、山手線のような大都市の通勤鉄道もあります。あまりに速かったり大量だったりするので、これらの鉄道をバスに転換することはできません。バスと比較すべき鉄道は、1両か2両で走っているようなローカル私鉄です(JRの場合は会社全体のデータしかないため、ローカル線に絞ったデータが得られないのです)。
このような私鉄だと、1キロ当たりの営業費用は下がります。あまり高速で走る必要がなく、単線のところもあり、列車も1両か2両と短いので、コストが下がるのです。2両編成の電車が走る地方の私鉄だと、1キロ当たりの営業費用は1400円ぐらいになるようです。バスの費用も地方だと若干下がる傾向であることを考えると、鉄道のコストはバスの4倍ぐらいになると考えたほうが妥当なようです。バスだと50人ぐらいしか乗れませんが、鉄道なら2両で200人は楽に乗ることができるので、乗客1人当たりで考えると、コストは大きくは変わらないとも言えます。
そう考えると、結局のところは、ある程度の利用者がいれば、鉄道のほうがコストが小さくなるということです。当たり前と言えば当たり前の話ですが、鉄道の特性を活かすことのできない路線については、負担をJRに押しつけるのではなく、需要に見合ったサイズの交通機関にするのが賢明ということです。
(参考:「鉄道ジャーナル」2022年6月号 鉄道ジャーナル社)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 阿佐海岸鉄道、車両不具合で当分の間運休(2024.10.07)
- 美祢線に快速バス(2024.10.06)
Comments