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新しい乗りもの、DMVに乗る(2)

 今回の旅のメインは、2021年12月にデビューした世界初の乗りもの、DMVに乗ること。そのほか色々な予定を組み合わせた結果、始発に乗っていくことにした。泊まった宿は朝食も出るが、仕方がない。宿最寄りの阿波富田から始発に乗る。5:34発の阿波海南行きだ。阿波海南行きは1500形が1両で走る、ワンマン列車。1500形は1200形の座席を転換クロスシートにしたような車両だ(1200形はロングシートとボックスシートの組み合わせ)。1両とはいえ、座席は結構埋まっている。阿波富田で乗ったときは完全に暗かったが、だんだん明るくなっていった。

 阿南で降りる人が多く、車内は空く。再び混まないうちに朝食のパンを食べておく。空いていた車内が再び混むようになったのは、美波町に入ってから。由岐や日和佐などで高校生が乗ってくる。牟岐で降りるのもいたが、逆に牟岐から乗ってくるのもいる。終点の阿波海南の近くに高校があるようで(海部や宍喰には高校はない)、彼らは駅に着いても急ぐことなく、ゆっくりと降りる支度をしていた。

 阿波海南はDMVの乗り換え駅。その阿波海南に、場違いなスーツ姿の人がたくさん。聞いたところ、山形県からの視察とのこと。山形県議会議員や山形県内の市議会議員などからなる視察団だ。山形には寒河江線の終点左沢と山形鉄道の終点荒砥とを結ぶ鉄道構想がある。それにDMVを絡めようとしているのだ。ただ、遠いところから視察に来た議員の先生方には申し訳ないが、DMVを普通の交通手段として使うのは難しいだろう。議員の先生方がそうであるように(DMVがあることで視察地に選ばれ、現地のホテルや旅館に泊まり、お金を使ったことだろう)、人を集める手段と割り切ったほうがよさそうだ。公共交通手段ではなく、観光施設の一種なのだ。

 話を元に戻す。DMVがやってきた。3両あるうちの緑の車両だ。携帯の画面を見せ、車内に入る。予約のときに座席も決まり、代金もクレジットカード決済されている。乗ったのは私を含めて2人(途中でお遍路さんも1人乗ってきた)。DMVはマイクロバスを改造したものなのでキャパは小さいが、それでも充分のようだ。DMV乗り場は道路上にあるので、発車するとすぐに鉄道用にモードを変える。モード変換はすぐに終わり(議員たちはモード変換の様子を写真に撮っていた)、レールの上を鉄道車両として走る。空気ばねでないのか、レールの継ぎ目を拾って、衝撃が伝わる。DMVは途中に駅があるが、通常の鉄道車両に比べて車高が低いので、今までのホームは使えない。今までのホームの横にDMV用のホームを新たにつくっている。阿佐海岸鉄道の終点は甲浦。鉄道の駅だったところにモードインターチェンジがあり、再びバス仕様に戻す。鉄道車両だと絶対無理な急カーブ&急勾配を慎重なハンドル操作で下り、道路に出た。室戸岬方面のバスが出ている東洋町の道の駅に立ち寄り、そこで客を下ろしてから、DMVは終点の道の駅宍喰温泉に向かう。宍喰は徳島県、DMVはいったん高知県に入るが、再び徳島県に戻るルートをとるのだ。

 牟岐線は阿南までの本数は多いが、それより南は需要が少ないこともあり、列車の本数は少ない。そこで目をつけたのが、並行して走る高速バス。徳島バスなどが走らせている、難波と室戸方面との高速バスに目をつけたのだ。本来高速バスは短距離での利用はできないが、阿南以南に限りできるようにした。2022年4月からはさらに進めて、JRの切符でそのまま阿南以南に乗ることができるようにしたのだ。宍喰9:09発、難波行きのバスがやってきた。運転士に「鉄道開業150年記念秋の乗り放題パス」を見せると、浅川までの運賃、500円を払えばいいようだ。宍喰から牟岐まで本来700円かかるので、200円得したことになる。運転士は予約されていない席から座る席を割り当てた。昼行便なので4列シートかと思ったら、3列シートだった。牟岐で降りる。大阪方面に行く客はいたものの、私のように短距離での利用をする人はいなかった。牟岐からは鉄道に戻る。牟岐10:23発の徳島行きに乗る。1000形(座席配置は1200形によく似ている。そもそも、1200形は1000形を改造して、1500形と併結できるようにした車両である)の2両編成で、ワンマンではない。2両あるためか、お昼近くという時間の悪さか、徳島に近づいても空いている。

 徳島から三本松までは特急を使う。「うずしお14号」に乗るのだが、まだホームに列車はない。12:16に「うずしお11号」が到着し、たった7分後の12:23に「うずしお14号」として高松に向かうという慌ただしい特急だ。「うずしお」は基本的には2700系が使われるが、「うずしお14号」など一部の列車は2600形が使われる(185系が使われる列車もある)。元々2600形は2000系置き換え用として開発されたのだが、空気ばね程度では土讃線の急カーブに対応できないことがわかり、たった2編成4両だけが「うずしお」用として使われることになったのである。その後、土讃線用には制御付自然振り子の2700系が開発され、それで2000系を置き換えることになったのである。「うずしお14号」に乗ることで希少な存在の2600形に乗ることができた。普通列車が増える三本松で普通列車に乗り換え(ただし、残念ながらこちらはパターンになっていない)。待ち合わせの時間で牟岐のスーパーで買った日替わり弁当を食べる。鯖の塩焼きがメインの弁当だ。三本松から乗ったのは、1500形の2両編成で、こちらもワンマンではない。(続く)

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Comments

議員のみなさんには視察で終わるのではなくてそれぞれの地域で本当に利用される交通手段を確立してほしいと思います。

阿佐海岸鉄道は視察も一つの収益と考えているようですが、それも良いでしょう。

一般客の取り込みも必要です。
東京・大阪等の大都市圏をターゲットとした継続した商品開発が望まれます。乗り物・食・宿・地域が協力し、楽しい観光地にする必要があるでしょう。鉄道会社と地域は車の両輪だと思います。

これからの経営には訪日外国人だけではなく、しっかりとした国内の需要をつかむことが大切だと思います。それが経営基盤の強化にもつながると思います。

Posted by: 奏(KANADE) | 2022.10.22 08:11 PM

 奏(KANADE)さん、おはようございます。

* 議員のみなさんには視察で終わるのではなくて

 視察は行っておしまいではなく、それを現実化するという過程が必要です。もちろん、合わなければ、撤退しても良いのです。

* 東京・大阪等の大都市圏をターゲットとした継続した

 DMVは公共交通手段ではなく(公共交通手段なら、並行するバスで十分足ります)、観光手段と考えたほうが良いでしょう。魅力がなければ、捨てられるだけです。

Posted by: たべちゃん | 2022.10.23 07:54 AM

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