« 相鉄・東急直通線の運行計画 | Main | 大阪公立大学新キャンパスに地下鉄 »

名鉄の弥富駅、JRから分離?

 JRの弥富駅と名鉄の弥富駅は、同じ場所にあります。名鉄が間借りしている格好になっています。そして、近鉄の弥富駅は、JR、名鉄の弥富駅から南に離れたところにあります。線路はJR、名鉄、近鉄とも地上を走っていて、市街地を分断しています。近鉄は30年ほど前に橋上駅舎にして、営業時間だけですが、南北を自由に行き来できます。ところが、JRと名鉄の駅は南側に平屋の駅舎があるだけで、南北の行き来はできません。弥富市の長年の懸案になっています。1950年から70年も続く課題になっています。

 ところが、JRと名鉄の弥富駅に高架の自由通路を整備して、南北の市街地を結ぶ事業が進んでいます。JRの駅舎は橋上駅舎になり、南北の両方に広場を整備します。自由通路は24時間行き来できます。そして名鉄の駅はJRの駅とは別に自由通路の北側に地平の駅舎をつくります。ホームもJRとは別に、独立したホームをつくります。近鉄とJRの間の市街地の再編を行い、空き店舗の目立つ駅前に賑わい空間をつくります。ちなみに、1日あたりの乗降客数は近鉄が1万人、名鉄が4000人、JRが2900人です。名古屋には直接行かず、しかもJRに間借りしている格好になっている名鉄が意外と健闘しています。

 この弥富市の構想に反発する住民がいます。今回のJRと名鉄の弥富駅の事業の事業費は47億円ですが、鉄道事業者の負担はたったの1億円で、残りは国の補助を受けた弥富市が負担します。近鉄のときは事業費24億円のうち、近鉄は7割の15億円を負担したので、今回の弥富市の負担は大きいです。自由通路を使うのは鉄道利用者が9割を超える見込みなので、弥富市の負担は大きすぎるとして、負担金の差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こしています。

 そもそも、30年前と違って、なぜ今回弥富市の負担が大きいのかと言えば、この間に国交省の要綱が策定されたからです。2009年度に策定された要綱で、自治体と事業者の負担割合が定められているのです。今回の弥富市の負担が大きいのはこれに従った結果であり、弥富市の交渉が下手なわけではありません。最近完成した蟹江駅、桑名駅もこの要綱に従って負担が決められ、鉄道事業者の負担は蟹江駅の場合が26億円のうち0.5億円、桑名駅の場合は96億円のうち3億円です。

 この話は11月の市長選でも問題になりましたが、この事業を推進している現職が再選しました。そのため、この事業が前に進み、名鉄の弥富駅がJRから分離されることになります。
(参考:弥富市ホームページ https://www.city.yatomi.lg.jp/shisei/1000749/1000750/1003914.html、朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASQC973QVQC8OIPE014.html、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20221120/3000026073.html)

| |

« 相鉄・東急直通線の運行計画 | Main | 大阪公立大学新キャンパスに地下鉄 »

鉄道」カテゴリの記事

JR東海」カテゴリの記事

名鉄」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 相鉄・東急直通線の運行計画 | Main | 大阪公立大学新キャンパスに地下鉄 »