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北陸鉄道石川線を廃止すれば、道路整備費用等に年間5~10億円

 北陸鉄道石川線には廃止のがあります。2021年度の輸送密度が1391人、新型コロナウイルスの前の2018年度だと1952人なので、JRの一部ローカル線のように、鉄道で運営するのはどうやっても無理だというほどではありません。

 ところで、もし石川線を廃止した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょう? 金沢市周辺自治体で構成する石川中央都市圏地域公共交通協議会は、北陸鉄道石川線・浅野川線のありかたを検討する資料となる調査結果を公表しました。

 まず、鉄道を廃止すると、地元自治体は公共交通を維持するために、コミュニティバスを走らせたり、タクシー券の補助を行ったりする必要が出てきます。渋滞緩和のための道路をつくる必要が出てきます。それにかかる費用は少なく見積もっても年間4.8億円、最高だと年間10.2億円かかります。このうち、道路建設にかかる費用は年間3.1億円かかります。これに対して石川線の2021年度の赤字は1.4億円、今後求められる設備投資額は、1年当たりにすると3.3億円。合計すると4.8億円です。鉄道の赤字を負担し、設備投資を負担しても、バスや道路建設などの費用よりも安くつくのです。

 また、鉄道が廃止になった場合、バスに移行せずに車を使う人が相当数出てきます。石川線の場合、鉄道を廃止すると並行するバスに移るのは半分ほどしかいません。利用者の不利益を貨幣に換算すると、年間約6億円になるとも言われています。また、鉄道を廃止することによって運行経費は減りますが、それ以上に運賃収入が減るので、赤字の額は減りません。バスに転換してもメリットがないのです。こう考えると、石川線を廃止せずに鉄道を維持するのが賢明と言えます。

 余談として、西金沢で北陸線に乗り入れ、金沢まで行くという話があるようです。ただどうやって新幹線の高架をくぐって接続するのか、電化方式や電圧の違いをどうするのか、線路使用料をどうするのかなどの課題があり、すぐにできる話ではないようです。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/ishikawasen-arikata202307/)

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Comments

輸送密度がそれなりにあるのなら設備投資を自治体が負担しても良さようですね。

新たな道路を整備し、維持するよりも負担が抑えられるし、5~10年後の未来のためにも良いと思います。

同時にこれからの街づくりを工夫することより人口流出も抑えられるかもしれません。

石川線に限らず、他の全国の鉄道路線にもそういった区間はあると思います。早く自治体は気づいて動くべきかと思います。

Posted by: ゆめ | 2023.08.02 08:55 PM

 ゆめさん、こんばんは。

* 輸送密度がそれなりにあるのなら

 北陸鉄道クラスの需要があるのなら、地元自治体が支えることで鉄道を維持するのが望ましいです。

* 石川線に限らず、他の全国の鉄道路線にもそういった区間は

 鉄道を走らせる価値がない超ローカル線はすぐにバス転換すれば良く、議論をする必要はありません。それよりも、このクラスの路線をいかに有効活用するかが重要です。

Posted by: たべちゃん | 2023.08.02 09:42 PM

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