徳島県神山町、バスを廃止してタクシーの補助へ
徳島県神山町は山に囲まれた町。1955年にいくつかの村が合併してできたときは約2万人の人口がありましたが、現在は1/4に減り、約4800人となっています。ただ、近年は光ファイバー網の整備に積極的に取り込み、IT企業が進出し、転出者よりも転入者が多い社会増になっています。
このような神山町にも町営バスがあります。1972年から運行を始め、運行開始当初は年間約6万人の利用者がいました。しかし、人口の減少とマイカーの増加で利用者は減り続け、2021年度は3733人にまで減ってしまいました。1便当たりにすると0.29人なので、バス3本中2本は誰も乗っていないということになります。
なぜバスは使われないのでしょうか? バスは幹線道路を走るので、家からバス停まで歩く必要があるのです。結局、幹線道路から離れていては使えないのです。そこで神山町が考えたのは、バスではなく、タクシー。結局必要なのは、ドアツードアの個別輸送なのです。ある程度需要がある区間以外は、下手にコミュニティバスを考えるより、タクシーの補助のほうがいいのです。従来の町営バスを3月に廃止し、タクシーの補助の大幅拡充を行いました。
タクシーの補助を受けることができるのは、マイナンバーカードによって利用登録をした神山町民で、年齢や利用目的、利用回数に制限はありません。1回の利用につき、8000円を上限に85%分を神山町が負担し、残る15%と上限を超えた運賃を利用者が負担します。神山町の負担割合を85%としたのは、利用者の負担を従来のバスに近づけるためです。
この仕組みだと、タクシーの需要は増えますが、陸運局からタクシーの増車が認められませんでした。そこで自家用有償旅客運送の制度も活用して、需要増に対応しています。運行はこれまで町営バスを運行していた地元タクシー会社3社に委託しています。また、自家用有償旅客運送の車両はほかの公共交通機関に影響を与えないようにするため、神山町内のみの利用となっています。
(参考:新・公民連携最前線ホームページ https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/052500076/081500040/?n_cid=emsl_186028)
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