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宇都宮のLRTと茨城の私鉄に乗る(2)

 いよいよ東武の新特急、「スペーシアX5号」だ。春日部では2号車か5号車のいずれかからしか乗ることができないので、2号車のほうで待つ。雨が降り、風が吹くので寒い。真っ白な「スペーシアX5号」がやってきた。本当に真っ白で、驚きの白さだ。指定されたのは3号車、左右に2列ずつ並んでいる、普通のシート。しかし、「スペーシアX」には看板列車らしく色々な座席があるので、車内を探検する。一番前の1号車は、ホテルのロビーのような部屋で、コックピットラウンジと言う。ここにはカフェもある。「スペーシア」にあったビュッフェとは違って軽食はなく、アルコールを含む飲み物、お菓子、おつまみしかないが、原則1号車の客しか利用できない。2号車以降は余裕があればスマホで予約できるが、枠は少ない。1号車の人の対応が終わってから予約を受け付けるが、すぐ枠がいっぱいになってしまう。本当は1号車に乗りたかったが、あっと言う間に埋まってしまった。30分ほどで次の停車駅、栃木に到着。1120円の特急料金は割高とも言えるが、「スペーシアX」は希少価値があるので妥当か。数が少ないのだから春日部、栃木、新鹿沼を通過してプレミアム感を出してもよい。東京を出ると次は日光、鬼怒川だ。むしろ割高なのは「リバティ」、汎用特急だから「りょうもう」程度に安くてもいいぐらいだ。栃木からは東武宇都宮線に乗り換え。やって来たのは日比谷線直通用の車両を改造した4両編成。前から2両目は元々5扉の車両だったが、2番目と4番目の扉を潰して、座席を置いている。その2両目に乗る。少し前まで雨風は激しかったのに、雨は止み、日が射している。終点の東武宇都宮からバス乗り場に行き、JRの駅に行くバスに乗るが、時刻表を見ると1時間に1本しかない。JRと東武を結ぶバスなのだから本数はもっとあってもおかしくないが、東武の駅が大通りから少し入ったところにあるのが原因か?

 バスを西口で降りて、歩いて東口に回る。この東口にあるのが、8月に開業したばかりの宇都宮のLRT、ライトラインだ。宇都宮駅東口15:22発に乗る。ライトラインは路面電車というものが何もなかった宇都宮に一からつくったものなので、今までの路面電車には見られないルートをとる。大きな道路は高架で越え、立体交差の区間も多い。これが未来のLRTの姿か? ICカードなら先頭の運転席に行かなくても、どこからでも乗り降りできる(ICカードの普及を促すため、現金の利用者は一番高い区間の運賃と同額の400円均一にするのはどうだろうか?)。このような先進的な取り組みを行うライトラインだが、遅い。併用軌道はともかく、専用軌道でも最高速度が40キロは遅い。よく見れば、専用軌道でも踏切には遮断機がない。大きな道路は信号で対応し、小さな道路は警報器もない。これでは最高速度が40キロに抑えられるのは当然か。国交省としては踏切はつくりたくないのだろうが、何よりも肝心なのは事故を起こさないようにすることだから、遮断機を設置することを条件に専用軌道のスピードアップを図ったほうが賢明だ。鉄道が使えるところなら、鉄道が便利になり、それで車の利用者が減ればよい。逆に鉄道が厳しいところは撤退し、ほかの交通機関に任せればよい。交通機関は色々あるのだから得意なところをすればよい。ライトラインは48分かけて終点に到着。この時点で西九州新幹線開業以来失っていた「完乗」のタイトルを奪回。次は北陸新幹線敦賀開業だ。停留所の周辺は工業団地で、降りても工場しかない。トイレもないので、ライトラインに乗るときは注意が必要だ。

 そのままライトラインに乗って折り返し、宇都宮に戻る。いつの間にか車内は混んでいた。宇都宮と言えば餃子。まだ17時になったばかりだが、行程の都合でここで食べることにする。駅ビルの店で、焼餃子6個、揚餃子3個、水餃子3個のセットがあったので、それに小ライスを付けて夕食にする。宇都宮の味を味わってから、東北線、水戸線を乗り継いで水戸へ。水戸線の列車はE531系の5両編成、途中からボックスシートに座ることができた。水戸のホテルは本当に駅前で、翌日の移動も楽なところだ。(続く)

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Comments

LRTと従来の路面電車はどこがどう違うのでしょうか? 
仮に輸送力・速度ともバスと変わらないのなら、わざわざ専用軌道を引いて建設する必要がない。

LRTのメリットとして、CO²削減が挙げられているが、自動車もいずれEVになるし、バス運転士の不足対策にしても、あと10年もすれば自動運転が広範に普及しているだろうから、運転士も不要になる。

欧州諸国のLRTでは、何連もの編成で運行されているが、日本は法規制もあり、3連まで。
また、信用乗車により、運賃収受のロスタイムが少ない。
専用軌道や一部地下化により、スピードも速い。

LRTは地下鉄やモノレールを建設するほどの需要がないが、路面電車やバスよりは速く、輸送力も大きいということを目指しているはずですが、スピードは遅く、輸送力も大きく増えない(否、乗客が増えれば乗降に時間がかかり、さらに遅くなる)のなら、建設する意味はあるのかと思います。

実際乗車されて、正直なところ、LRTは建設してよかった、それとも、この程度なら別に必要なかったですか?

Posted by: かにうさぎ | 2023.12.03 09:53 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* 仮に輸送力・速度ともバスと変わらないのなら、

 バスの連結運転はごく少数に限られていますが、鉄道は昔からの技術の蓄積があります。キャパはバスより明らかに上です。また、キャパが大きいことから、EVが普及したとしても、需要がそれなりにあるという条件では、鉄道のほうが効率的です。

* あと10年もすれば自動運転が

 高速道路のように車しか走らないようなところはともかく、一般道では難しいでしょう。

* 欧州諸国のLRTでは、何連もの編成で運行されているが、

 県庁所在地から10キロ程度のところを走る地方の私鉄は、ある意味路面電車の進化した姿なのかもしれません。これなら、欧米のLRTレベルの輸送力はあるでしょう。

 その他スピードアップ等については法規制の問題もありますので、早期の改善が望まれます。

Posted by: たべちゃん | 2023.12.04 10:26 PM

ご回答ありがとうございました。

まあ、一定の需要のある地域では、それなりの意味があるということですね。
現行の規制の3連でも、単行のバスよりは輸送力は3倍になるし、効率面も優れているし。

課題としては、路面電車やバスは、信号待ち停止や運賃収受に関わる時間が長すぎると思います。

運賃収受に関しては、メルボルンではMYKIというICカードを買う必要があり、現金での乗車は不可です。また、中心地内での乗降は無料です。
日本でも現金利用はなくすくらいでないと、効率化は進みません。

信号待ちも交通量の多い交差点は立体交差にする、あるいはLRTの優先通行を認めるとかの策も検討すべきかと。

>高速道路のように車しか走らないようなところはともかく、一般道では難しいでしょう。

このレベル(自動運転4?)なら、既に解禁されているし、レベル4の路線バスなら、数年以内に実現できる可能性はあります。

https://www.sankei.com/article/20231205-R4BRAMYKWRI2PICH73K3DML7DA/

完全自動運転(レベル5)はまだまだですが、それでも10年くらいすれば、実現の可能性は高そうです。

無論、そうなれば、特定の軌道しか走らない鉄道やLRTでもその技術は導入されるでしょう。

いずれにしても、県庁所在地クラスの都市とか、大都市圏でも住宅地相互間の区間等、バス以上従来鉄道未満の所では、導入検討できそうです。

Posted by: かにうさぎ | 2023.12.06 08:52 PM

 かにうさぎ さん、こんばんは。

* まあ、一定の需要のある地域では、

 結局はそういうことでしょう。

* 運賃収受に関しては、メルボルンではMYKIというICカードを

 現金を禁止にするのは難しいでしょうが、現金で支払う人の運賃を高くしてでも、現金の利用者を減らすことは必要でしょう。

* このレベル(自動運転4?)なら、既に解禁されているし、

 完全自動運転ができない限り、養成費用は少ないものの、何らかの保安要員は要ります。そういう意味では、当分は無理と見ています。

* いずれにしても、県庁所在地クラスの都市とか、

 地方の県庁所在地クラスならその資格はあるでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2023.12.06 10:39 PM

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