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大井川鐵道の客車鈍行に乗る(1)

 かつて国鉄の普通列車は、機関車の引っ張る客車によるものが結構あった。機関車は蒸気機関車から電気機関車もしくはディーゼル機関車に代わったが、客車列車であることには変わりなかった。しかし今はそのような客車は観光列車の類を除いてはない。そんな中、大井川鐵道は客車鈍行を復活運転するイベントを行っている。SL用の客車を使い、鈍行として各駅に停車させるのだ。この夏に初めてそのような列車を走らせたが、好評だったようで、この秋から冬にかけても走らせることにしたのだ。蒸気機関車は機関車がある限り残るだろうが、電気機関車やディーゼル機関車はいつ消えてもおかしくない状況になっている。各駅に停まる鈍行ならなおさらだ。仕事は忙しいが、せっかくの機会なので、休みを取って出かけることにした。

 大井川鐵道の客車は昼からの運転なので、朝は岡崎に寄って、大河ドラマ館を見てくる。豊橋で名鉄からJRに乗り換え、昼食用の駅弁を買う。豊橋名物の「稲荷寿司」でもよかったが、幕の内弁当タイプにした。豊橋から浜松までが211系、浜松から金谷までが313系だったが、いずれもロングシート。

 金谷で大井川鐵道に乗り換え。客車は新金谷発なので、金谷から新金谷までは電車でつなぐ。大井川鐵道の窓口で切符を買い(私は片道切符を買ったが、金谷-川根温泉笹間渡間が乗り放題のフリー切符を買う人も結構いた。なお、金谷ではクレジットカードも使える)、金谷13:40発に乗る。元南海の「ズームカー」だった。南海でも少数しかなかった転換クロスシートタイプである。あまりにも古いためか、座席はすり減っている。ヘッドマークは普通列車なので、(南海時代によく見られた)「急」ではなく「普」を掲げている。「ズームカー」は次の新金谷止まり。向かいに停まっている客車鈍行に乗り換える。

 客車鈍行は電気機関車を含めて5両編成。電気機関車は元西武のE31、客車は前から4号車、3号車の順につながっている。すでにどこのボックスシートも1人ずつ乗っている。どう見ても会社か学校を休んで客車鈍行に乗りに来たという鉄道ファンばかりで、通学とか買い物などという本来の利用者は見当たらない。これが大井川鐵道の現状だ。ところで、金谷からの臨時が来る前から乗っている人は、どうやって来ているのだろうか? 1時間ほど前の電車なのか、それとも車で来ているのだろうか? 1号車のオハフ33に乗る。ボックスシートの車両で、内装は2号車、3号車よりも鈍行用車両としては近代的で、明るい。ちなみに2号車、3号車はともにオハ35で、ボックスシートの車両。内装には木も使われている。2号車は1号車と同じく、茶色に塗られているが、3号車は「きかんしゃトーマス」用なのか、オレンジだ。なお、扉は手動で、半自動ですらない。降りるときは列車が完全に停まっているか、またホームがあるかを自分で確認してから降りないといけない。普通しか停まらない駅のホームは短く、客車全てがホームにかかっているとは限らないからだ。注意しないと線路に落ちてしまう。(続く)

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