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大井川鐵道の客車鈍行に乗る(2)

 13:46、客車鈍行は新金谷を出た。客車らしく「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムが鳴り、車内放送が始まる。別の車掌が検札を始め、金谷で買った硬券を見せた。写真撮影をしてから途中の無人駅で乗る人もいて、車掌は車内補充券をつくっていた。豊橋で買った弁当を食べながら、外を眺める。車内販売もあるが、弁当は少ないようで(後で追加発注していた)、事前に買っておいたほうが良さそうだ。また、ところどころで窓を開けている人がいるため、寒い。そして、客車には暖房がない(正確に言うと、電気機関車に蒸気暖房装置がない)。乗車の際には暖かい格好をしないといけない。

 新金谷を出て35分ほどで家山に到着。金谷に向けて折り返すのだが、電車やディーゼルカーとは違って、機関車は先頭に持って来ないといけない。その機関車の付け替え作業を行うのだ。かつてはよく見られたが今では珍しいので、見物客がいっぱい。機関車は反対側の線路を通り、付け替えを終えた。折り返しの時間は24分あるので、金谷行きの発車までまだ時間がある。ホームには車内販売の人が立っている。せっかくなので買うことにした。買ったのは紅茶。静岡のお茶でできている。紅茶も緑茶もお茶の葉からできるのだが、国産の紅茶は珍しい。柚子入りの紅茶なので、スプーンもついている。柚子は最後にすくって食べるのだ。家山からの車内で飲むことにする。

 客車鈍行は家山を出た。帰りは行きとは違う席にしたかったので、一番後ろの4号車にする。4号車はスハフ43。特急用の客車としてつくられた車両なので、前向きに2人掛けのロマンスシートが並ぶようにつくられていた。終点に着いたら、座席の向きを前向きにするため、わざわざ回送運転をして向きを変えていた。大井川鐵道ではロマンスシートの半分の向きを変え、ボックスシートにしている。もちろん、ほかの車両よりもゆったりしている。さすがは特急、と言ったところか? 35分ほどで新金谷に到着。先ほどは家山で折り返したので機関車の付け替えができたが、これからは金谷と川根温泉笹間渡で折り返すので、機関車の付け替えができない。そこで客車の前後に電気機関車をつけるのだ。どちらに向かっても先頭は機関車なので、引っ張ることができる。なぜか新金谷まで走ってきた機関車を後ろにつなげ、新たに前に別の機関車をくっつける。新たに加わった機関車もE31だった。前後に機関車がついた6両編成で、最後の一区間を走る。最後の一区間は座席を2号車のオハ35に変え、貴重な客車鈍行の旅を最後まで楽しむ。

 金谷からは再びJRに乗って名古屋に戻る。浜松までのはロングシートだったが、浜松からは岐阜行きだったので、8両編成の転換クロスシート。しかし夕方の帰宅時間に重なっていたため、途中まで座れず。豊橋のひとつ手前、二川からは名古屋-豊橋間のお得な切符、「JR名古屋⇔豊橋カルテットきっぷ」が使えるので、いったん二川で降りる。「JR名古屋⇔豊橋カルテットきっぷ」は安いので、こういう手間をかけるだけの価値があるのだ。豊橋からは特別快速。最初は空いていたが、刈谷で通勤帰りの人が乗り込んでくる。平日ということを思い出した。

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