宇都宮のLRTと茨城の私鉄に乗る(4)
汽笛が鳴り、駅に戻る。もう一回、真岡鐵道に乗る。SLに乗るのではない。SLを車庫のある真岡に返すために走る、客車列車に乗るのだ。下館の線路は1本しかないため、SLを先頭に付け替えることができない。そこであらかじめSLはディーゼル機関車を後ろにくっつけて走り、下館から真岡まではディーゼル機関車が客車とSLを引っ張るのだ。これが回送とならずに営業運転するのは、SLが走らない日は、ディーゼルカーが走るから。普通列車の代わりに客車が走るのだ。客車は3両つないでいるが、一番後ろの1両だけが使える。すでにボックスシートは大半が埋まっている。この列車の何たるかをわかっている鉄道ファンのほか、SLの余韻を楽しみたい家族連れも乗っている。
16:05、この客車は出発した。DE10を先頭に50系客車が3両、一番後ろにC12がくっついている(C12は真岡の車庫で自走するため、完全には火を落とさない。発車するときには汽笛も鳴らす)。50系は昭和50年代につくられた国鉄の車両。キハ40と同世代である。客室は昭和50年代の水準になっていて、大井川鐵道で乗った旧型からはずいぶん新しくなっている。真岡鐵道の50系は外観こそ塗り替えられ、茶色ベースに赤い帯を巻いたものになっているが(昔の三等客車のイメージ?)、中はモケットが緑になっているものの、ほぼ国鉄時代のままである。その国鉄末期の客車の雰囲気を味わうことができるのだ。50系はJRになってもしばらくの間は走っていたが、電車やディーゼルカーに置き換えられ、そんなに古くなっていないのに廃車になってしまった。真岡鐵道のはごくわずかな生き残りである。本当は50系があちこちで見られていたときに乗っておくべきだったかもしれないが、今の機会を逃すともう乗る機会はないかもしれない。客車は遅いので、小さな駅を通過する。そして2つ目の久下田で降りる。久下田はホームの中ほどに反対側のホームに渡るための階段があるが(線路を横切る)、客車は長いので、発車するまで渡ることができなかった。
再び下館に戻り、関東鉄道に乗る。17:07発の取手行きは1両編成のディーゼルカー。行きとは違って各駅に停まる。ロングシートの座席はほぼ埋まっている。このまま取手まで行くかと思ったら、水海道で乗り換え。2両編成になる。さすがに取手に近いところでは夕方に1両は厳しいのだろう。確かに2両に増えたのに座席はほぼ埋まっている。取手からは常磐線の快速で東京へ。品川行きなので上野で乗り換えの必要はない。
東京で夕食の駅弁とお土産を買う。あまりにも種類が多くて迷う。帰りの新幹線は東京20:27発の「こだま757号」、「EXこだまグリーン早特3」を使ってグリーン車に乗る。名古屋まで1時間余計にかかるものの、指定席より安い値段で快適に過ごすことができる。弁当を食べ、ホテルでもらった新聞とグリーン車の座席にある雑誌を読み、この旅行記を書き、少し寝たらあっと言う間に名古屋だ。
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