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リニアの開業は2034年以降に

 2027年に品川-名古屋間が開業する予定だったリニア。元々は2025年に開業する予定だったのですが、2年遅くなりました。そして、2027年も危ないということは以前から周知の事実と言っても良い存在でしたが、それが確定することになりました。静岡工区の工事契約が締結されてから6年以上経ちますが、静岡県が着工に同意せず、工事が全く進んでいないのです。静岡工区の工事には10年かかりますので、今すぐに着工できたとしても、開業は2034年以降となります。当然、川勝静岡県知事がすぐに着工に同意するとは思えず、川勝氏が静岡県知事である以上、リニアの着工は何かと理屈を付けて遅らせるでしょう。かなり遅くなるものと思われます。

 静岡県の立場で言えばリニアができてもメリットは小さいのかもしれません(もっとも、リニアの直接的なメリットは小さいですが、リニアができることにより、東海道新幹線「ひかり」等の充実を図ることができます)。ただ、全国的に見れば、一地域の問題により、高速鉄道網の整備が進まないことは大きな問題です。このままでは東海道新幹線のバイパスはできません。また、このような事態はリニアに限ったことではありません。北陸新幹線も西九州新幹線もそうです。北陸新幹線はこのままでは単に東京と北陸を結ぶ新幹線に留まり、東海道新幹線のバイパスにはなりません。西九州新幹線も新大阪はもちろん、博多にも一本で行くことができず、何のためにつくったのかわかりません。国、都道府県、そしてJRは中途半端な幹線鉄道網を完成させるために、小異を捨てて利害を調整する必要があります。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/DA3S15899844.html、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20240329/3030023402.html)

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Comments

>一地域の問題により、高速鉄道網の整備が進まないことは大きな問題です。

国が認可した事業に対してまでも、県知事に許可権を与えている現行制度が大きな問題でしょう。根本的には、明治以来続く当道府県制度そのものが現状にそぐわなくなっているということです。

全国的視点を持てと高説を唱えたところで、川勝知事のような方が出てきたらどうしようもないのです。

>また、このような事態はリニアに限ったことではありません。

西九州と北陸にしても、これは、単に反対する県が悪いという話ではなく、県単位に負担を課している現行制度のほうに問題があります。
地元負担や在来線分離に関する負担をもっと広域(九州とか近畿全体とか)でシェアする等、制度枠組を見直さない限り困難でしょう。

>JRは中途半端な幹線鉄道網を完成させるために、小異を捨てて利害を調整する必要があります。

これも、民間企業であるJRが、自社の利益を無視して、歩み寄ることは困難でしょう。

国民全体の負担を考えれば、米原Rが好ましくても、JR西は自社の収益が減るから嫌と言う。
佐賀駅を通らないルートなら、佐賀県は検討するといっても、JR九州はそれでは自社の利益にならないから、あくまで佐賀駅経由に拘る。
(まあ、東海のように裕福な会社なら、それくらい譲歩するかもしれないけど、九州はそんな余裕はない。まあ、佐賀県もそれを見越して、佐賀空港付近ルートなら検討するとか言っているだけかもしれません。)

JRの利益だけは絶対で、負担は自治体にすべて押し付けというのでは、あまり説得力はないでしょう。

Posted by: かにうさぎ | 2024.03.31 07:17 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 国が認可した事業に対してまでも、県知事に許可権を

 それはその通りで、国が認可した事業を潰すのは、権限を越えていると言えます。

* 西九州と北陸にしても、これは、単に反対する県が悪い

 ただ、京都の場合は、京都の中心部を遠る以上、受益が少ないと主張する資格はありません。亀岡だけのときと異なり、言う資格がなくなったのです。

* 国民全体の負担を考えれば、米原Rが好ましくても、JR西は

 ここはJR東海から北陸新幹線運行分を買い取る方向で話を付けないといけないでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2024.04.01 06:38 AM

>京都の中心部を遠る以上、受益が少ないと主張する資格はありません。

想定されている受益というのは、主に「地方」の場合であって、3大都市圏にある府県は想定外です。
東北新幹線で東京都や埼玉県に地元負担を求めるような話です。
東北新幹線の場合、東京や埼玉は金を払うどころか、見返りに埼京線を作ることで、反対住民を説得したくらいです。

それなら、大阪府も同じだというかもしれないけど、路線距離の短い大阪府に比べ、京都府の負担は大阪府の倍くらいになる見込み。
乗客の発着地の多くは大阪で、京都は通過するだけなのに、なぜ京都のほうが負担が多いのかという不満が強いわけです。

>ここはJR東海から北陸新幹線運行分を買い取る方向で話を付けないといけないでしょう。

あるいは、北陸新幹線をJR西から東海に移すかです。
いずれも、米原ルートへ変更のためには、リニアの全線開通が前提です。

リニアは川勝知事が退任すれば、実現できる可能性が高いが、北陸は現状では敦賀止まりで終わる可能性大です。
京都の他にも湖西線分離に反対する滋賀県、何より膨大な建設費によりBC係数割れ確実になっています。

JR東海リスクより、京都・滋賀リスク+巨額の建設費リスクのほうが高いかも。
無論、会社間の調整も困難かもしれないけど、それなら、もう永久に敦賀止まりということか。

Posted by: かにうさぎ | 2024.04.01 10:15 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 想定されている受益というのは、

 確かに、整備新幹線の地元負担は、「おらが県に新幹線を」という地方に当てはまるものであり、すでに新幹線がある大都市圏には当てはまりません。本来なら、北陸3県が負担すべき性質のものです。

* 路線距離の短い大阪府に比べ、

 それならそれで、京都府は最短距離で突き抜けないといけないでしょう。京都の中心部に寄っている暇はないのです。

* それなら、もう永久に敦賀止まりということか。

 この状態が望ましくないことは誰もが分かっていることですから、なおさら関係者は全線開業のために調整しなければならないでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2024.04.02 06:47 AM

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