3月に敦賀まで延伸した北陸新幹線。残るは敦賀-新大阪間です。
この敦賀-新大阪間は、「小浜-京都ルート」でつくることが決まっています。小浜市、京都市を経由して新大阪に向かうルートです。建設費は約2.1兆円と見込まれています。
ところがこの「小浜-京都ルート」、建設費がかなりかかるようです。資材が高騰し、難工事が予想されるからです。最新の試算では約3.9兆円になるとも言われています。そのため費用対効果も下がり、1.1から0.5になるとも言われています。同じフル規格新幹線でありながら、米原での面倒な乗り換えが発生しますが、安上がりの「米原ルート」があります。米原で東海道新幹線に乗り換えるものです。こちらも建設費が増え、約0.6兆円から約1兆円になります。費用対効果は2.2から1程度になると言われています。想定工期も「小浜-京都ルート」が15年に対して「米原ルート」は10年と短いですが、「米原ルート」については関係者の調整は全くしていないので、そこから始めないといけません。よって、工期の短さは有利な要素とは言えません。
もし北陸新幹線がこれからつくるものであれば、全くつくらないか、つくっても米原から分岐させるのが正解でしょう。しかし、北陸新幹線は東京側はすでに敦賀まで完成し、残りはあとわずかです。東京方面は便利になりましたが、大阪方面は敦賀での面倒な乗り換えが発生しています。現実に起きている問題なのです。整備新幹線嫌いのマスコミ(ただし、開業すれば使う)の考えをそのまま鵜呑みにすれば、大阪方面は永久に不便なままで留まり、東京一極集中はさらに加速します。何とかして全区間をつくらないといけないのです。さっさとつくらなかったツケが来ているのです。また、日本の大動脈と言えば東海道新幹線ですが、何らかの事情で動かなくなったときに使えるのが、北陸新幹線です。リニアも将来的にはできるでしょうが、リニアよりも北陸新幹線のほうがさらに東海道新幹線から離れたところを走るので、非常時のバックアップ手段としては優れています。距離が短い分、リニアよりも安上がりにできます。敦賀までは沿線の県のためのもの、という側面がありますが、敦賀から先は違います。もっと広い視野で考えないといけません。
もちろん、整備新幹線をつくるためには、費用対効果が1を超えないといけません。ただ、費用対効果はいろいろ変数が多く、それをどう考えるかによって変動します。大体、社会的割引率が4%と現在の経済状況を考えると異様に高く、そこを是正するだけで費用対効果の話は解決するとの見解もあります。このように知恵を使わないといけないのですが、ただつくるのを止めるだけでは解決しないのが北陸新幹線敦賀-新大阪間です。
(追記)
北陸新幹線の工期については、25年になるとの話もあります。
(参考:朝日新聞7月18日朝刊 中部14版、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240719-OYT1T50031/)
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