整備新幹線、30年定額の貸付料を見直し&駅舎の建設費をJRに負担させる
整備新幹線は建設費がかかるため、国が税金で建設します。JR各社は国に使用料を払います。この使用料は開業時に乗客の需要予測によって決まり、30年間固定となっています。北陸新幹線高崎-金沢間の場合、年間420億円で、JR東日本とJR西日本が支払います。
ところが、以前にも記事にしたことがありますが、本当ならもっと貸付料を高くしても良かったのです。財務省によれば、利用実績が予測を2~6割上回っていたようです。これを貸付料に反映させるなら、追加で年間176億円増やすことができたのです。4割以上高くすることができたのです。最初の整備新幹線が開業してからもうすぐ30年を迎えます。貸付料の見直しの時期です。財務省はそのときに貸付料を見直すことを考えています。また、新幹線の延伸により既開業区間の収支が改善したときには、貸付料を見直すことを考えているようです。
財務省のこの考えはある意味正しいです。北陸新幹線が金沢まで延伸したときには、高崎-長野間の収支は改善されましたし、北海道新幹線が札幌まで開業すれば、盛岡-新青森-新函館北斗間の収支も改善されることでしょう。「根元受益」に適正に負担を課するのは、むしろ正しいです。
しかし、これは国の負担を軽減させるのが目的ではありません。整備新幹線の費用を抑えるよりも、規模の大きい道路予算を減らしたほうが効率的です。公共事業よりも、社会保障を見直したほうが良いです。整備新幹線の貸付料を増やすのは、残っている区間を完成させる財源に充てるためです。鉄道はネットワークにならないと効果を発揮しないものであり、一部分が未完成のままだともったいないです。しかも、ライバルが多い都市間輸送でほかの交通機関に勝つためには、新幹線が必須です。在来線特急ぐらいのスピードは、車でも出せます。枝線の西九州新幹線はともかく、北陸新幹線は新大阪まで完成させないといけません。これに充てるのなら貸付料の増加は許されます。
JRは鉄道では稼げないので、都市部を中心に関連不動産やホテルなどでも収益を上げています。財務省はこのことにも目をつけています。この関連収入についても、貸付料の算定に考慮すべきだとしています。駅舎についても、大都市では税金ではつくらず、JRが整備することも考えています。商業施設で稼ぐことができると財務省が見ています。整備新幹線の駅は、地元産品を使うなど、無駄にお金をつかっている面もあります。大都市だから問題というのではなく、駅はもっとシンプルにしても良いでしょう。
貸付料の値上げは財務省にとって虫が良さそうな話ですが、JR側としてはメリットがあるのでしょうか? このような話を飲んでも確実に整備新幹線ができるのならば、応じる余地はあるようです。整備新幹線を潰すのではなく、整備新幹線をつくることが財務省にも求められています。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSBX33DVSBXULFA01KM.html、産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20241028-CG7H2TKZE5OQ7LL36APUWY7BJA/)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
「整備新幹線」カテゴリの記事
- 京都市議会が市街地の大深度地下への新幹線建設に反対(2025.06.07)
- これだけの問題が解決できているならとっくに「米原ルート」で決まっている(3)(2025.06.01)
- これだけの問題が解決できているならとっくに「米原ルート」で決まっている(2)(2025.05.31)
- 大分県知事、新幹線整備の財源として新幹線の値上げを求める(2025.05.29)
Comments