« 広電の新駅ビル乗り入れは8月3日 | Main | 名鉄バス、名古屋市内に有効な「758きっぷ」を発売 »

大井川鐵道は2029年全線復旧へ

 大井川鐵道は2022年の台風で大きな被害を受け、2年以上経った今でも、川根温泉笹間渡-千頭間が運休したままとなっています。

 この大井川鐵道ですが、ようやく復旧することになりました。2025年から4年かけて工事を行い、工事が終わったところから順次運行を初め、2029年に全線復旧します。

 ここで問題になるのは復旧費用。大井川鐵道は台風による物理的な被害のほか、新型コロナウイルスの影響により観光需要が大きく落ち込み、苦しい経営が続いています。とても自力で復旧させることができません。そこで国、静岡県や沿線自治体の島田市、川根本町から資金の補助や貸し付けを受け、それで復旧工事を行います。

 復旧工事にかかる費用は約21億円。このうち災害復旧費用は約4.8億円で、残りの約16.2億円は老朽化したトンネルの補修にかかる機能回復事業です。開業して90年以上経つ大井川鐵道では、トンネル内壁の剥離、ひび割れ、歪みが起きています。この機会に補助金で補修しようというのです。まず、災害復旧は鉄道事業者が1/2、国と沿線自治体が1/4ずつ負担します。沿線自治体の負担額1.2億円は、島田市が0.1億円、川根本町が1.1億円の負担です。不通区間のほとんどが川根本町のため、川根本町の負担額が大きくなっています。大井川鐵道は本来なら2.4億円の負担なのですが、これについては静岡県が1.2億円、島田市が0.1億円、川根本町が1.1億円を補助するため、大井川鐵道の実質的な負担額は0円となります。機能回復事業は国と地方が1/3ずつ補助し、残りの1/3を鉄道事業者が負担します。国、静岡県、大井川鐵道が5.4億円ずつお金を出します。この大井川鐵道の負担についても、半分の2.7億円は静岡県が貸し付け、島田市も0.9億円を貸し付けます。これに対して川根本町は1.8億円を補助します。つまり、大井川鐵道は後で3.6億円を静岡県と島田市に返す必要があるのです。

 なぜ川根本町は貸し付けでなく、全額補助にしたのでしょうか? 大井川鐵道が全線復旧することによって生まれる経済効果は川根本町のほうが大きいのです。2018年と2023年の経済効果を比較すると、島田市は約2.0億円であるのに対して、川根本町は約5.3億円です。JR線沿いが中心部の島田市と、奥のほうの川根本町とは事情が異なるのです。運休を続けることによって、川根本町は約5.3億円の損失を被るのです。つまり、お金がなくて大井川鐵道が運休を続けるぐらいなら、3億円近くを出しても価値があるのです。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC287750Y5A320C2000000/、マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/20250413-daitetsu/)

| |

« 広電の新駅ビル乗り入れは8月3日 | Main | 名鉄バス、名古屋市内に有効な「758きっぷ」を発売 »

鉄道」カテゴリの記事

東海・北陸私鉄」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 広電の新駅ビル乗り入れは8月3日 | Main | 名鉄バス、名古屋市内に有効な「758きっぷ」を発売 »