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12年後のJR発足50周年をどう迎えるか?(2)

 昨日の記事の続きです。

 かつてはローカル線だけだったワンマン列車ですが、大都市圏特急列車でも行われる例が出ています。そしてこれからは、運転士も要らないようになるかもしれません。自動運転になれば、当面は係員が運転席に乗るとしても、その養成費用は大幅に削減されます。非常時用の運転士はともかく、日常の運行は係員で十分と割り切ります。また、車掌や駅員はともかく、技量が必要な運転士は本社の社員であると思っていたのですが、熊本市交通局のように運転士がほとんど非常勤職員という例が出ています。コスト削減のために鉄道の運行に欠かせない人間を子会社などの会社で雇って給料水準を下げ、本社で高い給料をもらっているのは鉄道には何の関係もない人です。後12年で完全に自動運転が行われ、線路や車両の保守も要らなくなるならともかく、そうでない限りは人間にその仕事をやってもらわないといけません。日本の経済状況が悪くなると、技能実習生というかたちで外国から安い労働力を呼ぶこともできなくなります。

 物事何でもそうですが、改革には良い面も悪い面もあります。国鉄がJRになったことにより、労使関係のもつれもあって停滞していた技術が一気に花開き、魅力的なサービスがたくさん出ました。ただ、JR6社はそれぞれ独立した存在で、利害があってもそれを調整することができません。首都圏のあるJR東日本、東海道新幹線を持っているJR東海は大儲けしましたが、JR北海道やJR四国は低金利で当初計画していた利子収入が取れず、苦しんでいます。バスで十分なローカル線は廃止すれば良いのですが、幹線が潰れては困ります。しかし、株主にとってはマイナス要素しかないJR東日本によるJR北海道の救済合併はできません。JR北海道のローカル線を廃止して(場所によっては特急のみの運行にして)、スリム化を図るのが先でしょう。先も述べましたが、ローカル線の運賃は異様に安いのですから。後、JRではなくなりましたが、並行在来線の貨物列車の扱いも本来の姿をゆがめています。並行在来線に貨物列車を走らせると、多額の線路使用料がもらえます。下手に列車を増発すると、線路使用料が下がり、並行在来線会社の経営が悪化します。特急や夜行列車を走らせたくても走らせることができないのです。もちろん、並行在来線を分離したのは全国の鉄道ネットワークを毀損するという意味で望ましくはないのですが、赤字だから並行在来線が生まれたのであって、JRに引き取らせることはできません。枝線を分離することができるのを条件としないといけないでしょう。

 ここから先は余談のレベルになるかもしれませんが、(JR貨物のような割安なものではなく)適切な線路使用料を払うことによって、JR以外の第三者が夜行列車を走らせるというアイデアはあっても良いでしょう。候補は東京-大阪間のような旅客需要の多い区間や、東京・大阪-札幌間のような観光需要が見込めそうな区間です。豪華寝台列車に乗っても、出発したところに戻るのなら、何のための夜行列車かわかりません。
(参考:「鉄道ジャーナル」2025年4月号 鉄道ジャーナル社)

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