12年後のJR発足50周年をどう迎えるか?(1)
JRが発足してから38年が過ぎました。すでに国鉄が存続した期間を上回っています。そして、後12年経つと、JR発足50周年ということになります。2037年、JRはどのような姿になるのでしょうか? ちょうど気になる記事が「鉄道ジャーナル」にありましたので、それを参考にして書きたいと思います。
残念ながら、この期間に新幹線が開業する見込みはありません。北海道新幹線の全線開業は2038年度と言われていますし、北陸新幹線も西九州新幹線もルートが決まらず、中途半端な状態が続きます。リニアの品川-名古屋間の開通は2034年以降なので、JR50周年の時点では開通しているのでしょうか? 東京や大阪の比較的短い路線を除いては、新しくできるのはあまり期待できないです。
それに比べて変わるのが予想されるのが、切符。極論から言えば、スマホに委ねれば良いのです。磁気を含めた紙の切符、交通系ICカードの代わりにスマホが切符になるのです。「みどりの窓口」もなく、各自が鉄道会社のホームページにアクセスして、新幹線等の切符を予約し、代金も紐付けされたクレジットカード等で決済するのです。列車の出発時間が近くなると、勝手にメールが送られてきて、乗り遅れがないようにアナウンスしてくれます。当然値段も空席状況に応じて変化します。短距離だと自動改札機にスマホをタッチするだけで勝手に決済されます。今でもやっている人はいますが、それが普通になるのです。以前、リニア中間駅についての記事を書いたとき、リニアの中間駅には「みどりの窓口」等の営業施設が全くない、と書きましたが、そういう世界になるのです。自動券売機や「みどりの窓口」がなくなれば、都会の駅は売店で稼ぎますし、地方の駅だと駅舎も何もかもなくなります。ホームと雨をしのぐ小さな屋根、ベンチがあるだけです。時刻表もなく、自動改札代わりのQRコードがあるだけです。
ここまで極端でなくても、インターネットで長距離切符を買う動きはどんどん加速されますし、大都市圏などにある自動改札もQRコード化されるでしょう。紙の乗車券がQRコード化すれば、切符を磁気に対応させる必要がなくなります。紙の切符にQRコードを印刷すれば良いのです。ただ、運賃制度があまりにも硬直的で、様々な交通機関がある現代と全く合っていません。鉄道しか公共交通機関がなかった時代ならそのような規制は必要だったでしょうが、今はバスもありますし、航空機もあります。車も普及しています。延々と鈍行で長距離を乗るような人はいません。大都市圏はともかく、そうでないところは無駄に安いです。需要がある路線でも赤字で適切な投資が行われない原因になります。場所によっては、並行在来線の運賃と新幹線の運賃・料金がほぼ同じという区間もあります。値上げすべきなのは大都市圏以外の路線であり、鉄道の特性を活かせない路線のために大都市圏の住民が我慢をする必要はありません。地方の運賃を中心に正規料金を値上げして、安さを求める人にはインターネットの切符で対応するのが望ましい方向性と考えられます。
ただ、今後さらに積極的になるインターネットの切符にも、弱点があります。同じJRでありながら、会社によってシステムが異なります。小田急と近鉄といった私鉄同士なら仕方がないでしょうが、同じJRグループなら、基本的な操作は統一すべきでしょう。そういう意味では、JR6社の独立性は強すぎます。JRホールディングスといった各社の利害を調整する機関は必要だったのでしょう。また、JRのインターネット予約も、「みどりの窓口」の機能を移しているために、どうしても複雑になってしまいます。鉄道に詳しい人ならともかく、そうでない人にとっては難しいです。新幹線に特化している「エクスプレス予約」が評価されるのも、駅が限られているため、その分操作が簡単になるからです。新幹線だけのお得な切符を用意して、新幹線駅からは別途買ってもらうと割り切るのも手なのです。
長くなりましたので、残りは明日書きます。
(参考:「鉄道ジャーナル」2025年4月号 鉄道ジャーナル社)
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