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もう「米原ルート」を諦める?

 北陸新幹線は敦賀まで延びましたので、残る区間は敦賀-新大阪間です。この区間については小浜や京都を経由する、「小浜-京都ルート」で建設する予定でしたが、京都市等で工事が地下水に与える影響を懸念して、反対しています。そのため、今になっても着工に至っていません。

 そのため、「小浜-京都ルート」を止め、ほかのルートで新幹線を建設しようという動きが出ています。その代表格が、敦賀-米原間のみを建設する「米原ルート」。建設区間が短いので、その分建設費が安くなるという長所があります。

 しかし、いいことばかりではありません。「米原ルート」の場合、東海道新幹線に乗り入れて、新大阪まで直通するという保証はありません。同じ新幹線でありながら、米原で乗り換えを余儀なくされるという危険性があります。また、沿線の滋賀県のほか、実際に運行するJRの支持を得ていません。単に外野が騒いでいるだけのものです。ここを解決しない限り、「小浜-京都ルート」の代わりになり得ないのです。

 「米原ルート」に変えるには、利害関係者に支持してもらわないといけません。政治家の仕事です。「米原ルート」を支持する前原日本維新の会顧問も、JR東海に交渉していたと思われますが、どうやら理解を得ることができなかったようです。粘り強くやっていかなければならない話なのですが、早々と諦めてしまっているようです。

 こんな状況では、「米原ルート」にするのは難しいでしょう。そんなことなら足を引っ張るだけの「米原ルート」は止め、「小浜-京都ルート」を基本とした負担軽減案や、暫定的な整備案を考えたほうが良いでしょう。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20250929-SWQE3TCXZFP5FJZO5KDJI3LSDA/)

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Comments

リニアが開業すれば、東海道新幹線の本数が減ると言う人がいますが、これまでの新幹線開業を鑑みても、利用者が増えることはあっても減ることはほぼないので、東名阪間の本数が増えることがあっても、減ることは無さそうです。
特に、静岡県内では「のぞみ」通過に対する不満が多い上、実際に利用者に釣り合わない本数で、リニア建設の駆け引きにも繋がるので、「のぞみ」が減った分、「ひかり」が増える可能性が大です。

完全民営化した営利企業のJR海にとっては、リニアで空路を駆逐し、空いた東海道新幹線で中・短距離輸送を強化することで、高速バスや在来線からの転移を目指していてもおかしくありません。
そう考えれば、北陸新幹線の少なくない本数は、経営の足かせになることは必至です。
(北陸新幹線は、毎時1〜2本のローカル新幹線と言う人がいますが、現状でも毎時1〜2本で在来線規格での12両編成が常態化している上、新幹線化すれば、信越・上州方面への旅客が増えることから、毎時2〜3本になると思われます。)

また、西九州新幹線が全線開業すれば、新大阪〜鳥飼車両基地の回送列車も増えるでしょうし、大規模修繕にも影響が出かねないです。
米原から東海道新幹線の上を複々線化すれば良いと言う人もいますが、それなら小浜・京都ルートで素直に建設すればいい話で(場合によっては地下ではなく高架で)。

いずれにしても、鉄道に造詣の深い前原氏の発言は重いものと思います。

Posted by: RICOH | 2025.10.03 10:32 AM

 RICOHさん、こんばんは。

* リニアが開業すれば、東海道新幹線の本数が減ると言う人がいますが、

 リニアの全線開業もまだ先の話なので、その間はできるだけ利益を極大化するため、東海道新幹線の枠を減らす北陸新幹線は入れたくないというのがJR東海の考えでしょう。今のJRの枠組みを前提にすれば、そのJR東海の態度を非難できません。

* 米原から東海道新幹線の上を複々線化すれば

 「米原ルート」のメリットは安いことにありますから、米原から先をつくれば、そのメリットを殺してしまいます。

Posted by: たべちゃん | 2025.10.03 10:55 PM

まあ、前原氏が米原ルート云々言ったのは、本気で検討したいのではなく、小浜・京都ルートを主導した、かのひめゆり議員への嫌がらせだったのでしょう。
前原氏は民主党政権で外相だった時、ひめゆり議員から外国人献金問題を追及されて、辞任に追い込まれた過去があります。

「>小浜-京都ルート」を基本とした負担軽減案や、

最も可能性の高いのは、延伸計画自体の中止・断念ではないでしょうか?
B/C係数0.5などという状態で、進めるような案件ではないし、地元負担が生じる関西の自治体も、費用対効果が見込めないはずです。

ルート案自体は再考の余地があるかもしれません。
京都市街地を抜け、松井山手経由で淀川を渡り、新大阪というのは、あまりにも遠回り。
嵯峨野付近から彩都付近まで山間地帯を通り新大阪へ向かうくらいのルートなら、建設費も削減できるし、一応京都市内を通るから、JR西日本の了解を得られやすい。

ただ、これでも、BC係数1をクリアできるか?
建設コストが半分にできないと、1にはならないし、京都駅を通らないことで、Bが下がるなら、結局ダメということになります。
敦賀まで開業していることを考慮し、1に近い数字が出れば「おまけ」するのでしょうか?

また、京都府が負担に納得するかも問題です。
もともと、大阪へ向かう新幹線なのに、京都府の負担が大阪府の2倍にもなることに京都の不満が強いのに、京都市内の駅も郊外、かつ松井山手もなくなるなら、負担の抜本的な軽減を求めてくるでしょう。

京都だけを特別扱いできないなら、関西全体で負担を肩代わりする必要がある。
大阪府は想定以上の負担を求められるし、場合によっては兵庫県等線路が通過しない県も負担という話になるかもしれません。

負担割合をどう変えても、関西全体で負担が利益に見合うのかを考えたら、みんな拒否する可能性もあります。
関西の自治体に、北陸の人のために、敢えて損を覚悟してでも、協力するという気があるのか?
昔の大阪ならそういう気概もあったかもしれないが、今の大阪にそんな気があるか?
あるいは、小浜に原発を押し付けた見返りだから、新幹線の負担くらい関西はするべきだと説明するのだろうか?

>暫定的な整備案を考えたほうが良いでしょう。
敦賀同一ホーム乗換改造くらいは検討するだろうが、3線軌化スーパー特急やFGTはJRはやらなでしょう。
そんな複雑なことをするくらいなら、同一ホームリレー式でいいというのが今のJRの姿勢でしょう。

Posted by: かにうさぎ | 2025.10.04 03:32 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* ルート案自体は再考の余地があるかもしれません。

 松井山手を経由するのは、京都府も大阪府もお金がかかりすぎる原因になります。コスト削減のために変えたほうが良いでしょう。

* 建設コストが半分にできないと、1にはならないし、

 物価が上がればその分運賃なども上げることができますし、建設業者はその増えた収入でほかに波及させることもできます。建設コストが倍になっても、費用便益比が半分になるわけではありません。

* もともと、大阪へ向かう新幹線なのに、京都府の負担が

 京都も松井山手もできるのに、負担を値切ろうということ自体がおかしい話です。逆に、京都も松井山手もできず、亀岡あたりにできるほうが他県にある程度肩代わりしてもらえる大義名分になって、むしろ良いのかもしれません。

* 敦賀同一ホーム乗換改造くらいは検討するだろうが、

 現状、「米原ルート」は安いものの、利便性は劣るわけですから、わざわざルートを変える必要はないでしょう。今必要なのは、当面の暫定案です。

 ただ、名古屋方面と違い、幸か不幸か関西方面は敦賀乗り換えでもバスが撤退するなどダメージを受けているわけではないので、早急な対策が求められているわけではありません。その意味では、JR西日本としては必死になる必要がありません。そういう意味では危惧しています。

Posted by: たべちゃん | 2025.10.04 11:03 PM

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