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ローカル線への過大な内部補助はすべきか

 JRは利用者の少ない路線を廃止しようとしますが、廃止される側の地元自治体は強硬に反対します。そのときに地元が持ち出す論理は、「JRはトータルでは儲かっているので、黒字のところで穴埋めすればよい」というものです。どんなローカル線でも新幹線や大都市圏、不動産業の黒字で穴埋めしなければならないというのです。このような内部補助はどんなところでもしなければならないでしょうか?

 全く内部補助をしてはいけない、ということはありません。鉄道というものはネットワークで成り立つものであり、単純に一部分だけを切り取って存廃を論じてはいけません。そもそも、国鉄の分割民営化のとき、需要の少ないローカル線は廃止され、それなりに需要がある路線のみ引き取ることにしたのです。

 ただ、分割民営化から40年近くが経過しています。気がつけば、国鉄時代より長くなりました。JRはこれだけの長い期間、ほぼローカル線を廃止することなく維持してきました。十分役目は果たしたのです。しかも、JRが廃止しようとしている路線は、単に赤字の額で決めているのではありません。単純に赤字の額だけなら特急や貨物が通る路線のほうが多額です。地方の運賃が安すぎるので(大都市圏とほとんど変わらない運賃しか取っていません)、幹線並みの輸送密度がある区間でも赤字になってしまいます。JRが廃止しようとしているのは、鉄道がその特性を果たせない、簡単に言うとバスで十分な路線です。バスどころか、ジャンボタクシーで十分な路線です。今のJRは、利用者の極めて少ないローカル線にも過大な内部補助をしていて、本来必要なところへの投資ができていないのです。その間に高速道路ができ、空港ができ、ライバルは進化するのに鉄道は何も進化せず、SLの時代のままでは、使われなくなるのは当然です。

 本当なら、氷見線や城端線クラスの、JRとして運営するには苦しいものの、鉄道を維持するだけの需要がある路線の段階で、JRから分離しないといけません。JRも地元もお金を出して(氷見線、城端線のときは結構な額を出します)、使える交通機関として鉄道を整備するのです。JRのまま運営できたらそれに越したことはありませんが、補助金の受け皿の問題から、たとえ100%子会社でも、別組織にしないといけないのでしょう。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/mobility202511/)

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Comments

ローカル線の問題は国土交通省と自治体の交通行政の計画性のなさに起因していると思います。

・無料高規格の道路を作っても寂れる自治体とそうでない自治体がある
・高規格の道路があるゆえに鉄道や一般道が利用されなくなり、鉄道も集落も寂れてしまう

本来ならば道路行政と鉄道行政は並行して論じられるべきなのに別々になっているところに問題があるかと思います。

現在でも鉄道維持(存廃も含め)に真剣に向き合う自治体とそうでない(JR任せの)自治体で差が出てきています。

地元の方の移動に優しく、来客にも優しい公共交通の整備が地方活性化・生き残りのカギだと思います。

Posted by: ゆめ | 2026.01.03 08:04 AM

今の地方行政を見ていて思うのですが無いものにばかり目が行ってとにかく新しい道路等は作るけど、作りっぱなしの感があります。

もっとあるもの(道路も鉄道もバスも)に目を向けてそれをどうすれば利用してもらえるのか、なぜ利用してもらえないのか、といったところをもっと考えて欲しいです(本数が少ないのを嘆くだけではなくなぜ本数を減らさざるを得ないかを考えて欲しい)。

旧態依然の考え方がJRの内部補助依存を生み、国も自治体も動かない(地方によってですが)といった悪循環を生み出していると思います。

Posted by: 綾奈 | 2026.01.03 08:16 AM

 ゆめさん、おはようございます。

* ローカル線の問題は国土交通省と自治体の交通行政の

 簡単に言うと、国交省は仕事をしていないです。個々のローカル線については都道府県レベルでいいですが、おおまかなデザインは国がしないといけません。

* 本来ならば道路行政と鉄道行政は並行して論じられるべきなのに

 ローカル線に並行して高速道路ができたら、ますます鉄道が使われなくなるのは当たり前のことです。

Posted by: たべちゃん | 2026.01.04 10:43 AM

 綾奈さん、おはようございます。

* 今の地方行政を見ていて思うのですが

 高速道路は票になりますが、はっきり言ってつくり過ぎです。

* 旧態依然の考え方がJRの内部補助依存を生み、

 ある程度の内部補助はいるでしょうが、今廃止で問題になっているところは、鉄道として存続するのが論外のレベルです。「よくJRは頑張った」と言えるレベルのところです。

Posted by: たべちゃん | 2026.01.04 10:48 AM

しばしば、道路は税金で作るのにと比較されますが、自動車所有者は様々な税金を支払っています。
つまり、道路整備を税金で行うことは矛盾しません。
その上、今や一般財源化されています。
ですから、鉄道事業者は固定資産税などを除き、上も下も負担するのは当然のことです。

一方で、高速道路の造りすぎはまさにその通りです。
東九州道と都城志布志道路はほぼ並行しています。
十勝オホーツク自動車道は並行国道ですら閑散としているにも関わらず、完成4車線で計画されています。

さて、鉄道に話を戻すと、特定地方交通線の廃止の時もそうですが、基本的には枝線も維持しないと、本線も痩せ細ってしまいます。
ですが、地方は一人一台の車社会ですから、短中距離交通はもはや鉄道が出る幕はありません。
鉄道が担当すべきは中長距離交通と貨物交通です。
都市民が満員列車、劣悪な通勤・通学環境で我慢しているのに、その収益を地方の短中距離交通に使うのは無駄です。

JRは元国鉄なので、地方の路線も維持すべきという主張はありますが、JRの株式は国が持っており、4社に関しては既に売却済みです。
この時点で、JR4社にしてみては過去も未来も全て精算されているのであり、JR4社に維持を要求するのは資本主義経済からするとおかしいです。
地方公共団体は国に主張すべきなのです。

つまるところ、地方部の鉄道では、都市間交通と需要の太い貨物交通に力を入れるべきなのです。
その点で、国交省は全く仕事をしていないと言わざるを得ません。

道路局は道路関係税がありますが、鉄道局は何もありません。
その不釣り合いが、日本という国の交通体系を全体的に考えられない原因なのでしょう。
地方部においては、生活道路、都市間道路、都市間鉄道をどう構築するか、道路局や鉄道局の垣根を越えないと、いつまで経っても、道路は増殖し、鉄道はゾンビ化するのは避けられようもありません。

Posted by: RICOH | 2026.01.16 09:22 PM

 RICOHさん、こんばんは。

* ですから、鉄道事業者は固定資産税などを除き、

 それなりに需要があることが話の前提ですが、鉄道があることにより社会的な便益があるのですから、それなりの補助はあっても良いでしょう。

* 一方で、高速道路の造りすぎはまさにその通りです。

 生活道路のように採算の論理が通用しない道路はともかく、採算の取れない高速道路はつくる意味がありません。鉄道のように赤字のところを廃止するわけにはいかず、無駄な高速道路がお金を食い続けるだけです。

* 鉄道が担当すべきは中長距離交通と貨物交通です。

 後は通勤鉄道も入ります。つまり、スーツを着た人が乗るような鉄道が必要とされる鉄道です。車も使えるのに、お金を払って乗るだけの価値があるものが鉄道として価値のある鉄道なのです。

* その点で、国交省は全く仕事をしていないと

 まさしくその通りです。車、鉄道、航空機の分担をどうするか考えるのが国の役目で、ローカル鉄道の維持あたりは地方で考えてもらえば良いのです。

 車のように鉄道で独自財源を持つことも良いかもしれません。新幹線のように便利であれば、少々高くても乗ってくれます。

Posted by: たべちゃん | 2026.01.17 09:16 PM

新幹線が出来れば、大都市圏の空港の混雑緩和に繋がり、空港への投資を減らしたり、新規就航により、地方便の利便性が上がります。
大都市圏に限りますが、通勤鉄道の輸送力・利便性が上がれば、道路の混雑緩和に繋がり、空港と同様、道路への投資を減らすことが出来ます。

つまり、連続立体交差事業のように、道路関係税を通勤鉄道や貨物鉄道の強化に使ったり、(赤字ばかりで現実的では無いにしても)空港利用料の一部を新幹線の整備に使ったり、国土交通としての俯瞰的な視点を、政治家を先頭に持って欲しいところですね。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構の支援制度を拡充。)

そういう点では、肥薩線を従来通りのローカル線で復旧させるのは残念なところです。
途中駅(ローカル)の需要は道路(自家用車・路線バス・デマンドバス・デマンドタクシー)に任せて、単線新幹線や中速度鉄道にブラッシュアップして、生きたお金を使うべきでした。

Posted by: RICOH | 2026.01.18 06:45 AM

 RICOHさん、おはようございます。

* 新幹線が出来れば、大都市圏の空港の混雑緩和に繋がり、

 新幹線にシフトしてできた空港の枠は、長距離の国内線に使うか、国際線にすれば良いでしょう。

* つまり、連続立体交差事業のように、道路関係税を

 必要とされる鉄道に使われるのならば、車の税金を鉄道に使うことも是認できます。

* そういう点では、肥薩線を従来通りのローカル線で

 残念ながら、ローカル線として復活させても使われないだけです。被災前の利用実態では、社会的に見ても復活させる必要はありません。

Posted by: たべちゃん | 2026.01.18 10:11 AM

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