飛鳥 日本のふるさと
日本で始めて統一的な国家が形成されたのは、ここ飛鳥である。その後、都は飛鳥を離れたこともあり、飛鳥は当時の面影を今に伝えている。秋の休日、近鉄橿原神宮前駅から自転車に乗って、飛鳥をサイクリングした。
駅で自転車を借り、線路沿いに南へ。2つ南の飛鳥駅から東に少し登ると、高松塚古墳がある。ここ高松塚古墳は、1972年3月に発見された古墳である。古墳内部の壁画は調査の末、再び密閉され、見ることはできないが、壁画と全く同じものが模写されているので、飛鳥の美術品を今でも見ることができる。
自転車は東に進む。途中、鬼が旅人をつかまえ、食べたという鬼の俎<まないた>と用を足したという鬼の雪隠がある。もともとこの2つの石は、一体のものであったが、雪隠の部分だけが転がって別のところに行ってしまったようである。さらに東に行くと、亀のように見える亀石がある。このように、飛鳥には不思議な石が多い。もう少し東には、聖徳太子が生まれたという橘寺がある。かつては大きな寺だったらしい。
少し坂を登ると、急ににぎやかになってくる。ここが石舞台古墳、蘇我馬子の墓と伝えられている。30個あまりの石(総重量が約2300トン)だけが露出した格好になっており、下の石室にも入ることができる。なお、古墳は柵で囲まれており、入るのは有料である。古墳の手前には広々とした公園や売店があり、子供を連れた家族連れが遊んでいた。
御飯のあとはデザート。古くから都として栄えていた飛鳥ならではのデザートがある。それは、古代米(黒米)を使ったソフトクリーム。色は普通のソフトクリームよりほんのり黒い。味も少し古代の味がした。
今度は向きを北に変える。しばらく懐かしさを感じる田園風景の中を進むと、ひとつのお寺が見えてくる。飛鳥寺だ。外からはごく普通の寺のように見えるが、実は今から約1400年前の596年に建てられた、古い寺なのだ。ここもかつてはかなり大きい寺であったという。中には、日本最古の仏像である飛鳥大仏がまつられている。奈良東大寺や鎌倉のそれと比べると小さいが、日本で一番古い大仏であることには間違いない。
飛鳥に周りを一望できる小高い丘がある。甘樫丘という。入り口に自転車を置き、階段を登ると、飛鳥の田園風景を見渡すことができる。かつて、飛鳥の人々も、この丘の上からこの風景を見たのであろうか。(終わり)
↑石舞台古墳
飛鳥の田園風景↓
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