ANAは6割が赤字

 航空機の国内線の経営が悪化しています。

 国内主要6社の国内線事業は、2024年度、国による空港使用料の減免がなければ、営業赤字に陥っていました。ANAの場合、国内線全体に占める赤字路線の割合が、2018年度の39%から2023年度には58%に増えていました。羽田発着の地方路線が厳しいのはよく知られていますが、それと同じように伊丹発着の路線も幹線を除いては厳しいようです。

 なぜ悪くなったのでしょうか? ひとつの原因は、営業費用の増大。JALとANAの営業費用は2018年度と比較した場合、2024年度は16%増えています。そして、もうひとつの原因は、ビジネス需要の減少。国交省によれば、国内線の日帰り旅客のうち、出張や業務を目的とした人は、2019年の約317万人から2024年の約103万人に減少しています。1/3にまで減少しています。

 しかも、航空機の場合、もうひとつ特殊事情があります。航空機は、条件さえ合えば正規の運賃よりもかなり安く乗ることができます。事前に日程が決まっている観光の場合は、そうやって安い運賃で乗ります。安い切符があることが旅行に出かけるきっかけでもあるのです。しかし、ビジネスは急に出張が決まったりします。会社の利益のためなら、高い正規の切符を買って出かけることもあり得ます。なお、鉄道にも割引切符はありますが、正規の運賃との差が小さいので、そこまでの影響はありません。

 訪日客に期待する声もありますが、彼らは新幹線を使います。航空機はどこにでもありますが、新幹線は珍しいので、日本に来たら乗りたいのです。また、新幹線があるため、航空機の運賃の引き上げが難しいという要素もあります。正規料金では乗ってくれず、割引切符でないと乗ってくれないのです。

 交通機関にとってはビジネスこそいい客なのです。観光客ではなくビジネスパーソンが使うかどうかが重要なのです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/AST5Z3DDZT5ZULFA001M.html、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/ec67667c332c3d4ae57517588c07a0e9faaf3973)

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成田空港で「白タク」利用者が増えている?

 日本の空の玄関のひとつである成田空港。この成田空港へのアクセスとして使われている交通手段は何でしょうか? 成田空港会社は時々、アクセス交通についての実態調査を行っています。今回の2024年度と前回の2018年度を比較してみることにしました。

 アクセスは大きく分けて鉄道、バス、それ以外の車に分けられます。鉄道は2018年度の46%から2024年度の56%に増えています。好調なのが、「スカイライナー」。13%から19%に増えています。時速160キロという圧倒的な速さで本数が増えています。

 これに対して減っているのが、リムジンバス。「エアポートバス東京・成田」のように本数が多い便は、減っても何とか運行を維持していますが、本数の少ない系統を中心に大幅に減っていたり、廃止になったりしています。ちなみに、かつて成田空港へのリムジンバスがたくさん出ていたTCATからのバスは前回に比べて1/3ほどに減っています。空港から比較的近い千葉県の便の減りは小さいです。

 なぜリムジンバスは減ってしまったのでしょうか? いったん新型コロナの影響で大きく減り、その後、運転士不足の影響も受けているのでしょう。郊外からの便は日本人が主体のため、インバウンドの恩恵を受けず、存続できなくなっているのです。外国人が使いやすい、主要ターミナルへの便が主体になっています。

 鉄道やバス以外の車は、13%から17%に増えています。何が増えたのかと言えば、タクシー。2%から6%に増えています。外国人に限ると、4%から10%に増えています。このタクシーの利用者に、いわゆる「白タク」利用者が含まれると言われています。単なる違法タクシーで、運転士も外国人、運営会社を経営しているのも外国人で、日本人はインバウンドの恩恵を受けません。

 世の中にはライドシェアを積極的に推進する人がいますが、ライドシェアが求められるのはほかに交通手段がない過疎地であって、大都市や空港輸送などはタクシー会社に稼いでもらえば良いのです。お金持ちの人にはそのサービスに見合ったお金を払ってもらえば良いのです。会社が儲かったら、税金というかたちで還元してもらえば良いのです。反対に「白タク」は取り締まっていただき、収益を吸い上げてもらいたいものです。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/naritaairportbus2025/、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/dda2926eac76cf12b6fe862047df3bef26700488)

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新幹線を使って荷物を鹿児島から世界へ

 鉄道で荷物を運ぶ取り組みが増えています。JR九州も九州新幹線で荷物を運んでいますが、この荷物、海外にも運ぶことができます。

 どういうことかと言えば、「みどりの窓口」で荷物を預けると、九州新幹線と航空会社の貨物便で世界各地に送ることができるのです。鹿児島中央の「はやっ!便」カウンターに荷物を持ち込むと、博多まで九州新幹線で荷物を運びます。その後、UPS(親会社はアメリカの国際物流会社)の協力会社がトラックで北九州空港に運び、そこから航空便で関空を経由して世界に運ばれるのです。そのスピードは結構速く、アメリカやアジアの主要都市へは最短で翌営業日、カナダ、中南米、ヨーロッパ、中東、アフリカへは最短で2営業日で運ぶことができます。

 この海外への荷物輸送、1月14日から始まっています。今後、ほかの駅にも拡大することを検討しています。
(参考:JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2024/12/26/20241226_UPS_Japan_and_JRKyushu_utilize_Shinkansen_and_international_airline_networks.pdf)

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「WEST EXPRESS 銀河」、関空開港30周年で関西空港に乗り入れ

 117系を改造した、「WEST EXPRESS 銀河」。かつてのB寝台を思わせる、「クシェット」も備えています。普段は京阪神から山陰や南紀に行きますが、今回は思いっきり近いところが目的地です。

 どこに行くのかと言えば、関西空港。関空開港30周年記念企画として、関空、JR西日本、日本旅行の3社が共同で企画したものです。

 行程は次の通りです。9月28日の夜、京都(22:37ごろ発)もしくは大阪(うめきたエリア、23:34ごろ発)から乗車し、関西空港に0:41ごろに到着します。関空の第1ターミナルに行き、夜間特別開放が行われる関空展望ホールからの展望を楽しみます(約60分)。その後、バスに乗って制限区域内のツアーを楽しみます。車窓からの見学で、約90分です。制限区域内のツアーが終わった後は第1ターミナルでの約80分のフリータイムです。早めに「WEST EXPRESS 銀河」に戻ることもできます。帰りの「WEST EXPRESS 銀河」は関西空港4:48ごろ発。帰りは車内でグッズ販売会もあります。大阪(うめきたエリア)は5:59ごろ着、京都は6:43ごろ着です。

 値段は大人(中学生以上)が29800円、子供(小学生、親権者の同伴必要)が26800円です。リクライニングシート以外の座席を利用する場合は、5000~20000円の追加料金が必要となります。

(追記)
 8月10日現在、申込多数のため、完売となっています。
(参考:日本旅行ホームページ https://www.nta.co.jp/jrodekakenet/train/kixginga/)

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成田空港への鉄道が複線化?

 成田空港には新ターミナルの建設とそれに伴う線路の移設のがありますが、成田空港会社は現在あるアクセス鉄道についても話を行っています。

 成田空港へのアクセス鉄道はJRと京成の2つがありますが、どちらも単線区間があります。単線だと、駅や信号場でない限りすれ違いができず、運行本数に制約が出ます。成田空港は将来、航空機の発着回数が大幅に増え、その増えると見込まれる需要に供給が追いつかない危険性があるのです。

 運行本数を増やすには、複線化が欠かせません。複線化費用の負担の問題などについて、鉄道会社などに働きかける方針です。
(参考:チバテレプラスホームページ https://nordot.app/1151483664453206165)

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西九州新幹線でライバルの高速バスの利用者が増えた?

 2022年9月に開業してから1年半近くになる西九州新幹線。輸送密度については以前に記事にしましたが、新幹線開業前と比べてどれだけ利用者が増えたのでしょうか?

 新型コロナウイルスの影響が全くなかった2018年度と比べると、西九州新幹線は2%増えました。2004年の九州新幹線部分開業のときは2.3倍に増えましたから、それに比べると明らかに伸びは小さいです。どちらも途中駅での乗り換えがあるとはいえ、九州新幹線の場合は時間短縮効果が大きく(最速で比較すると1時間半以上も短縮しました)、しかもその乗り換えも一時的なものになることが最初から分かっていたので、どちらが優れていたかは明らかです。ただ、2018年度との比較では、九州新幹線博多-熊本間は84%に留まっていますし、そのほかの新幹線でも2018年度比では80~90%程度ですので、西九州新幹線との差に当たる10~20%程度が(新型コロナウイルスの影響を除去した場合の)西九州新幹線開業の効果とも言えます。

 ライバルの交通機関はどうでしょうか? 長距離でライバルになるのは航空機です。2022年9月から2023年6月までの大阪-長崎間の旅客数は30.7万人で、2018年9月から2019年6月の32.8万人と比較すると、6.4%減っています。しかし、航空需要も新型コロナウイルスの影響で減っています。大阪-鹿児島間の場合、2022年9月から2023年6月までは48.7万人、2018年9月から2019年6月までは56.6万人なので、14.0%減っています。そのことから考えると、西九州新幹線開業によって航空機の需要を奪ったとは考えにくく、むしろ西九州新幹線開業によって観光需要が増えたとも考えられます。また、新幹線が開業しても、割引切符の値段は下がっていません。3日前までに予約及び決済しなければいけない切符で考えると、大阪-長崎間は26180円します(2023年9月の場合)。新幹線の正規料金は20640円なので、新幹線の正規料金より高い強気の切符でも商売ができるのです。ちなみに、大阪-熊本間の同様の割引切符は、新幹線の正規料金よりも安くなっています。ここは安くしないと新幹線に勝てないのでしょう。

 近距離のライバルは高速バスです。九州新幹線のときでも、福岡-熊本間の高速バスは安く利用したい人から支持され、1割以上利用が増えました。西九州新幹線のライバル、「九州号」の伸びはそれ以上です。西九州新幹線開業直前の2022年8月に新型コロナウイルスの影響による需要減少や燃料高騰を理由に値上げをしましたが、それでも3~4割増えたようです。西九州新幹線とのスピード差があまりなく(開業前の在来線特急ぐらい)、これまで特急が停まっていた浦上には新幹線が停まらず、使いにくくなったことが原因にあるようです。ただし、新型コロナウイルスの前の水準には戻っていないようです。
(参考:「鉄道ジャーナル」2023年12月号 鉄道ジャーナル社、ながさき経済web https://nagasaki-keizai.jp/contribute/_contribute/7186)

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成田空港新ターミナルで鉄道も移設?

 成田空港には3つのターミナルがあります。第1旅客ターミナル、第2旅客ターミナル、第3旅客ターミナルです。

 ところがその成田空港ですが、滑走路の新設や延伸に伴い、利用客の大幅な増加が見込まれるため、ターミナルをひとつにまとめる構想があります。第2旅客ターミナルの南側にできる予定の新ターミナルは数階建てで、延べ床面積が100~120万平方メートルです。現在ある3つの旅客ターミナルを合わせた広さよりも若干広くなっています。この新ターミナルを建設した後、まず老朽化した第1旅客ターミナルを閉鎖し、最終的には第2旅客ターミナル、第3旅客ターミナルも閉鎖して、旅客ターミナルをひとつにまとめます。

 そして、この新ターミナルの話は、鉄道にも影響を与えます。現在は空港第2ビルに停まった後、成田空港に行きますが、空港第2ビルからの線路を変え、新ターミナルの近くに延伸します。現在の成田空港は、第1旅客ターミナルがなくなりますから駅は廃止されますが、空港第2ビルのほうは第2旅客ターミナル、第3旅客ターミナルがなくなっても貨物施設などに勤務する従業員の通勤のために残るようです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASS2700VRS26UDCB01B.html、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240206/k10014349731000.html、共同通信ホームページ https://nordot.app/1127562202333774337)

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「Peachひがし北海道フリーパス」等がリニューアル

 航空機で北海道を訪れた人が使うことのできるお得なフリー切符として、「Peachひがし北海道フリーパス」等がありますが、この春(4月8日発売分から)、リニューアルされました。

 これまでは航空機で北海道に来た人しか使うことができなかったのですが、この春からは発売箇所が新千歳空港の指定席券売機、「話せる券売機」のみですが、必ずしも航空機で来ないと行けないということはありません。帰りについても機内や空港売店で使うことができる1000円分の金券がついているだけで(提携している航空会社によって、どこで使えるかが変わります)、金券を放棄すれば、帰りも航空機に乗らなくてもいいのです。

 有効期間が道東だと4日間、道北だと3日間と短いので、北海道中を回るというような旅には使えませんが、週末や連休に訪れるというような旅行には便利な切符です。12歳以上25歳以下の人には割引もあります。
(参考:JR北海道ホームページ https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/230324_KO_JRHxAPJ.pdf、https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/230324_KO_JRHxADO.pdf、https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/230324_KO_JRHxANA.pdf)

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フジドリームエアラインズ、小牧-丘珠線を開設

 札幌には新千歳のほか、丘珠という小さな空港があります。道内の路線主体の空港なのですが、夏季には道外からの路線も加わります。なぜ夏季のみかと言えば、丘珠の滑走路が1500メートルと短く、雪のない時期でないとジェット機の離発着ができないからです。

 この道外の路線が1つ増えました。どこの便かと言えば、小牧。静岡県に本社がある航空会社、フジドリームエアラインズが運航します。すでにフジドリームエアラインズは、静岡や松本からの便を飛ばしており、小牧は3路線目になります。小牧は10年前からチャーター便での運航を行っていましたが、ようやく定期路線というかたちで就航することができました。3月26日から9月30日までの間(10月28日まで延長予定です)、1日2往復を運航します。

 また、新潟に本社があるトキエアも、新潟-丘珠間に航空路線を開設します。6月30日就航予定です。

(追記1)
 トキエアの就航日が8月10日に延期されました。

(追記2)
 結局、トキエアの運航開始は2024年1月31日になりました。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/komaki-okadama2023/、北海道新聞ホームページ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/829365、新潟総合テレビホームページ https://nordot.app/1039479599666741868?c=996030135055417344、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/130741)

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北九州空港の早朝便、深夜便を使うなら、ホテル代無料

 北九州空港は地方空港と言っても差し支えないですが、24時間使えます。九州唯一の24時間空港です。これを活かして、早朝や深夜にも設定があります。

 ただし、空港に近い人ならともかく、そうでない人が早朝便や深夜便を使おうと思ったら、ホテルに泊まらないといけません。早朝便や深夜便は安いことが多いのですが、宿泊するとその分の費用がかかり、せっかく安い便に乗った意味がなくなってしまいます。

 そこで北九州空港は、10月から12月までの間、北九州空港を7時までに出る早朝便もしくは22時以降に到着する深夜便に搭乗する(した)人が東横イン北九州空港もしくはアリストイン苅田北九州空港に泊まった場合、先着300室までホテル代が無料になります。予約はホテルへの電話のみで対応し、チェックインの時には必ず搭乗便を確認することができるものが必要だということです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/122045、福岡県ホームページ https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/sinnkitakyuusyuukuukou.html)

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