激安フリー切符で近江鉄道旅(2)

 八日市で米原行きに乗り換えるのだが、乗り換え時間で訪れたのが「近江鉄道ミュージアム」。通りかかったときに、たまたまあることに気づいたのである。昔使われていた機械なども展示している。規模は小さいので、10分程度の乗り換え時間でも十分に見ることができる。八日市13:11発の米原行きに乗って2駅、五箇荘で降りる。五個荘(五箇荘は駅名で、地名は五個荘である)は近江商人を多く出したところで知られている。出発が遅かったので次の列車までの1時間しかないが、駅を出て観光に出かけることにする。とは言っても、五個荘の古い街並みは駅からかなり離れていて、昔の商人の家や博物館に入る時間はない(時間があれば入りたかった)。街並みを歩くだけで時間になる。

 五箇荘14:19発の米原行きに乗り、高宮で乗り換え。多賀線の列車は米原方面のとうまく接続するようにダイヤを組んでいるので、八日市方面からだと30分近く待つことになる。駅舎には彦根市が整備した待合室があるので、そこで米原で買った駅弁を食べることにする。買ったのは「湖北のおはなし」。元々分割民営化直後にJR東海が各駅にある駅弁業者につくらせたもので(当時は各駅で駅弁が売られていた)、値段は900円に統一されていた。「湖北のおはなし」は久しぶりだが、値段が1480円と高くなっていたのはともかく(発売当初からすると1.6倍以上)、容器も竹すだれから紙箱になっていた。これでコストを抑えようとしたのだろうが、結局はそれも実らず、やがて幻の駅弁となってしまうのだ。ただ、味は小海老が消えたぐらいで変わらず。

 多賀線に乗り2駅、多賀大社前に着いて、これで近江鉄道の全線に乗ったことになる。朝と違って雪は止んでいて、道路にあった雪も溶けている。普段通りに歩くことができる。ここまで来たので多賀大社を参拝して門前の売店でお土産を買って再び駅に戻ったが、次の列車(16:27発)までまだ30分以上もあったので、待合室で待つ。その次の列車で米原まで戻ったが、高宮のほか、運用の都合なのか彦根でも乗り換えがあった。米原からJRで名古屋に戻る。米原でも接続があまり良くなく、30分近く待たされたが、大阪方面からの新快速が到着する前に並んだので、楽に席を確保することができた。そして、その豊橋への新快速の車内で、「湖北のおはなし」のデザートとしてサイコロの中に入っていた、飴を食べた。

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激安フリー切符で近江鉄道旅(0)

 1月13日のことですが、近江鉄道に乗ってきました。

 明日から2回に分けて、そのときの様子を書きます。

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新しい「青春18きっぷ」を持って(2)

 先ほども書いたように、今回の「青春18きっぷ」は連続3日間有効の切符である。つまり、13日までしか使えない。最終日の13日、名古屋5:37発の始発に乗って、今度は西に向かう。大垣で乗り換え、米原からは新快速に乗る。姫路には9:42に着いた。

 姫路で姫新線に乗り換え。播但線と姫新線に乗るには、いったん中間改札を通らないといけない。これらの路線には無人駅が多く、複雑なJRの路線網では、きちんと運賃が収受できない。ところどころに中間改札を置くのは理解できる。姫新線の列車は、姫路9:50発の播磨新宮行き。2扉転換クロスシートという珍しい座席配置のキハ127系の2両編成だ。転換クロスシートは、乗り降りがしやすいように、進行方向左側が1人掛けになっている。20分あまりで本竜野に到着。たつの市の中心の駅なので有人駅と思ったら、この12月から「みどりの券売機プラス」はあるものの、無人駅になったとのこと。どうやら姫路を出たら津山まで有人駅はないようだ。

 駅を出て龍野の街を散策する。揖保川を渡ると古い街並みが現れる。その龍野の特産のひとつが、淡口醤油。関西の味に欠かせない醤油である。その淡口醤油の資料館があるので、入ってみる。入館料はたったの10円。企業の宣伝の意味合いもあるが、それでも安い。その後、「赤とんぼ」で有名な龍野出身の童謡作家、三木露風の生家にも入る。お昼はもうひとつの龍野の特産品、そうめんにする。龍野のそうめんの最上級、「三神」というものを出す店があるので、そこでお昼にする。12月なので寒いが、麺を味わいたいので、にゅうめんにせずに冷たいのにする。後はゆっくりと駅に向かえばよいかと思っていたら、途中で時間に余裕がないことに気づき、走って何とか間に合う。

 本竜野12:16発の播磨新宮行きに乗る。こちらもキハ127系の2両編成。播磨新宮で折り返して、姫路に行く。下校時間なのか、余部で高校生がたくさん乗ってくる。1時間に1本しかない時間帯もあるので、少し少ないようにも感じる。線路は高速化で改良され、車両も良くなったが、本数が少ないのは残念だ。姫路で降り、次に向かうは手柄山中央公園。かつて、姫路にはモノレールが走っていた。1966年に行われた姫路大博覧会に合わせて運行を始めたが、あまり利用者がいなかったようで、8年で休止してしまった。モノレールの遺構は今でも市内に残っているが、手柄山交流ステーションでは、手柄山に残っている駅舎を活用し、モノレールの駅の様子を再現している。それを見に来たのだ。元々はモノレールだけを見るつもりだったが、同じ建物にある水族館側から入ってしまい、お金を払って水族館も見ることにする。播磨の川や池などの淡水に生きる生物を中心とした水族館だった。さて、肝心のモノレールは2両編成、車内はボックスシートである。ダイヤは9時から18時までの運行で、20分間隔だ(春から秋にかけての日祝は15分間隔)。行きは手柄山まで歩いたが、帰りは手柄から山陽電鉄に乗る。セミクロスシートの車両だったが、車両の後ろ半分のクロスシートは後ろ向きになっていた。

 姫路のシンボルは姫路城。世界遺産にもなっている。今は1000円だが、大幅値上げの話もあるので、今のうちに行くことにする。鉄筋コンクリートで復元され、エレベーターまでついているお城と違い、姫路城は基本的には江戸時代のものなので、階段の勾配はきつい。本来、城というものは観光施設ではなく軍事施設なので、当たり前と言えば当たり前だが。天守閣のほか、西の丸もぐるっと回って帰る。駅でお土産を買い、新快速で帰途につく。姫路16:56発なので、大阪はちょうど夕方のラッシュ。さすがに混んでいる。しかし滋賀県に入ると空いていき、米原に着くころにはガラガラになった。
(参考:うすくち龍野醤油資料館と手柄山交流ステーションでもらったパンフレット)

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新しい「青春18きっぷ」を持って(1)

 みなさんも御存じの通り、「青春18きっぷ」の制度が変わり、自動改札機を通ることができるようになったものの、3日間あるいは5日間連続で使わないといけないようになった。また、3日間用が新たにできたものの、1万円と割高になっている。今までよりは使いにくくなっているのは確かだが、それでも普通に乗車券を買うよりかはお得だ。「青春18きっぷ」を残すためにも、使っていかなければならないだろう。そこで11日に新しくなった「青春18きっぷ」を使って出かけることにした。切符は前日のうちに千種の自動券売機で買っている。何枚か紙が出たが、肝心の切符は自動改札機対応の1枚のみ。後は注意書きと領収書、クレジットカードの明細である。

 金山6:47発の新快速で東に向かう。終点の豊橋で乗り換え。豊橋7:48発の浜松行きは373系の6両編成だった(実は後になって、過去にもこの列車に乗ったことがあったことを思い出した)。隣に空いている席を見つけて座る。座れば快適だ。特急用の座席に運賃だけで乗ることができるのだから。豊橋から乗った客はそのまま浜松まで行くわけではない。沿線の工場への通勤なのか、途中で降りる。豊橋から2駅先の新所原からは静岡県なので、通学の高校生の乗り降りが見られる。通勤客も乗ってくるが、通路に立つ人はいない。浜松からは8:35発の興津行き。313系と211系が2両ずつつながった4両編成である。引退の近い211系のほうに乗ることにした。この興津行きの普通列車、島田あたりから客が乗ってくる。焼津になると立つ人も見られる。静岡のひとつ手前、安倍川で降りる。

 安倍川からは事前に調べた通り、西のほうに向かって歩く。しばらくすると旧東海道になった。北側には国道1号線が並行して走っている。そのまま歩くと丸子宿に入る。丸子宿は東海道の小さな宿場町。そして丸子宿の名物はとろろ汁。このとろろ汁を食べようと歩いてきたのだ。バスでも行くことができるが、江戸時代の旅人の気分を味わいたかったので、歩くことにしたのである。店は江戸時代にタイムスリップしたかのような、かやぶきの建物。静岡県で現存する、もっとも古い飲食店らしい。駅から歩いて40分ほどで着いたので、11時の開店まで待つ。だんだん人が増えてきた。時間になり、店の中に案内された。店内は一気に埋まる。名物のとろろ汁を注文。しばらくしてとろろ汁が運ばれてきた。おひつに入った麦めし、とろろ汁、味噌汁、漬物のシンプルなセットだが、結構お腹いっぱいになった。もっとも江戸時代の旅人はファーストフード感覚で素早く食べたと思われるが。帰りは店の北側に新静岡バスターミナルまで直通するバス停があるので、それに乗る。バスは静岡と藤枝を結ぶもので、日中でも30分間隔で走っている。丸子橋から乗ったバスは35分ほどで新静岡バスターミナルに着いた。

 新静岡バスターミナルは、ショッピングセンターの中にある。そして、静岡鉄道の新静岡もこの中にある。静岡鉄道は新静岡と新清水を結ぶ11キロの鉄道。日中でも8分間隔で走っている。2両編成の列車は、列車ごとに色が違い、乗ったのは緑。お茶の色だ。13:08発の新清水行きは発車した。静岡鉄道の売りは駅がたくさんあること。途中13駅に停まるので、駅と駅の間隔は平均800メートル。すぐに次の駅に停まる。また、駅はコンパクトで、スロープか少しの階段で乗り降りすることができる駅も多い。駅には自動改札機があり、交通系ICカードで支払うことができる。車両は高床式で路面電車規格ではないが、気軽に乗ることができるのは、半分路面電車みたいなものだ。25分弱で新清水に到着。JRの駅と離れているので、駅の案内図を見て、清水に行く。10分もかからずに着いた。

 清水からは再び東海道線に乗り、今度は吉原へ。ここで乗るのは岳南電車。駅の西側に岳南電車への連絡通路があり、そこで岳南電車の切符を買う。硬券であった。列車の接続は良く、乗るとすぐに発車。列車は1両だけで、元々は京王の車両。10人ほどが乗っている。岳南電車は工場の中を走る。かつては貨物輸送も盛んに行ってきた鉄道なのだ。岳南電車は次の駅、ジヤトコ前までは距離があるが、その後はこまめに停まる。早速2つ目の駅、本吉原で半分程度が降りた。その後も減る傾向にあり、終点の岳南江尾で降りたのは私を含めて2人だった。硬券はもらうことができた。折り返しは10分ほど後に発車する。そのまま折り返しに乗ってもよかったが、ふと駅の案内を見ると、南に2.5キロほど歩けば、東田子の浦に着く。試してみることにした。駅から少し歩くと、田んぼの中を南にまっすぐ伸びる道がある。ここを歩けばよい。ただ歩道はなく、道がまっすぐなので、車は飛ばす。車には注意が必要である。30分ほどで、東田子の浦に到着。予定通りの列車に乗ることができた。

 東田子の浦からはまっすぐ帰るのみ。東田子の浦15:25発の島田行きに乗る。313系と315系がつないであったので、315系のほうに乗る。この列車、静岡でかなり停まるので、ホームに停まっている浜松行きに乗り換えると良い。浜松行きは帰宅の高校生などで混んでいたが、何駅かすると空いてくる。その後の浜松、豊橋の乗り換えもスムーズ。乗り換えたらすぐに発車する。浜松からのも最初は座ることができなかったが、途中で座ることができた。ただこちらは途中から乗るのも多く、豊橋まで乗り通すのも多い。島田あたりで空く静岡とは大違いだ。浜松の静岡県内における微妙な立場が伺える。(続く)

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新しい「青春18きっぷ」を持って(0)

 11日と13日のことですが、新しくなった「青春18きっぷ」を持って出かけてきました。

 明日から2回に分けて、その時の様子を書きます。

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スマホで北関東周遊(3)

 三峰口に着いた時点で秩父鉄道には全線乗ったことになるが、秩父鉄道には短絡線がある。西武との間にある短絡線だが、それにも忘れずに乗っておく。短絡線を通る列車は休日しか走っていないのだ。短絡線は羽生方面、三峰口方面の両方ある。まず、三峰口方面への短絡線に乗る。西武秩父9:57発の三峰口行きがそれだ。御花畑から歩いて西武秩父に行く。元々少し距離があるし、おまけに西武秩父には温泉や土産物屋があるので、歩く距離は意外とある。西武秩父の改札で、秩父鉄道のフリー切符、「秩父路悠々フリーきっぷ デジタル版」を見せたところ、無事通過することができた。西武秩父から乗る三峰口行きは、飯能からの直通列車。西武秩父で折り返して三峰口に向かうようになっている。車両は西武の4000系。観光輸送にも対応することのできる2扉の車両で、セミクロスシートだ。4両編成なので、秩父鉄道としては長い。4000系はデビューしてから35年以上経つので、そろそろ引退の時期。次はおそらくワンマン対応のロングシート2両編成ぐらいになりそうだから(快適に秩父に行きたいなら特急に乗ってもらえばよい)、これが4000系の乗り納めになるだろう。飯能からやって来た三峰口行きは、西武ライオンズのユニフォームを思わせる白がメインの通常の塗装ではなく、赤とクリーム色の塗装。かつて西武で走っていた貨物用の電気機関車のイメージらしい。三峰口行きは西武秩父の駅を出ると、すぐ右側にある坂を下り、秩父鉄道に入る。次の影森で降りる。貨物用の線路があり、貨物列車が見える(休日であるにもかかわらず、貨物列車は何回か見た)。反対側には学校があり、運動会をやっていた。

 これで三峰口方面への短絡線には乗ったが、羽生方面のは残っている。御花畑に戻り、再び歩いて西武秩父に行く。次の羽生方面は西武秩父からは出ず、ひとつ池袋寄りの横瀬から出ている。西武秩父からひと駅乗って横瀬に向かうのだが、使う切符は「埼玉県民の日 記念 西武線1日フリーきっぷ」。多摩川線を除く西武線が全線乗り放題の切符だ。埼玉県では埼玉県民の日に合わせて、お得なフリー切符をつくることが恒例となっているが、普通は埼玉県民の日の11月14日しか使えなかったり、フリー切符のエリアが埼玉県内に限られたりする。しかし西武は、11月17日まで有効で(しかも使う当日に買えばよい)、エリアも多摩川線を除けば東京都内まで広がっている(ただし東京都内の駅では買うことができない)。値段も800円とお得だ。西武秩父から池袋までの片道運賃がちょうど800円であることを考えると、買わない選択はない。秩父鉄道直通の長瀞行きは横瀬始発。車両は西武秩父からやって来た。4000系の4両編成である。秩父鉄道直通が横瀬始発とは中途半端なような気がするが、池袋からの特急は横瀬にも停まるので、それ(「ちちぶ9号」、横瀬10:48着)の接続を受けて出発する。乗り換えはホームの反対側に行くだけ、西武と秩父鉄道の乗り換えがいらないというのがメリットだ。長瀞行きはほかの列車と同じように西武秩父に向かうが、西武秩父に着く直前に左側にある坂を下る。坂を下るとすぐ御花畑だ。次の秩父で降りる。

 駅を降りてすぐ近くに秩父神社があるので、参拝する。秩父神社は第10代の崇神天皇のころにつくられたという、由緒正しい神社である。ちょうど七五三の時期で、家族連れで賑わっていた。参拝の後は、道路を挟んだ向かいにある、秩父まつり会館へ。秩父には12月3日に行われる秩父夜祭など、いろいろな祭がある。秩父まつり会館では、その秩父夜祭で使われる屋台や笠鉾を展示している。本来入館料は500円だが、「秩父路悠々フリーきっぷ デジタル版」を見せると、450円になった。秩父まつり会館を出て、駅に戻る。途中で汽笛が鳴る。ふと見ると、SL「パレオエクスプレス」が発車しようとしていた。駅は秩父市地場産業センターが入っていて、お土産などを買うことができる。一角に軽食コーナーがあり、ワンコインで地元のお酒を飲むことができる。自動販売機に100円入れて選んだのが、「イチローズモルト」。秩父でつくられるウイスキーだ。なかなか手に入りにくいもののようで、ここで飲んでみる。10ミリリットルだけ出てきた。帰りは西武で帰るので、ひと駅秩父鉄道に乗っても良かったが、それほど距離もないので歩くことにする。戦前までにつくられた、趣きのある建物が多く、観光客で賑わっている。さて、秩父を出る前にお昼にしよう。西武秩父の近くにある店に入る。行列ができていたが、一人だったので、しばらくすると入ることができた。頼んだのは、みそポテト、猪串、わらじカツと豚みその丼。秩父の名物である。ちなみにみそポテトはジャガイモに衣をつけて揚げ、甘い味噌をかけたもの、豚みそは、豚を味噌漬けにしたものである。(続く)
(参考:「関東甲信越 ローカル鉄道途中下車の旅50選」 成美堂出版)

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スマホで北関東周遊(0)

 11月14日から16日にかけて、北関東に行ってきました。10月末に携帯電話を買い替え、スマホが使えるようになりましたので、それを活用した旅となりました。

 明日から何回かに分けて、その時の様子を書きます。

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丹後の海に遊ぶ(3)

 ケーブルカーで山を降りた後、元伊勢籠神社(「籠」は「この」という)に参拝し、天橋立元伊勢籠神社11:23発のバスで伊根に向かう。宮津と伊根を結ぶバスは運賃が200円か400円に抑えられ、本数も1時間に1本程度ある。ローカルバスとは思えないほどの充実したサービスだ。普通なら値段は倍、本数は半分になってもおかしくない。とても民間バス会社だけではできず、地元自治体が補助しているのだろう。おかげで伊根は公共交通機関で充分行くことができる場所になっている。伊根町に入ってすぐが遊覧船乗り場の伊根湾めぐり・日出。12:00発の船に乗る。遊覧船は2階建てで、2階は屋根がない。幸い雨は止んでいるので伊根の舟屋を見るには2階のほうがよいのだが、えさ(「かっぱえびせん」)を狙う海鳥がいっぱい。鳥なので、当然落としものもある(被害に遭った人もいた)。海が荒れ、かばんが重くてバランスが取りづらいので、下の屋根のある席にする。オープンデッキなので、眺望も悪くはない。ところで、舟屋とは船のガレージみたいなもの。道路が整備されていなかった昔は、船が一番便利な乗りものだったのだろう。マイカーならぬマイ船だ。

 遊覧船は25分で港に戻ってきた。宮津方面のバスまで時間があるので、伊根までバスに乗ることにする。伊根までフリー切符で行くことができるのだ。10分近く遅れて来たバスは、細い道を通って伊根に向かう。海からではなく、陸からでも伊根を目指すのだ。伊根の舟屋を間近に見た後、バスで宮津方面に戻るのだが、長い行列ができている。これから伊根湾めぐり・日出に行くのに、伊根の時点で座れない人が出たのだ。幸い、伊根湾めぐり・日出からバスに乗った人はそれほど多くはなかった。その後は、天橋立元伊勢籠神社や天橋立ケーブル下を除いて乗り降りは少なく、1時間ほどで天橋立駅に着いた。ふと駅を見ると、見慣れない列車がいる。近づいて見てみたら、この10月にデビューしたばかりのJR西日本の観光列車、「はなあかり」だ。キハ189系を改造してつくった観光列車だが、3両ともグリーン車になっている。次の列車まで1時間以上あるので、ここでようやくお昼。あさり丼にする。どういうものかと思っていたら、あさりの卵とじが載ったものだった。駅前にある文殊菩薩を参拝し、お土産を買う。

 天橋立15:22発の西舞鶴行きに乗る。1両編成の転換クロスシートだが、ラッピングがしてある。中ほどに温泉に入っている絵が描かれているが、何のラッピングかはよくわからない。この列車で西舞鶴に行くが、途中雨が激しく降って景色が見づらかったところもあるので、引き返すことにする。すぐ時刻表を見て、計画を組み直す。宮津のひとつ手前の駅、栗田で折り返せばよい。西舞鶴16:37発は先ほどとは違って、「コミューター車両」。ただしトイレがあるので、朝豊岡から乗った車両とは違う。栗田からの折り返しは、水色のオリジナルの車両だった。

 西舞鶴に戻り、「秋の乗り放題パス」で名古屋に戻ることにする。最初に乗ったのは、西舞鶴17:55発の福知山行き。緑一色の113系2両編成だ。この113系、2両とも電動車なのでパワーはあるが、よく揺れる。車端部のボックスシートに座ったが、かなりの揺れだった。新型車両に慣れた身にとってはこたえる。綾部で乗り換え。山陰線の列車は向かいに停まっていた。223系の2両編成である。この綾部18:18発園部行き、途中までは順調に走っていたが、下山で停まる。ここですれ違うはずの列車が来ないのだ。なぜかと言えば、途中で鹿をはねたとのこと。鹿をはねたところで徐行するという条件で15分遅れで出発。しかも、対向列車が鹿をはねたところで後片付けをしたため、遅れはさらに拡大。園部で予定していた列車に接続しなくなった。園部では19:44発の京都行きに乗る。221系の4両編成。京都に近づく前に、天橋立で買ったばらずしを食べる。このばらずし、丹後地方に伝わる郷土料理で、鯖のそぼろが特徴である。予想通り、京都に近づくにつれ乗ってくる。亀岡で増え、嵯峨嵐山からは各駅で乗ってくる。時間が時間だけにインバウンド客は少ない。それ以外の日常の利用も根付いているのだ。国鉄時代の非電化のままでは使われなかっただろう。特急の待避駅が変更になったため、3分遅れで京都に到着。

 ダイヤが乱れていたのは山陰線だけではなかった。湖西線も強風で「サンダーバード」が迂回運転、普通も一部区間で間もなく本日の運転を取り止めるようだ。ただ、乗る琵琶湖線の列車には大きな影響はなく、米原で乗り換えることができた。米原からは313系、これを見れば名古屋に近づいてきたことを感じる。時間が遅いので米原で乗り継いだ客は少なかったが、大垣や岐阜で乗ってくる。お酒を飲んだのか、かなり大声で話しているのもいて、正直言ってうるさかった。

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丹後の海に遊ぶ(2)

 昨日(18日)のうちに福知山で買った一日乗車券を持って、京都丹後鉄道に乗る。豊岡6:17発の西舞鶴行きに乗る。2両編成で、後ろの車両はオリジナルの水色をベースにしたもの、前の車両は同じ転換クロスシートだが、水戸岡氏の手でリニューアルされた、「コミューター車両」だ。カフェオレ色がベースで、座席のモケットもいくつかのバリエーションがある。トイレは「コミューター車両」にはなく、後ろの車両のを使うことになる。豊岡を出てすぐ県境を越えるので、乗客は私を含めて2人だけ。雨が降り始めた。

 久美浜からは京都府。久美浜で1人降りたが、ほとんどの駅で少しずつとはいえ、乗ってくる。土曜日なので立つ人はいないが、平日なら通路までぎっしりだろう。2両編成になっているのは、この通学の高校生のためなのだ。1時間20分ほどで、宮津に到着。ここで高校生は降りる。私は乗り換え。宮福線開通に伴って増設したと思われる、奥の4番線に行く。宮津7:42発の福知山行きは1両編成。新しい車両で、車両の中ほどは転換クロスシートだが、扉の近くはロングシート。トイレもある。この福知山行き、各駅に停まるが、客の乗り降りはほとんどない。大江高校前や大江でも降りる客は見られない。乗っている高校生も福知山まで行くようだ。大江からは少しずつだが、乗ってくる客がいる。

 福知山で折り返し。いったん改札を出て、コンビニでコーヒーと蟹入りちくわを買う。これから乗るのは、「たんごリレー1号」、京都丹後鉄道内のみを走る特急だ。普段はKTR8000形(「丹後の海」、旧「タンゴディスカバリー」)が使われるが、週末を中心に元JRキハ85のKTR8500形が使われる。今日はキハ85が使われる日だ。「たんごリレー1号」は2両編成、前が指定席で後ろが自由席だ(JRに直通する特急ではないので、自由席がある)。持っている一日乗車券は特急の自由席にも追加料金なしで乗ることができるため、後ろの車両に乗る。京都からの特急がやってきて、乗り継ぎ客が乗ってきた。「たんごリレー1号」は発車した。早速検札があるが、車掌は先ほど乗った普通列車に(車庫のある)荒河かしの木台から便乗した女性だ。それにしても特急は速い。国鉄時代の古い規格ではなく、鉄建公団の規格なので、地形を気にせず進み、トンネルが多い。宮津に到着。宮津ではスイッチバックする。この「たんごリレー1号」は豊岡行き(網野からは快速)だが、座席の向きを変える人はいない。それもそのはず、宮津で降りなかった人は天橋立で降りた。次の駅ならわざわざ座席の向きを変えない。駅にはインバウンドの外国人観光客が多く、係員は英語で対応している。

 今日使っている一日乗車券は名を「海の京都 天橋立・伊根フリーパス1Day」と言い、京都丹後鉄道特急自由席乗り放題のほか、宮津桟橋-天橋立桟橋-一ノ宮桟橋間の天橋立観光船、天橋立傘松公園ケーブルカー・リフト、伊根湾めぐり遊覧船、宮津駅-伊根間の路線バスが乗り放題で、大人3550円。かなりお得な切符だ。ちなみに観光船、ケーブルカー・リフト、遊覧船、路線バスはいずれも丹後海陸交通のものだ。海のものも陸のものもある。まずは観光船に乗る。天橋立を近いところから見ることができ、しかもバスみたいに遠回りしなくても済む分、速いのだ。10:00発の一ノ宮桟橋行きは少し遅れてやってきた。客を乗せて出発。桟橋を出てすぐのところに駅と天橋立を結ぶ橋があるのだが、航行に支障するため、船が通るときは橋が旋回して通行できないようにしている。

 船は12、3分で対岸の一ノ宮桟橋に到着。少し山のほうに歩くとケーブルカー乗り場がある。ケーブルカーとリフトは並行して走っているが、雨が降っているので、リフトは休み。ケーブルカーは15分間隔。次は10:30発のはずだが、2分ほど早く発車。途中すれ違った便は混んでいたし、山上の傘松でも待っている人がたくさんいた。多いときは随時運行しているようだ。傘松に着いたらするのが、お約束の股のぞき。しかし、龍が昇っているようには見えなかった。(続く)

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丹後の海に遊ぶ(1)

 今日(18日)も「秋の乗り放題パス」を持って出かける。金山7:25発の新快速に乗り、大垣で乗り換える。4両と短いので混んでいて、米原まで座ることができなかった。米原で北陸線に乗り換え。慌てて乗り換えたが長浜止まりで、結局次の新快速と同じ。その新快速も近江塩津止まり。敦賀へは階段を使っての乗り換えとなる。長浜方面と近江今津方面とを階段を使わずに乗り換えできるようにしているのだが(直流化のお金を出した滋賀県の要望)、輸送の実態とは合っていない。敦賀方面に行きたい人ばかりだ。

 次の小浜線、東舞鶴行きは11:18発なので、1時間半程度時間がある。いったん駅を出て、氣比神宮に行く。帰りにおぼろ昆布の店に立ち寄り、ちょっとお土産を買った。11:18発の東舞鶴行きはは3時間半ぶりの列車。125系の2両編成で、後ろの車両は若狭特産の鯖のラッピングがしてある。後ろの車両に乗るが、それなりに乗っている。ガラガラというほどではない。利用者は決して多いとは言えないが、廃止以外の選択肢がないローカル線ではない。

 1時間少々で沿線最大の町、小浜に到着。ここで降りて、駅の西のほうにある、古い町並みを散策。お昼なので、海沿いの店でお昼も食べる。鯖街道の起点らしく焼き鯖も添えて。やがて駅に戻り、15:30発の東舞鶴行きに乗る。こちらも125系の2両編成。敦賀方面から乗ってきた高校生が降り、代わりに小浜の高校生が乗る。それにしても125系は1両で走ることが売りの車両だが、見かけた列車はいずれも2両編成。最初から2両編成としてつくっていれば、運転席もトイレも半分にすることができたので、ある意味もったいない。今なら223系や225系を転用するだろうが、当時はちょうどいい車両がなかったのだろうか? 東舞鶴行きは県境を越えるため、高校生はだんだん降りていく。東舞鶴に着くころにはかなり空いていた。

 東舞鶴からの次の列車は17:01発。40分あまりある。時間が少しあるので駅を出て海のほうに向かう。赤レンガ倉庫(実は、博物館)をちらっと見て戻る。17:01発福知山行きも125系の2両編成。一番後ろに乗る。次の西舞鶴で乗る人が多い。東舞鶴よりも西舞鶴のほうが経済の拠点なのだろうか? スーツ姿の人もいて、出張帰りなのか、立ちながらビールを飲む人もいた。30分弱で綾部に到着。昨日よりも西にいるので、この時間(綾部着は17:29)でも何とか外を見ることができる。綾部では京都への特急に乗り継ぐのか、サラリーマン等が降りていき、立っている人はほとんどなくなった。10分ほど停まっている間に、外は暗くなった。13分で終点の福知山に到着。次の列車(18:32発豊岡行き)まで時間があるので、京都丹後鉄道の乗り換え改札で明日(19日)に使うフリー切符を買う。朝早い時間だと豊岡の窓口は閉まっていて、切符が買えないのだ。

 福知山18:32発は223系の2両編成。接続する普通の到着が遅れたので、発車が2、3分遅くなった。すぐに県境を越えるため、乗っていた高校生もすぐ降りてしまう。兵庫県に入った和田山で乗る人もいたが、いつの間にか降りてしまい、車内はかなり空いた。泊まるホテルは駅から歩いて7分ぐらい。しかし、店はほとんど閉まっている。開いているのは居酒屋ぐらい。これならどこかで弁当を買っておいたほうが良かったか? おまけにホテルでは故障のためクレジットカードが使えず、駅まで戻って「ICOCA」のチャージをして、ホテルに戻る。ようやく支払いができた。晩御飯は駅に戻る途中で見つけたお好み焼きの持ち帰りにした。(続く)

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