開業から1年近くが経った、西九州新幹線に乗りに(2)

 船は新門司港6:00着なので、朝は早い。レストランも5:00から営業している。トースト、コーヒー、ゆで卵、サラダがセットになった、モーニングセットを注文。喫茶店のモーニングみたいなメニューだ。船は定刻に新門司港に着いた。結構激しく雨が降っている。車でない限り、連絡バスに乗り遅れたら、タクシーしか利用できるものはない。連絡バスは西鉄バスの運行で、外観は路線バスだが、中は観光バスみたいな車内。短距離の高速バス用か? 乗ったのは私を含めて4人だった。6:10に発車。連絡バスは山を越えて門司、小倉に行く。土地勘がある泉大津なら歩いてでも行けそうだが、こちらは無理だ。連絡バスは小倉まで行くが、時間に余裕があるので門司で降りる。門司までは20分ほど。次に乗るバスは小倉駅前(南口)を7:30に出るので、その間に門司港まで行く。門司港行きは6:43発。811系の8両編成だが、前がオリジナルの転換クロスシート、後ろがリニューアルされたロングシートだ。ロングシートのほうに座る。変にデザイン重視ではなく、きちんと座ることのできるシートだった。門司港で折り返すが、帰りに乗った(門司港7:02快速久留米行き)のも同じ車両。今度は転換クロスシート。7時を過ぎて、ようやく外が明るくなってきた。 

 九州で一番の都市は福岡。発達している高速バスも福岡を中心に出ている。その中で福岡を無視するように走るのが北九州と長崎を直結する「出島号」。予約したときに印刷した紙を運転士に見せ(降りるときにその紙を渡す)、バスに乗る。バスは市内の何か所に停まった後、北九州都市高速、九州道を走る。隣にも誰か乗ってくるはずだったが、ほかの空席に移ったようだ。バスには15人ほどが乗っている。バスは雨をものともせず走っていたが、太宰府インターチェンジを過ぎたあたりで渋滞にはまる。玉突き事故のためで、30分ほど遅れて高速基山に到着。高速基山は基山パーキングエリアに併設されているバス停。基山パーキングエリアは福岡方面(太宰府インターチェンジ)から入って最初のパーキングエリアで、設備が充実している。時間があったらバス停をしばらく見てから(ここからも九州各地の高速バスに乗ることができる)、パーキングエリアにも寄るつもりだったが、時間がないので、すぐにバス停から出る。 

 高速基山のすぐ東をJRが走っている。事前に調べた通り踏切を渡り、並行して走る国道を南に歩けばけやき台。10分少々で着いた。9:31発の鳥栖行きに乗る。リニューアルされて座席が減った813系の6両編成だった。次の基山で甘木鉄道に乗り換え。改札を出て甘木鉄道の乗り場に行く。甘木鉄道は元々国鉄の路線だったが、分割民営化のころに第三セクターになった。国鉄のときは本数が少なく、使えない路線だったが、甘木鉄道になってから増発や駅の移設などの積極策で生まれ変わった。今利用者が極めて少ないとして問題になっている路線はともかく(逆に幹線鉄道網の一部なので、下手に廃止にすると問題が起こるところもある)、国鉄から切り離された路線の中にはそういうものがある。国鉄時代の努力が足りなかったのだ。甘木鉄道は1両とはいえ、昼間でも30~40分間隔で走っている。基山9:41発も十数人の客を乗せて出発。西鉄との乗り換え駅である小郡でも乗る客のほか、降りる客も見られた。後は降りる客が多く、甘木まで乗っていたのは3人だった。ICカードは使えないので、車内で現金で払う。(続く)

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開業から1年近くが経った、西九州新幹線に乗りに(0)

 2022年9月に開業した西九州新幹線ですが、2023年9月13日から15日にかけて、ようやく行くことができましたその時の様子を明日から何回かに分けて書きます。

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西九州新幹線開業後の長崎線の輸送密度

 西九州新幹線が開業してまもなく1年。どれぐらい使われているのでしょうか? JR九州から2022年度の輸送密度が発表されましたので、西九州新幹線や長崎線などに絞ってみていきたいと思います。

 西九州新幹線は2022年9月23日に開業したので、半年間のみの実績です。輸送密度は5882人でした。それでは、周辺の在来線はどうでしょう。新幹線開業後も同じように在来線の特急に乗る長崎線の鳥栖-佐賀間は24046人(2021年度は18594人)、佐賀-江北(旧:肥前山口)間は15478人(2021年度は11571人)です。新型コロナウイルスの影響はありますが、徐々に元の状態に戻りつつあったのが2022年度です。

 それでは、新幹線開業によって特急が消えた区間はどうでしょうか? 江北(旧:肥前山口)-諫早間は3078人(2021年度は3861人)です。先ほども書きましたが、新幹線開業は2022年9月23日なので、新幹線開業の影響は半分だけです。2023年度の数字がどうなるかが注目されます。また、区間も肥前鹿島で分割して、ローカル輸送が一番少ない肥前鹿島-諫早間がどうなったかが注目したい事項です。長崎近郊の諫早-長崎間は11128人(2021年度は11332人)と微減になりました。「かもめ」利用客が新幹線に移ったため減ったのでしょう。喜々津-浦上間は3921人(2021年度は3597人)でした。

 ほかの路線も見ていきましょう。佐世保線は5582人(2021年度は3597人)と増えました。これまではいなかった長崎への客が、西九州新幹線開業によって江北(旧:肥前山口)-武雄温泉間に乗るようになったので、数字が良くなったのでしょう。大村線は4007人(2021年度は3655人)でした。
(参考:長崎新聞ホームページ https://nordot.app/1072341050371752917?c=174761113988793844)

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JR九州等、一部特急料金を値上げ

 JR九州等は、10月1日(一部は2024年4月1日)から特急料金の値上げを行います。

 JR九州で値上げをするのは、(1)通勤用の在来線「エクセルパス」の特急料金相当額 (2)観光列車の指定席特急料金 (3)(2)に伴って変わる割引切符の価格 (4)博多-佐賀間の特急列車内で発売する自由席特急料金 です。(1)は10月1日購入分から、(2)と(3)は10月1日乗車分から、(4)は2024年4月1日購入分から変わります。JR西日本とJR九州の両社で値上げするのは、(5)山陽新幹線、九州新幹線に乗った場合の「eきっぷ」です。特急料金は2022年4月に値上げしましたが、そのときは割引切符の類は値段を据え置いていました。それを今回、値上げすることにしたのです。

 それでは、どのように変わるのでしょうか? (1)通勤用の在来線「エクセルパス」の特急料金相当額は、50キロまでの場合、19220円から20940円になります(1か月の場合)。なお、通学用の在来線「エクセルパス」の値段は変わりません。(2)観光列車の指定席特急料金は500円増しになります。一番短い25キロ以下の区分でも1030円から1530円に変わります。JR九州自慢の観光列車なので、少々高い特急料金でもいいのでしょう。なお、この見直しに伴い、一部の観光列車では少し高い指定席料金を設定しているものがありますが、それらも値上げ後の料金に統一します。(3)「九州ネットきっぷ」や「eきっぷ」を利用した場合、普通車指定席用の特急料金を500円増しにします。(2)に連動しているものです。(4)博多-佐賀間で車内で自由席特急券を買った場合、200円を加算します(子供は100円)。門司港・小倉・行橋-博多間と同じ扱いになります。なお、この区間の特急停車駅全てのホーム上に券売機を設置し、乗車直前でも特急券を購入できるようにします。博多-佐賀間でもPayPayで買うことができるようにします。(5)今回見直されるのは、普通車指定席用とグリーン車用で、普通車自由席用は変わりません。繁忙期や閑散期に応じて料金は変わります。また、山陽新幹線内で「のぞみ」や「みずほ」に乗った場合、加算額の適用があります。通常期に「のぞみ」や「みずほ」に乗った場合、新大阪-博多間が4910円から6030円になります(このほか、別途乗車券が必要です)。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230808_00_press_eticket.pdf、JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2023/08/08/20230808_express_fee_.pdf、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20230809-OYTNT50043/)

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久大線の新しい観光列車にはキハ125も加わる

 2024年春に走り始める、久大線の新しい観光列車。これまでJR九州の観光列車のデザインを行ってきた、水戸岡氏がデザインを行わないことで知られています。この新しい観光列車、「いさぶろう」と「しんぺい」を改造してつくるのですが、新しい観光列車は3両編成です(全席グリーン車で、60席程度)。1両足りません。それでは、この足らない1両はどこから持ってくるのでしょうか?

 それはキハ125。観光列車用の車両ではなく、普通列車用の車両を改造します。そもそも旧高千穂鉄道の車両を除いて、キハ125が観光列車になるのはこれが初めてです。3両編成の真ん中に組み込んで、ラウンジ車両にします。

 なお、久大線には「ゆふいんの森」という観光列車があります。かなり古い車両もあるので(キハ58の足回りを流用したものもあります)、今後も走り続けるか心配なところですが、提供するサービスや到達時間、ターゲット層などが異なるため、このまま変わらずに走り続けるようです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/8ec84df10e1bf2a848875d2e3a40a45664effa81)

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不正乗車防止のため自動券売機で初乗り切符販売中止

 短距離の切符は駅の自動券売機で買えるものですが、あえてそれをしない駅があります。

 それは小倉。JR九州の初乗り切符は170円ですが、小倉から170円で行くことができるのは、西隣の西小倉だけ。小倉と西小倉の間は800メートルしか離れていないので、この区間だけを使う人はそれほど多くはないと思われます。しかし、170円の初乗り切符はよく売れています。

 どうしてでしょうか? どうやら小倉で170円の初乗り切符を買って改札に入り、遠くの無人駅で差額を払わずに降りるのがいるようです。小倉では170円の切符が1日約300枚売れていますが、そのうち9割は回収できていないのです。JR九州には571の駅がありますが、約6割の338駅が無人駅です。鹿児島線や日豊線なら無人駅でも自動改札がある駅もあるので、不正乗車がやりにくいですが、それ以外だとやり放題です。

 そこでJR九州は7月22日から8月10日までの間、小倉での初乗り切符の販売を自動券売機では行わず、「みどりの窓口」か改札口での対面販売に限ることにしました。機械ではなく駅員からなら、不正乗車を行うために初乗り切符を買う、ということはしにくいでしょう。対策のひとつにはなります。もっとも、次の区間の210円の切符が代わりに使われるかもしれませんが。210円の区間はそこそこあるので、170円のときみたいに自動券売機で売らない、という方法は取れないでしょう。

 本来なら検札を強化して、不正乗車をしにくくするのが筋かもしれませんが、摘発しても請求できるのが運賃の3倍までなので、数万円の定期券を持っている人を相手にしない限り、摘発しても得るものが少ないです。約款にさえ書いておけば1万円までは徴収できるなどというように、法律の改正が求められます。このような不正乗車は、JRの複雑な路線網が悪いほうに働いているとも言えます。JR西日本の一部の駅で行っているように、支線との分岐駅に中間改札を置いて、切符を正しく買わせるようにするのもひとつの方法でしょう。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/884e9b233e7d8275f7ecdedd4d5e5ece0c0791b9、西日本新聞ホームページ https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1111632/)

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JR九州、委託駅130駅の直営化を検討

 駅の中には、切符の販売を子会社等に委ねているところがあります。JR九州もそのひとつです。

 そのJR九州ですが、10月から委託駅のうち130駅をJR九州の直営にすることを検討しています。JR九州の駅は全部で571駅ですから、1/5以上が対象となります。博多の隣の吉塚や竹下も対象の130駅に含まれます。

 駅業務を子会社等に委託するのは、コスト削減のため。それなのになぜ逆のことをするのかと言えば、駅業務の委託がコスト削減につながらないからです。委託駅では子会社等が切符の販売や清掃などを行います。しかし、専門性の高い現金の回収や列車の誘導などは別の駅からJR九州の社員が出向いて行います。子会社等が全てを行うわけではないので、逆に非効率になることもあるのです。

 なお、これまで委託されていた子会社等で働いていた人については、JR九州本体に転籍させるようです。
(参考:KBCホームページ https://kbc.co.jp/news/article.php?id=10552120&ymd=2023-07-20)

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日田彦山線BRTも交通系ICカード利用可能に

 8月28日に開業する予定の、日田彦山線BRT(BRTひこぼしライン)。ここでも交通系ICカードが使えるようになります。

 ただし、8月28日から2024年3月31日までの実証実験というかたちを採るので、通常の鉄道やバスとは利用方法が異なります。どういうことかと言えば、BRTの車内でモバイル型決済端末を使って、BRTの運賃を払うのです。BRTの区間だけの運賃を払うことができ、鉄道と跨がっての利用はできません(そもそも、添田、夜明、日田は「SUGOCA」エリアではありません)。

 実際の使用方法について説明します。まず、BRTに乗るときは、整理券を取ってください。支払は降車時です。運転士に整理券を提示し、「SUGOCA」を使うことを伝えます。運転士が乗車区間の運賃を確認し、モバイル型決済端末で決済を行います。車内でのチャージはできません。また、先ほども述べたように「SUGOCA」以外の交通系ICカードも使えますが、支払方法が普通の鉄道やバスと異なり、店舗での方法と同じなので、「PiTaPa」は使えないものと思われます。

(追記)
 「青春18きっぷ」で日田彦山線BRTに乗ることもできます。
(参考:JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2023/06/29/230629_brt_mobaile_sugoca_cash.pdf、https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/info/list/__icsFiles/afieldfile/2023/07/19/20230719_brt_waribiki_ticket__1.pdf)

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JR九州、夏休み中は子供100円で1日乗り放題

 JR九州は2022年10月15、16日の2日間、子供限定で150円乗り放題の切符を発売しましたが、この夏、それをパワーアップさせます。

 それはこの夏に発売される、「こどもぼうけんきっぷ」。JR九州の快速、普通列車がたった100円で一日乗り放題になります。特急券を買えば、新幹線や特急にも乗ることができます。

 「こどもぼうけんきっぷ」の発売期間は7月1日から8月30日まで。利用日の前日までに購入する必要があります。利用できるのは、7月21日から8月31日の間です。購入時に利用日を決める必要があるようです。発売箇所はJR九州の指定席券売機もしくは「JR九州インターネット列車予約」のみで、「みどりの窓口」では購入できません。インターネットで購入した切符を受け取ることができるだけです。

 家族でのお出かけでも子供の分は安くなりますし、子供単独の利用も制限されていませんから、高学年なら一人や友達同士で行くこともできるでしょう。おじいちゃん、おばあちゃんの家への帰省、自由研究にも使えそうです。
(参考:JR九州ホームページ www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2023/06/29/230629_bouken_no_hazimari_ouenkippu.pdf)

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大分市、市のお金で駅員を派遣へ

 7月1日から、大分市内の4駅が無人化されました。

 無人化されたのは、日豊線の高城、大在、坂ノ市、豊肥線の中判田。JR九州は2018年から大分市内の駅の無人化を検討していましたが、そのとき無人化されなかったところが無人化されたのです。また鶴崎については無人駅にはならなかったものの、駅員のいる時間が短くなりました。無人化された駅は、カメラやインターホンを使って乗客に対応しています。「スマートサポートステーション」です。

 これに対して大分市は、鶴崎を含めた5駅で、構内の案内や利用者の見守りをする人を置くことにしました。大分市が500万円を負担します。予算案は大分市議会に提出され、それが可決されたら、10月末までの平日朝7~9時、駅員が配置されます。

 乗客の利便性から考えれば駅員がいるに越したことはありませんが、駅員を置くのもコストがかかるので、それをJR九州に強制させることはできません。市のお金で駅員を置くというのが落としどころでしょう。理想を追求するなら、駅に市の出張所を置いて、対応できる時間を延ばすことです。
(参考:TBS NEWS DIG https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/580242?display=1)

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