JRグループ、乗継割引廃止

 JRの特急には、乗継割引という制度があります。乗継割引とは、新幹線と在来線の特急を乗り継いだときなどに、在来線の特急料金などが半額となるものです。本州と北海道、本州と四国の間では、在来線特急、急行同士でも割引になることがありました。新幹線の開業で在来線の特急が分断され、それによる特急料金の高騰を抑える目的で設定されました。

 ところがこの乗継割引、2002年の東北新幹線八戸開業のときに縮小されました。2011年の九州新幹線開業のときは小倉や博多で山陽新幹線とJR九州の特急を乗り継いだときの乗継割引が廃止され、2023年の春には岡山などで山陽新幹線とJR四国の特急を乗り継いだときの乗継割引が廃止になりました。そして2024年春、残っているJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本の乗継割引が廃止になります。廃止日はJR東海とJR西日本が北陸新幹線の開業する2024年3月16日、JR北海道とJR東日本は未定です。チケットレスサービスが普及し、それに伴い乗継割引の利用者が減ったためです。これにより2024年春以降に残る乗継割引は西九州新幹線及び別記事で書く北陸新幹線敦賀での乗り継ぎにかかるものを除いてなくなることになります。

 乗継割引は新幹線と在来線を乗り継いだときに在来線特急が安くなり、お得なので、廃止は痛いでしょう。ただ、このような制度があるためにJRの料金制度が複雑になってしまう面もあります。「みどりの窓口」で買う正規の切符の値段を高くする代わりに、魅力的なインターネットでの割引切符を拡充するのが求められることでしょう。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/92c228a30aae6cd43730ecbceaaf7f38b02df982)

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自民党プロジェクトチーム、JR全社での常設の協議機関の設置を求める

 分割民営化から35年以上が経ち、JR各社の間には格差が目立っています。株式を上場し、数兆円もかかるリニアを自力でつくろうとしている会社もあれば、赤字ローカル線ばかりでどうにもならない会社もあります。

 そこで自民党のプロジェクトチームは、JR旅客鉄道6社とJR貨物が参加する常設の協議機関の設置を求める提言をまとめました。分割民営化後に各社に生じた格差を是正するためのもので、それができないのであれば再国有化や持ち株会社化の議論もすべきだとしています。

 確かに分割民営化時にJRホールディングスのような各社の上に立ち、利害を調整する機関は必要だったのでしょう。JR東海の莫大な利益があれば、それを財源に(鉄道が得意とする)幹線鉄道の整備が進んだことでしょう。東海道線沿いに貨物専用鉄道をつくることもできたかもしれません。

 ただ残念ながら、再国有化は論外として(黒字会社を買い取るには多額のお金が必要ですし、一地域の人しか利用しないローカル線を国が買い取る理由もありません)、どうやって持ち株会社をつくるのか、という話はあります。既存の上場しているJR株と交換するのでしょうか? また、新幹線や大都市の通勤路線で稼いだ分を、バスで十分運ぶことができるような赤字ローカル線につぎ込むのは全くの無駄です。こういうところは一定の基準で機械的にJRから切り離し、地元の県や市町村で運営させることを議論の大前提にしないといけません。
(参考:東京新聞ホームページ https://www.tokyo-np.co.jp/article/250328)

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「ジャパン・レール・パス」、「のぞみ」等も利用可能に

 「ジャパン・レール・パス」は、日本を観光目的で訪れる訪日旅行者が利用可能な切符です。7~21日間、JR全線が利用可能な切符ですが、「のぞみ」と「みずほ」は利用できません。東海道・山陽・九州新幹線の主要列車なのですが、数百円程度の追加料金がネックなのか利用することができず、「ひかり」等のそういう制約のない列車に乗らざるを得ません。

 ところが、10月ごろを目途に、JRグループはそのような事態を解消する予定です。「のぞみ」や「みずほ」については乗車前に専用の切符を追加で購入することにより、乗ることができるようになります。追加で購入しなければならない切符の値段は未定です。単なる都市間特急に過ぎない「のぞみ」や「みずほ」に追加の切符を求めること自体がおかしい話ですが、乗ることができるようになることは一歩前進と言えるでしょう。

 消費税率の改定によるものを除くと、1981年の発売開始以来一度もしていなかった、値上げも行います。現在の普通車用(7日間用)は、JR指定販売店、代理店が29650円、専用サイトが33610円ですが、どちらも50000円になります。かなりの値上げのように見えますが、このところの円安傾向を考えると、ドル建てではその値上げ率は小さくなります。普通車用(14日間用、21日間用)、グリーン車用(7日間用、14日間用、21日間用)も同様に値上がりします。正直言って、今の「ジャパン・レール・パス」の水準は安すぎます。普通車用(7日間用)の場合、今の値段では東京と新大阪を往復するだけでほぼ元が取れてしまいます。日本人よりも観光で日本に来る外国人のほうがお金を持っているでしょうから、適切な水準にするのが望ましいでしょう。

(追記)
 「ジャパン・レール・パス」の値上げは10月1日に行います。専用サイトで購入する場合は、日本時間の10月1日4時から値上げになります。

 また、「のぞみ」や「みずほ」に乗るには、「【ジャパン・レール・パス専用】のぞみ・みずほ利用券」が要ります。「のぞみ」や「みずほ」に1回乗るごとに、1枚必要です。その値段は、東京・品川-新大阪間の場合、4960円です。どうやら、自由席特急券と同額が必要になるようなので、お金を持っている外国人でも使いづらいのが正直なところかもしれません。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230414_00_press_jprailpass.pdf、https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230726_03_press_japanrailpass.pdf、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230414-OYT1T50249/)

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「フルムーン夫婦グリーンパス」廃止へ

 年齢の合計が88歳以上の夫婦なら、JR全線のグリーン車が乗り放題となる、「フルムーン夫婦グリーンパス」。5日間の場合、2人84330円で全線乗り放題になります。東京-名古屋間の新幹線普通車指定席を夫婦で2往復するのとほぼ同じ値段という、大変お得な切符。これがどうやら廃止になるようです。国鉄時代の1981年に発売されましたが、40年で廃止になることになるようです。私も使う権利は持っていたのですが、使わぬまま終わってしまいそうです。

 JR西日本によれば、近年の販売枚数は落ち込んでいたようです。もっとも、「フルムーン夫婦グリーンパス」は国鉄時代から発売され、今でもJR6社で使うことのできる切符なので、見直そうと思っても、各社の利害が絡んで、適切な見直しができなかった可能性もあります。
(参考:毎日jp https://mainichi.jp/articles/20220831/k00/00m/020/275000c)

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最長片道切符の終点は新大村

 同じ駅や区間を二回以上通らないようにすれば、非常に長い片道切符をつくることができます。現時点での最長片道切符は、稚内から肥前山口までの片道切符ですが、9月23日の西九州新幹線開業以降は、最長片道切符のルートが変わります。

 どのようなルートになるのでしょうか? 大村市によれば、次のようなルートになります。肥前山口(新幹線開業後は江北)から先のみを書きます。肥前山口から長崎線で諫早、諫早から大村線で早岐、早岐から佐世保線で武雄温泉、そこから西九州新幹線で新大村に行くのが最長片道切符のルートなのです。稚内発新大村行きが最長になるのです。今までより18.5キロ長いルートになります。

 余談になりますが、西九州新幹線の運賃は、武雄温泉-諫早間は大半の整備新幹線と同じく実際の距離、諫早-長崎間は東海道新幹線などと同じく並行する在来線の営業キロを基に計算します。
(参考:JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/transport/20220801_conditions_of_carriage_01.pdf、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/68b0bda52a5530351a9ce06dd41b7f7d18d7e66e)

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JRが利益を維持するには2~6割の値上げが必要

 少子化が進む日本。今後も人口減少の傾向は続きます。さらに言えば新型コロナウイルスの影響で通勤需要が減り、収支が悪化しました。しかも、新型コロナウイルスが収束したとしても、ある程度はテレワークが進み、通勤需要が元に戻るとは考えにくいです。需要が減ると言うことを前提に、採算を考えないといけません。

 そんな中、野村総研は、JR東海を除く旅客鉄道のJR5社が、現在の路線網を維持した上で2019年度の利益水準を維持しようとした場合、今から20年ほど後の2040年度には、運賃を2~6割上げないといけないということが分かりました。イメージで言えば、東京-大阪間の現在の運賃は8910円ですが、2割上がると約10800円に、6割上がると約14400円になります。

 この間に需要の少ないローカル線の廃止が行われるかもしれませんが、あまりに利用者が少ないことから赤字の金額はそれほどでもなく、芸備線東城-備後落合間を廃止しても、2.6億円しか赤字は減りません。高速輸送や大量輸送の需要がないローカル鉄道は退場するしか仕方がありませんが、赤字の解消の点から言えば、劇的な効果は生み出しません。

 そういうことから言っても、ある意味安すぎる運賃の値上げは不可避でしょう。大都市圏以外ならローカル私鉄や路線バスの運賃を基準に、JRの運賃を決めれば良いのです。ローカル私鉄なら東京のお古でも許されるのに、JRなら京阪神の新快速並みの車両が求められ、しかも運賃は大都市圏とさほど変わらないのであれば、やっていけないのはある意味当然です。

 また、ある程度の距離になれば、特急を使います。東京-大阪間を普通列車だけで行く人は鉄道好きな人を除いてはまずいません。静岡でも新幹線でしょう。ある程度の距離になれば、運賃そのものよりも、運賃と特急料金の合算がいくらになるかが重要です。その点では、運賃だけを値上げする近鉄の値上げは評価できます。大阪から名古屋や伊勢まで特急に乗らずに行く人はあまりいないでしょうから。さらに言えば、正規料金は高くても、競争の激しい区間についてはインターネット等で安売りの切符を売れば良いのです。有人の「みどりの窓口」で買う人には高い切符を買ってもらい、券売機やインターネットで買うことのできる人にはライバルの交通機関の状況を考えた切符を売れば良いのです。
(参考:東京新聞ホームページ https://www.tokyo-np.co.jp/article/173308)

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JRの駅数は4368駅

 2022年は国内で初めて鉄道が開通してから150年という記念すべき年。そこでJRグループは、「JR全駅入場券」セットを発売します。

 「JR全駅入場券」セットは250セット限定。JR6社全駅(4368枚)の硬券タイプ入場券をセットにしたもので、価格は送料込みで税込70万円です。専用のバインダーが付いています。JRの駅には無人駅も多く、現地に行っても入場券を買うことができない駅もあります。その分も含めて入場券を発売するのです。

 なお、駅数は増減することがあります。4368駅は3月2日時点での数字であり、その後の駅の改廃によって変動します。

 「JR全駅入場券」セットは5月中旬から専用ホームページで受け付けます。申込多数のときは抽選を行います。商品の発送は10月14日以降に行います。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/116123)

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JR4社の株式持ち合いが増加

 JRグループの中で上場しているのは4社。JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州です。ところで、このJRの4社、互いの株式を持ち合う動きを強めています。2020年3月期には互いの株式を追加取得し、1年前に比べて1.8~3.6倍に増やしました。2020年3月時点の発行済み株式数に占める割合は概ね0.2~0.5%程度ですが、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社はJR九州の株式を1.25~1.32%保有しています。

 JR4社は、株式を持ち合う理由として、災害への対応や技術開発についての情報交換、MaaS(鉄道やほかの交通機関を組み合わせて効率的な移動を目指す動き)への対応のためとしています。JR九州の株がアメリカの投資ファンドに買われているので、その対応との見方もあるようです。半分近くがこのような短期的な利益しか考えない(会社がどうなっても構わない)投資ファンドに買われているのです。

 JRが株式を持ち合うことについて批判する人もいますが、あまりにも単純な見方と言えます。そもそもJRはグループとして捉えるもので、バラバラに独立しているような存在ではありません。分割民営化したとはいえ、各社が連携して鉄道サービスに当たらなければならないのです。ホールディングスみたいな持ち株会社の下にJR各社がぶら下がる形態をとってもおかしくはなかったのです。投資ファンドが株を買うということはその会社に魅力があるということなので喜ばしいことと言えますが、会社も利用者も得して初めて株主も得する権利があるのです。会計のテクニックを駆使し、会社の財産を食ってまで株主に利益を与える必要はないのです。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60810150V20C20A6TJ1000/、ニュースイッチホームページ https://newswitch.jp/p/22761、Net IB News https://www.data-max.co.jp/article/32625)

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JR時刻表から駅弁の案内が消える

 時刻表は、単に列車の発着時刻を載せているだけではなく、いろいろな情報が載っています。

 駅弁の情報もそのひとつ。時刻表の下のところに、沿線の駅で発売している駅弁の名前とその値段が書かれていいます。ところが交通新聞社の発行するJR時刻表は、今発売している2019年9月号をもって、その記載を取りやめます。時刻表には駅弁を発売している駅に「弁」のマークを付けていますが、それも9月号でなくなるようです。

 なぜJR時刻表は駅弁の案内をなくすことにしたのでしょうか? 交通新聞社によれば、インターネット等の普及で駅弁に関する情報が簡単に手に入ります。また、駅構内には「駅ナカ」がたくさんあり、売店もコンビニになっています。そもそも、駅弁の定義も曖昧で、一般社団法人日本鉄道構内営業中央会に入っていなくても、駅構内で弁当を売ることができます。駅弁でなくてもいろいろな食事ができると判断して、駅弁の掲載を取りやめるようになったようです。

 でも旅に出たら、どこでも売っているコンビニ弁当ではなく、駅弁を食べたいものです。ライバルのJTB時刻表は、今後も時刻表に駅弁の情報を載せていくとのことです。
(参考:J-CASTニュース https://www.j-cast.com/2019/08/30366175.html?p=all)

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開放式の寝台料金の記載が旅客営業規則からなくなる

 国鉄やJRには、運賃や料金を定めた旅客営業規則というものがあります。その旅客営業規則ですが、3月16日のダイヤ改正に合わせて、改正が行われます。

 改正の内容はおおさか東線の開業に伴う大阪市内の範囲の拡大や、中央東線特急の全車指定席化に伴う変更などもありますが、今回の改正で寝台料金についても手が加えられることとなりました。A寝台料金、B寝台料金について、それぞれ開放式の料金が削除され、個室の料金だけが残ることになります。2016年3月の北海道新幹線開業に伴うダイヤ改正で開放式寝台が全廃されたことに伴うものです。

 改正後も残る寝台料金は、A寝台の「シングルデラックス」、「カシオペアツイン」、「カシオペアコンパート」、「カシオペアデラックス」、「スイート」、「カシオペアスイート」、B寝台(客車)の「ソロ」、「ノーマルツイン」、「シングルツイン」、B寝台(電車)の「ソロ」、「シングル」、「サンライズツイン」、「シングルツイン」です。開放式の料金はなくなったものの、B寝台(客車)のように今はすでにない車両の料金が残っているところもあります。

 ともかく、旅客営業規則から削除されたということは、今後開放式の寝台列車は走らないということなのでしょう。JR側の言い分はあるのでしょうが、カーテン1枚でしか遮るものがないのに6480円(二段式)の料金は高いです。もっとも、「ノビノビ座席」の指定席料金は上げてもよいでしょうが。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/jrkisoku201902/)

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