「フルムーン夫婦グリーンパス」廃止へ

 年齢の合計が88歳以上の夫婦なら、JR全線のグリーン車が乗り放題となる、「フルムーン夫婦グリーンパス」。5日間の場合、2人84330円で全線乗り放題になります。東京-名古屋間の新幹線普通車指定席を夫婦で2往復するのとほぼ同じ値段という、大変お得な切符。これがどうやら廃止になるようです。国鉄時代の1981年に発売されましたが、40年で廃止になることになるようです。私も使う権利は持っていたのですが、使わぬまま終わってしまいそうです。

 JR西日本によれば、近年の販売枚数は落ち込んでいたようです。もっとも、「フルムーン夫婦グリーンパス」は国鉄時代から発売され、今でもJR6社で使うことのできる切符なので、見直そうと思っても、各社の利害が絡んで、適切な見直しができなかった可能性もあります。
(参考:毎日jp https://mainichi.jp/articles/20220831/k00/00m/020/275000c)

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最長片道切符の終点は新大村

 同じ駅や区間を二回以上通らないようにすれば、非常に長い片道切符をつくることができます。現時点での最長片道切符は、稚内から肥前山口までの片道切符ですが、9月23日の西九州新幹線開業以降は、最長片道切符のルートが変わります。

 どのようなルートになるのでしょうか? 大村市によれば、次のようなルートになります。肥前山口(新幹線開業後は江北)から先のみを書きます。肥前山口から長崎線で諫早、諫早から大村線で早岐、早岐から佐世保線で武雄温泉、そこから西九州新幹線で新大村に行くのが最長片道切符のルートなのです。稚内発新大村行きが最長になるのです。今までより18.5キロ長いルートになります。

 余談になりますが、西九州新幹線の運賃は、武雄温泉-諫早間は大半の整備新幹線と同じく実際の距離、諫早-長崎間は東海道新幹線などと同じく並行する在来線の営業キロを基に計算します。
(参考:JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/transport/20220801_conditions_of_carriage_01.pdf、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/68b0bda52a5530351a9ce06dd41b7f7d18d7e66e)

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JRが利益を維持するには2~6割の値上げが必要

 少子化が進む日本。今後も人口減少の傾向は続きます。さらに言えば新型コロナウイルスの影響で通勤需要が減り、収支が悪化しました。しかも、新型コロナウイルスが収束したとしても、ある程度はテレワークが進み、通勤需要が元に戻るとは考えにくいです。需要が減ると言うことを前提に、採算を考えないといけません。

 そんな中、野村総研は、JR東海を除く旅客鉄道のJR5社が、現在の路線網を維持した上で2019年度の利益水準を維持しようとした場合、今から20年ほど後の2040年度には、運賃を2~6割上げないといけないということが分かりました。イメージで言えば、東京-大阪間の現在の運賃は8910円ですが、2割上がると約10800円に、6割上がると約14400円になります。

 この間に需要の少ないローカル線の廃止が行われるかもしれませんが、あまりに利用者が少ないことから赤字の金額はそれほどでもなく、芸備線東城-備後落合間を廃止しても、2.6億円しか赤字は減りません。高速輸送や大量輸送の需要がないローカル鉄道は退場するしか仕方がありませんが、赤字の解消の点から言えば、劇的な効果は生み出しません。

 そういうことから言っても、ある意味安すぎる運賃の値上げは不可避でしょう。大都市圏以外ならローカル私鉄や路線バスの運賃を基準に、JRの運賃を決めれば良いのです。ローカル私鉄なら東京のお古でも許されるのに、JRなら京阪神の新快速並みの車両が求められ、しかも運賃は大都市圏とさほど変わらないのであれば、やっていけないのはある意味当然です。

 また、ある程度の距離になれば、特急を使います。東京-大阪間を普通列車だけで行く人は鉄道好きな人を除いてはまずいません。静岡でも新幹線でしょう。ある程度の距離になれば、運賃そのものよりも、運賃と特急料金の合算がいくらになるかが重要です。その点では、運賃だけを値上げする近鉄の値上げは評価できます。大阪から名古屋や伊勢まで特急に乗らずに行く人はあまりいないでしょうから。さらに言えば、正規料金は高くても、競争の激しい区間についてはインターネット等で安売りの切符を売れば良いのです。有人の「みどりの窓口」で買う人には高い切符を買ってもらい、券売機やインターネットで買うことのできる人にはライバルの交通機関の状況を考えた切符を売れば良いのです。
(参考:東京新聞ホームページ https://www.tokyo-np.co.jp/article/173308)

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JRの駅数は4368駅

 2022年は国内で初めて鉄道が開通してから150年という記念すべき年。そこでJRグループは、「JR全駅入場券」セットを発売します。

 「JR全駅入場券」セットは250セット限定。JR6社全駅(4368枚)の硬券タイプ入場券をセットにしたもので、価格は送料込みで税込70万円です。専用のバインダーが付いています。JRの駅には無人駅も多く、現地に行っても入場券を買うことができない駅もあります。その分も含めて入場券を発売するのです。

 なお、駅数は増減することがあります。4368駅は3月2日時点での数字であり、その後の駅の改廃によって変動します。

 「JR全駅入場券」セットは5月中旬から専用ホームページで受け付けます。申込多数のときは抽選を行います。商品の発送は10月14日以降に行います。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/116123)

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JR4社の株式持ち合いが増加

 JRグループの中で上場しているのは4社。JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州です。ところで、このJRの4社、互いの株式を持ち合う動きを強めています。2020年3月期には互いの株式を追加取得し、1年前に比べて1.8~3.6倍に増やしました。2020年3月時点の発行済み株式数に占める割合は概ね0.2~0.5%程度ですが、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社はJR九州の株式を1.25~1.32%保有しています。

 JR4社は、株式を持ち合う理由として、災害への対応や技術開発についての情報交換、MaaS(鉄道やほかの交通機関を組み合わせて効率的な移動を目指す動き)への対応のためとしています。JR九州の株がアメリカの投資ファンドに買われているので、その対応との見方もあるようです。半分近くがこのような短期的な利益しか考えない(会社がどうなっても構わない)投資ファンドに買われているのです。

 JRが株式を持ち合うことについて批判する人もいますが、あまりにも単純な見方と言えます。そもそもJRはグループとして捉えるもので、バラバラに独立しているような存在ではありません。分割民営化したとはいえ、各社が連携して鉄道サービスに当たらなければならないのです。ホールディングスみたいな持ち株会社の下にJR各社がぶら下がる形態をとってもおかしくはなかったのです。投資ファンドが株を買うということはその会社に魅力があるということなので喜ばしいことと言えますが、会社も利用者も得して初めて株主も得する権利があるのです。会計のテクニックを駆使し、会社の財産を食ってまで株主に利益を与える必要はないのです。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60810150V20C20A6TJ1000/、ニュースイッチホームページ https://newswitch.jp/p/22761、Net IB News https://www.data-max.co.jp/article/32625)

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JR時刻表から駅弁の案内が消える

 時刻表は、単に列車の発着時刻を載せているだけではなく、いろいろな情報が載っています。

 駅弁の情報もそのひとつ。時刻表の下のところに、沿線の駅で発売している駅弁の名前とその値段が書かれていいます。ところが交通新聞社の発行するJR時刻表は、今発売している2019年9月号をもって、その記載を取りやめます。時刻表には駅弁を発売している駅に「弁」のマークを付けていますが、それも9月号でなくなるようです。

 なぜJR時刻表は駅弁の案内をなくすことにしたのでしょうか? 交通新聞社によれば、インターネット等の普及で駅弁に関する情報が簡単に手に入ります。また、駅構内には「駅ナカ」がたくさんあり、売店もコンビニになっています。そもそも、駅弁の定義も曖昧で、一般社団法人日本鉄道構内営業中央会に入っていなくても、駅構内で弁当を売ることができます。駅弁でなくてもいろいろな食事ができると判断して、駅弁の掲載を取りやめるようになったようです。

 でも旅に出たら、どこでも売っているコンビニ弁当ではなく、駅弁を食べたいものです。ライバルのJTB時刻表は、今後も時刻表に駅弁の情報を載せていくとのことです。
(参考:J-CASTニュース https://www.j-cast.com/2019/08/30366175.html?p=all)

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開放式の寝台料金の記載が旅客営業規則からなくなる

 国鉄やJRには、運賃や料金を定めた旅客営業規則というものがあります。その旅客営業規則ですが、3月16日のダイヤ改正に合わせて、改正が行われます。

 改正の内容はおおさか東線の開業に伴う大阪市内の範囲の拡大や、中央東線特急の全車指定席化に伴う変更などもありますが、今回の改正で寝台料金についても手が加えられることとなりました。A寝台料金、B寝台料金について、それぞれ開放式の料金が削除され、個室の料金だけが残ることになります。2016年3月の北海道新幹線開業に伴うダイヤ改正で開放式寝台が全廃されたことに伴うものです。

 改正後も残る寝台料金は、A寝台の「シングルデラックス」、「カシオペアツイン」、「カシオペアコンパート」、「カシオペアデラックス」、「スイート」、「カシオペアスイート」、B寝台(客車)の「ソロ」、「ノーマルツイン」、「シングルツイン」、B寝台(電車)の「ソロ」、「シングル」、「サンライズツイン」、「シングルツイン」です。開放式の料金はなくなったものの、B寝台(客車)のように今はすでにない車両の料金が残っているところもあります。

 ともかく、旅客営業規則から削除されたということは、今後開放式の寝台列車は走らないということなのでしょう。JR側の言い分はあるのでしょうが、カーテン1枚でしか遮るものがないのに6480円(二段式)の料金は高いです。もっとも、「ノビノビ座席」の指定席料金は上げてもよいでしょうが。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/jrkisoku201902/)

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特定地方交通線の除外規定は40年前の亡霊

 国鉄がJRになるころ、需要の少ないローカル線が分離され、第三セクターになったり、バスに転換されたりしました。それでは、どのような基準で分離されることになったのでしょうか?

 基本的には1977~1979年度の輸送密度が4000人未満の路線が特定地方交通線となり、第三セクターやバスになりましたが、物事には例外があります。一定の条件のどれかに当てはまれば、輸送密度が4000人未満でも存続できたのです。その条件は、(1)ピーク1時間当たりの輸送人員が片方向で1000人以上 (2)並行する道路が存在しない (3)並行道路の不通が積雪などにより1年平均で10日を超える (4)乗客一人当たりの平均乗車距離が30キロを超え、かつ輸送密度が1000人以上 です。この規定に救われたローカル線は51路線もあります。

 それらの特定地方交通線の輸送密度はその後、どうなったのでしょうか? 基準期間のものとそれから約40年後の2015年度のものとを比較することにしましょう。基準期間に比べて増えたのは、たったの4つ。札沼線、江差線、可部線、香椎線のみです。江差線は青函トンネルにつながっていて、五稜郭-木古内間は北海道新幹線が開通するまで特急列車がたくさん走っていました。後の3路線は一部または全部が札幌、広島、福岡の近くにあり、大都市近郊の鉄道ということで利用者が増えました。江差線や可部線については利用者の少ない区間が廃止されたという要素もあります。

 これらを除いた大半は輸送密度が減少しました。先日廃止された三江線、2016年12月に一部が廃止された留萌線のように輸送密度が1/10以下に減ったところもあります。明らかに鉄道として維持できない水準です。また、道路の整備が進み、鉄道に並行する道路が完成したり、雪でも使えるようになったりしました。逆に鉄道のほうが、木次線のように、雪が降ったら春まで運休します。道路は国や地方が除雪してくれますが、鉄道は自前で除雪しないといけないからです。今となっては鉄道のほうが雪に弱いのです。

 分割民営化から30年、鉄道を取り巻く環境も大きく変わりました。正直言って、特定地方交通線の中には鉄道を走らせるほどの需要がない路線もたくさんあります。第三セクターや中小私鉄なら負担を嫌って鉄道の存続を断念せざるを得ない状況です。JRが相手ならそういうお金のことを気にせずに、これまで需要の極めて少ない鉄道でも存続を強く求めてきましたが、JRはここまでよく廃止せずに鉄道を維持してきました。十分に役目を果たしたと言えるでしょう。特定地方交通線の除外規定は40年前の亡霊で、今の需要に合った適切な交通機関を考えていかないといけないでしょう。鉄道が欲しいのなら、地元が適正な負担をするのです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/80195)

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「青春18きっぷ」で佐世保線早岐-佐世保間の特急乗車可

 日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT及びJR西日本宮島フェリーに自由に乗り降りすることのできる、「青春18きっぷ」。2018年度も発売が継続されます。

 発売期間と利用期間は次の通りです。春季の発売期間は2月20日から3月31日まで、利用期間は3月1日から4月10日まで、夏季の発売期間は7月1日から8月31日まで、利用期間は7月20日から9月10日まで、冬季の発売期間は12月1日から12月31日まで、利用期間は12月10日から2019年1月10日までです。大人、子供同額で11850円です。「青春18きっぷ」と組み合わせて北海道新幹線、道南いさりび鉄道に乗ることができる「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売も継続されます。春季の発売期間は2月20日から4月10日まで、利用期間は3月1日から4月10日まで、夏季の発売期間は7月1日から9月10日まで、利用期間は7月20日から9月10日まで、冬季の発売期間は12月1日から2019年1月10日まで、利用期間は12月10日から2019年1月10日までです。大人、子供同額で2300円です。

 それでは、2018年度の変更点は何でしょうか? 「青春18きっぷ」は原則としてJR線の普通列車しか乗ることができませんが、特例として特急・急行列車の普通車自由席に乗ることができる区間がいくつかあります。2018年度からはそれに新たな区間が加わります。佐世保線早岐-佐世保間です(3月17日から適用)。3月17日のダイヤ改正で、「みどり」の早岐-佐世保間は乗車券だけで乗車できるようになります。それに対応した変更でしょう。早岐-佐世保間以外の区間にまたがって特急等を利用する場合は、超えた区間の乗車券、特急券が必要となります。例えば、肥前山口-佐世保間で特急に乗れば、肥前山口-早岐間の乗車券、特急券が必要になります。宮崎空港線の宮崎-宮崎空港間と同じ扱いになります。
(参考:JR西日本ホームぺージ http://www.westjr.co.jp/press/article/2018/02/page_11833.html)

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JR発足30周年記念「JR7社共同企画 スペシャルツアー」

 何度も言いますが、今年はJR各社が発足してから30周年の節目の年。20周年のときは7社が共同でツアーを催行しましたが、今回はそのような話はなく、ないものだと思っていました。

 ところが今回もスペシャルツアーを行うことになりました。スペシャルツアーは2種類、「カシオペア」などの観光列車に乗る「24の列車で繋ぐ じっくり日本列島縦断10日間」と、新幹線を中心に乗る「新幹線で行く 日本列島縦断3日間」です。後者は20周年のときにはなかったものですが、この10年の間に北海道新幹線や九州新幹線が開業し、ツアーとして成立するようになりました。すでに18日から募集が始まっていて、22日の時点で「24の列車で繋ぐ じっくり日本列島縦断10日間」は満席になっていますが(10分で完売したようです)、両方とも紹介することにします。

 「24の列車で繋ぐ じっくり日本列島縦断10日間」は12月5日発の9泊10日。上野集合、東京解散です(横浜下車可)。JR貨物のEH500が牽引する「カシオペア」(1~2日目、上野→青森、ダイニングカーでのフランス料理付き、機関車は途中でEF81に変更)のほか、「ノースレインボーエクスプレス」(3日目、札幌→新函館北斗)、「なごみ(和)」(3日目、盛岡→仙台)、「現美新幹線」(4日目、仙台→大宮)、「ぬくもり飛騨路号」(5日目、下呂→高山)、「花嫁のれん」(6日目、金沢→和倉温泉)、「500 TYPE EVA」(8日目、福山→博多)、「A列車で行こう」(9日目、長崎→新鳥栖)、「サンライズ出雲・瀬戸」(9~10日目、岡山→東京)などに乗ります。各地の有名旅館に泊まるとともに、軍艦島などの観光も組み込まれています。値段は車両設備により異なり、1人39万円から48万円です。

 「新幹線で行く 日本列島縦断3日間」は12月15日発の2泊3日。新函館北斗集合、鹿児島中央解散です(追加料金で東京発着のオプションもあります)。北海道新幹線、東北新幹線、東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線を乗り継ぐだけでなく、「リニア・鉄道館」(300X、オハ35、100系食堂車の特別公開)、金刀比羅宮の白書院(こちらも「おたから」の特別公開があります)などの観光要素が組み込まれています。新幹線が通らない四国もちゃんと訪れるのです。値段は1人15万円です。

(追記)
 EH500には推進運転の機能が無いため、上野にはEF81とのプッシュプルで入線しました。
(参考:JR西日本ホームぺージ https://www.westjr.co.jp/press/article/2017/10/page_11298.html、マイナビニュース http://news.mynavi.jp/series/railwaynews/093/、鉄道ジャーナル」2018年10月号 鉄道ジャーナル社)

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