休日運休の貨物列車で米を運ぶ

 貨物列車の中には、休日に運休するものがあります。これを活用して、違う貨物を運ぼうとする動きがあるようです。

 何を運ぶのかと言えば、米。休日に運休する貨物列車のダイヤを活用して運ぶのです。貨物列車のルートは八戸から青森、秋田、新潟、金沢を経由して大阪市内の百済貨物ターミナルまで。日曜朝に八戸を出て、月曜夕方に百済に着きます。20両編成なので、トラックに比べて一度に大量の米(500トン)を運ぶことができます。列車なので二酸化炭素の排出量も大幅に抑えることができます。時間はトラックに比べてかかるようですが(トラックだと出荷元から卸先まで2~3日で運ぶことができますが、列車を使うと倍以上かかります)、トラックドライバーは不足しているので少ない人数で運ぶことができる貨物列車は使えると考えられているようです。

 この米を運ぶ貨物列車、新米の出荷が本格化する10月以降の定期化を目指しています。80~100個のコンテナを積まないと(16~20両編成)専用の貨物列車を走らせることができないので、取扱品目を増やすことも考えています。
(参考:「鉄道ファン」2023年8月号 交友社、北國新聞ホームページ https://www.hokkoku.co.jp/articles/tym/1116707、日本農業新聞ホームページ https://www.agrinews.co.jp/news/index/141660)

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函館線函館-長万部間、新幹線開業後も鉄路維持へ

 整備新幹線が開業すると、これまで在来線特急が頻繁に走っていた在来線はJRから分離されます。

 これまでなら、分離された並行在来線は、第三セクターとして運行を継続します。整備新幹線の沿線はそれなりに人が住んでいるので、ローカル需要もある程度はあるからです。しかし、北海道新幹線の場合は話が違いました。あまりにも需要が少ないので、ローカル需要が見込めないのです。第三セクターで走らせると、沿線自治体は金銭の負担をしなければなりません。地元自治体の立場で考えると、鉄道の廃止を受け入れ、バスにしてコストを下げるのはある意味合理的です。

 旅客だけを考えると、新幹線アクセス需要が見込める函館-新函館北斗間(新幹線になるかも?)を除いてバスに転換するというのは妥当な考えです。しかし、貨物のことを考えると話はややこしくなります。新幹線が開業しても貨物列車は函館線を走り続けます。これをほかの交通機関で代替するのは厳しいです。国交相もこの区間を基幹鉄道区間として認識しています。

 そこで国交省、北海道、JR貨物、JR北海道の4者が協議をした結果、北海道新幹線が開業した後も函館線を維持する方向で合意しました。旅客はともかく、少なくとも貨物鉄道としては残るのです。線路などの施設維持管理費や人員確保について、これから解決しなければならない課題はありますが、とにかく鉄道が残ると言うことは喜ばしいことと言えます。と言うより、ローカル需要しかない枝線と違って、廃止を考えるべきではなかったのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/867a11c2215acb802f42c0974915efeb004a96e4)

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貨物新幹線での貨物の積み替え方法

 新幹線に貨物列車を走らせるという話があります。いわゆる貨物新幹線です。ただし、貨物新幹線が走るのは新幹線の上だけなので、それだけでは不十分です。在来線も使う必要があります。それでは、どうやって新幹線と在来線との間で貨物を積み替えるのでしょうか?

 JR貨物の出願した特許で明らかになった内容によれば、新幹線と在来線が対面で停車し、ホーム上で積み替えます。新幹線の両側に在来線が挟み込むかたちになっています。上には屋根があります。積替用のホームにはコンベアーがたくさんあります。在来線のコンテナから運び出された荷物はコンベアーで運ばれます。荷物はコンテナではなく、航空機で使われるようなパレットに入っています。新幹線の車内にもコンベアーはあるようです。貨物新幹線に使う車両は、旅客用の車両から座席を取っ払ったものになるか、貨物専用に開発された車両になるかのどちらかとなります。

 在来線を通さずに、直接新幹線とトラックとの間で積み替えを行うパターンもあります。新幹線の駅は2面4線の駅になっています。小田原のような構造ですが、旅客は扱いません。高架ホームにエレベータがあり、そのエレベータで荷物を地上のトラックヤードに下ろします。

 この貨物新幹線、東北・北海道新幹線に導入することが想定されています。並行在来線の需要があまりにも小さく、ローカル需要だけで維持するのがあまりにも厳しいからです。そして、北海道の貨物駅の候補として第一に挙げられているのが、札幌貨物ターミナル。大都市札幌にあることが最大のメリットですが、そのためには北海道新幹線をもう少し延ばさないといけません。それができなかった場合、次善の策として浮かび上がってくるのが、長万部のようです。北海道新幹線が開業しても室蘭線は分離されず、そのままJRで残ります。ですから、そこで在来線に積み替えて札幌等に行けば良いのです。長万部町にとっても貨物駅ができれば何らかの需要が生まれることでしょう。町のホームページに貨物新幹線の紹介までしています。

 本州側はどこに置くのでしょうか? 同じ長万部町のホームページでは大宮操車場を候補に挙げていますが、大宮以南だと東北新幹線の他に上越、北陸新幹線も集まり、対応が厳しくなるでしょう。大宮の北で、割合東京に近いところがターミナルになると考えられます。在来線の貨物駅と新幹線が近いところを考えると宇都宮が候補に挙がります。そこでも新幹線の本数が多くて厳しいのなら、仙台近辺になるのかもしれません。仙台の貨物ターミナルは岩切に移転します。ここなら東北新幹線に近いです。また、途中には何か所か中間の貨物駅ができることでしょう。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/125501、タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/kamotsushinkansen202304/、長万部町ホームページ https://town.oshamambe.lg.jp/uploaded/attachment/6540.pdf)

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国交相、並行在来線の函館線を基幹鉄道区間として認識

 北海道新幹線が札幌まで延伸すると、函館-小樽間は並行在来線として分離されます。特急や貨物がなく、単なるローカル線に過ぎない長万部-小樽間はともかく、貨物列車がたくさん走る函館-長万部間も分離されます。

 長万部-小樽間は一部を除いて需要は少ないのでバスに転換しても大きな問題はないのですが、単純に旅客需要が少ないからと言って函館-長万部間も一部を除いてバス転換するとややこしい話になります。貨物をどうやって運ぶのか、ということです。国鉄時代のようににするわけにはいかないですし、しかもその国鉄時代より船での運航区間が長くなります。函館線が使えない以上、函館ではなく、いきなり苫小牧あたりまで運ばないといけません。少なくとも貨物新幹線が実用化するまでは、函館線を維持しないといけないのです。

 それでは、どうすればよいのでしょうか? 国交省はすでに2022年11月から、国、北海道、JR北海道、JR貨物の4者による協議を行っています。また、斉藤国交相は4月19日の衆議院国土交通委員会で、議員(北海道の議員ではなく、なぜか関東の議員です)の質問に対して、函館線について基幹鉄道区間として認識しているとの答弁を行っています。

 新函館北斗-長万部間のローカル輸送はバスでもいいでしょうが、貨物は全国的な問題です。一地域の事情だけで貨物鉄道網を毀損するようなことがあってはいけないでしょう。
(参考:カナロコ https://www.kanaloco.jp/news/government/article-983903.html)

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JR貨物が貨物船を所有

 JR貨物はJRの主要幹線で貨物を運んでいますが、鉄道で運ぶ以上、1か所でも災害などで途切れると、運ぶことができなくなります。災害で不通になる事態は毎年のように生じます古い規格の鉄道なので、災害には弱いです。迂回運転することもありますが、これは国鉄時代につくられ、全国を走った実績があるDD51があったからできたことで、DF200に置き換えられた現状では、そういうことは難しくなります。鉄道での迂回運転は考えず、最初からトラックと船による輸送を考えます。それならそれで、JR貨物も対応策を考えないといけません。そこでJR貨物は、災害時に代行輸送として使うことのできる船を所有することにしました。

 2024年春に完成する予定のこの貨物船は、船の総トン数は499トン、長さ70メートル、幅12.5メートルで、12フィートコンテナ80個を積むことができます。センコーグループホールディングス(本社:東京都江東区)との共同所有で、保有比率はセンコーグループが70%、JR貨物が30%です。平常時はセンコーグループの船のひとつとして運航しますが、鉄道が寸断し、船が必要になったときは、この船を代行輸送に使います。
(参考:JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2023/files/20230412_03.pdf)

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JR西日本、ディーゼルカーを水素燃料へ

 JRには、地方を中心に電化されていない区間がたくさんあります。最近は変わりつつありますが、そういう非電化区間で主力になっているのが、ディーゼルカー。化石燃料である軽油を燃料として走ります。

 JR西日本にも、そのような非電化区間はたくさんあります。約450両ものディーゼルカーが走っています。そのJR西日本ですが、2030年代にディーゼルカーを水素を燃料とする燃料電池で走る車両に置き換えます。なぜ2030年代になるのかと言えば、2030年代にディーゼルカーの置き換えがピークを迎えるからです。逆に言えば、2030年代までキハ40やキハ47を走らせるということでしょうか?

 水素の供給基地は、姫路の東にある貨物駅、姫路貨物駅に置かれます。姫路港にも近く、海外から船で運ばれて来る水素を蓄えるのにも適しています。水素は、JR西日本の車両のほか、バスやトラックにも供給されます。貨物列車で水素を運ぶこともできます。

 なお、水素で走る列車は、すでにJR東日本が開発に乗り出しています。「HYBARI」です。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230412_00_press_h2o.pdf、朝日新聞4月13日朝刊中部14版、ひょうご経済プラスホームページ https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202304/0016238720.shtml)

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「THE ROYAL EXPRESS」は四国へ

 いつもは伊豆を走っている「THE ROYAL EXPRESS」ですが、伊豆を飛びだして北海道を走ることもあります。夏の恒例行事となっています。

 その「THE ROYAL EXPRESS」ですが、2024年1月から3月にかけて、四国を走ることになりました。岡山-高松-松山方面に、4日間のツアーを6回行います。岡山-高松-松山間は直流電化なので、「THE ROYAL EXPRESS」はそのまま走ることができそうですが、電気機関車に牽引されて走ります。岡山-高松間はJR西日本の、その他四国島内ではJR貨物の電気機関車に牽引されて走ります。本来8両編成の「THE ROYAL EXPRESS」は5両に短縮され、電気機関車が電源車と「THE ROYAL EXPRESS」を牽引して走るのです。なぜ松山方面にしたのかと言えば、電気機関車しか手配できなかったからです(逆に、ディーゼル機関車を手配することができたら、宇和島方面や高知方面、徳島方面に行くことができるようです)。また、直流電化区間なのになぜ電気機関車に牽引されるのかと言えば、四国の場合、トンネルが小さく、そのままでは通ることができないからです。パンタグラフを外して四国を走ることになります。

 今回の四国への運行も、各社が協力して行います(この調整に1年以上かかりました)。旅行商品販売・企画・運営を東急が、車両の四国への運搬をJR貨物が行います。実際の運行は岡山-児島間をJR西日本、児島-四国島内をJR四国が行います。値段は北海道と同等か若干高く、80万円程度になるようです。
(参考:東急ホームページ https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20230327-1.pdf、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/125135)

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貨物新幹線を導入するかどうかは2030年に決定

 現状では旅客しか運んでいない新幹線で、貨物を運ぶ話が出ています。北海道新幹線が全線開業すると、少なくとも旅客面では在来線を維持することができないからです。

 貨物新幹線ができるとすれば、それを運行するのはJR貨物になるようです。東北新幹線、北海道新幹線で走らせ、札幌に貨物ターミナルを設けることを想定しています。そのJR貨物ですが、貨物新幹線を導入するかどうか、2030年を目途に判断するようです。と言うことは、実際に貨物新幹線が走るとしてもそれより先のことになるでしょう。

 また、貨物新幹線を走らせることになれば、JR東日本やJR北海道から線路を借り、新たな車両をつくらないといけません。線路を使用する交渉を行うとともに、車両開発に関しても協力を求めていくことを考えているようです。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC189AK0Y3A110C2000000/)

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日通、北海道発着の危険品輸送に船と鉄道を組み合わせる

 本州と北海道の間を鉄道で行くとき、必ず通るのが青函トンネル。ところが、全ての貨物が青函トンネルを通ることができるわけではありません。火薬類などの危険品は青函トンネルを通ることができないのです。

 そこで、NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は、北海道発着の危険品輸送ができる、鉄道輸送と海上輸送を組み合わせた国内複合一貫輸送サービス、「Sea&Rail DG」を2022年12月から始めています。

 青函トンネルをどうやって回避するのかと言えば、船を使います。危険品積載スペースのある内航船「ひまわり」と鉄道輸送を組み合わせます。細かいところはよく分かりませんが、東京-苫小牧、釧路間は船で運び、道内は鉄道やトラックで運ぶようです。日本通運の独自コンテナであるRSVコンテナは、鉄道、海上双方で利用可能な12トンハイブリッドコンテナで、港で荷物を取り出して積み替える必要がありません。効率的に運ぶことができます。

 ところで、この動きは、北海道新幹線全線開業で函館線などにおいて在来線の維持ができなくなったときのことを見据えてのことでしょうか? 函館線新函館北斗-長万部間は特急があるからJR北海道が運営していますが、新幹線開業によって新幹線がなくなったら、旅客需要はほとんどありません。巨額の負担を嫌って第三セクター化しないのは理解できますが(ただしこの場合は旅客輸送はバスになることを甘受しなければなりません。決して人の金で旅客輸送をしてもらおうと思ってはいけません)、貨物については何らかの手当てをしないといけません。新幹線による貨物輸送が実用化するまで、国や北海道がお金を出して貨物鉄道として存続させるのが妥当でしょうが、それがうまくいかなかったときのことも考えておいたほうが良いでしょう。
(参考:NIPPON EXPRESSホームページ https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2022/20221221-1.html)

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関空-成田・羽田間の航空貨物を鉄道で輸送

 関西方面から外国に貨物を送るとき、関空から直接外国まで国際便があればいいですが、新型コロナウイルスの影響もあり、それほど多くはありません。

 そうなると、関空対岸の西鉄りんくう貨物センターにて税関から輸出許可を受けた外国貨物を国際便の多い成田空港や羽田空港に運ぶことになりますが、そこときにトラックを使えば、CO2の排出量は増えますし、今後も長距離ドライバーを確保することができるかどうか不透明です。

 そこで西鉄、センコー、JR貨物の3社は、泉佐野市の西鉄りんくう貨物センターから成田空港、羽田空港の国際貨物地区への航空貨物の保税運送に鉄道を使うことにしました。すでに2022年9月からテスト運送を行っており、4月に本格稼働する予定です。

 貨物列車は、百済貨物ターミナルから東京貨物ターミナルまで使います。西鉄りんくう貨物センターから50キロほど離れた百済貨物ターミナルまではトラックで運びます。貨物列車は百済貨物ターミナルを21:40に出て、東京貨物ターミナルに5:52に着きます。そこから成田空港(約80キロ離れています)、羽田空港(約10キロ離れています)までは再びトラックで運びます。

 この取り組みにより、西鉄りんくう貨物センターからの全区間を10トントラックで運んだ場合に比べて、CO2の排出量を約6割減らすことができます。最終的には、西鉄が西鉄りんくうから成田空港、羽田空港の国際貨物地区に保税輸送している貨物の約半分を鉄道に切り替えることを目指しています。
(参考:JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20221213_01.pdf)

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