貨物新幹線を導入するかどうかは2030年に決定

 現状では旅客しか運んでいない新幹線で、貨物を運ぶ話が出ています。北海道新幹線が全線開業すると、少なくとも旅客面では在来線を維持することができないからです。

 貨物新幹線ができるとすれば、それを運行するのはJR貨物になるようです。東北新幹線、北海道新幹線で走らせ、札幌に貨物ターミナルを設けることを想定しています。そのJR貨物ですが、貨物新幹線を導入するかどうか、2030年を目途に判断するようです。と言うことは、実際に貨物新幹線が走るとしてもそれより先のことになるでしょう。

 また、貨物新幹線を走らせることになれば、JR東日本やJR北海道から線路を借り、新たな車両をつくらないといけません。線路を使用する交渉を行うとともに、車両開発に関しても協力を求めていくことを考えているようです。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC189AK0Y3A110C2000000/)

| | | Comments (4)

日通、北海道発着の危険品輸送に船と鉄道を組み合わせる

 本州と北海道の間を鉄道で行くとき、必ず通るのが青函トンネル。ところが、全ての貨物が青函トンネルを通ることができるわけではありません。火薬類などの危険品は青函トンネルを通ることができないのです。

 そこで、NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運は、北海道発着の危険品輸送ができる、鉄道輸送と海上輸送を組み合わせた国内複合一貫輸送サービス、「Sea&Rail DG」を2022年12月から始めています。

 青函トンネルをどうやって回避するのかと言えば、船を使います。危険品積載スペースのある内航船「ひまわり」と鉄道輸送を組み合わせます。細かいところはよく分かりませんが、東京-苫小牧、釧路間は船で運び、道内は鉄道やトラックで運ぶようです。日本通運の独自コンテナであるRSVコンテナは、鉄道、海上双方で利用可能な12トンハイブリッドコンテナで、港で荷物を取り出して積み替える必要がありません。効率的に運ぶことができます。

 ところで、この動きは、北海道新幹線全線開業で函館線などにおいて在来線の維持ができなくなったときのことを見据えてのことでしょうか? 函館線新函館北斗-長万部間は特急があるからJR北海道が運営していますが、新幹線開業によって新幹線がなくなったら、旅客需要はほとんどありません。巨額の負担を嫌って第三セクター化しないのは理解できますが(ただしこの場合は旅客輸送はバスになることを甘受しなければなりません。決して人の金で旅客輸送をしてもらおうと思ってはいけません)、貨物については何らかの手当てをしないといけません。新幹線による貨物輸送が実用化するまで、国や北海道がお金を出して貨物鉄道として存続させるのが妥当でしょうが、それがうまくいかなかったときのことも考えておいたほうが良いでしょう。
(参考:NIPPON EXPRESSホームページ https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2022/20221221-1.html)

| | | Comments (0)

関空-成田・羽田間の航空貨物を鉄道で輸送

 関西方面から外国に貨物を送るとき、関空から直接外国まで国際便があればいいですが、新型コロナウイルスの影響もあり、それほど多くはありません。

 そうなると、関空対岸の西鉄りんくう貨物センターにて税関から輸出許可を受けた外国貨物を国際便の多い成田空港や羽田空港に運ぶことになりますが、そこときにトラックを使えば、CO2の排出量は増えますし、今後も長距離ドライバーを確保することができるかどうか不透明です。

 そこで西鉄、センコー、JR貨物の3社は、泉佐野市の西鉄りんくう貨物センターから成田空港、羽田空港の国際貨物地区への航空貨物の保税運送に鉄道を使うことにしました。すでに2022年9月からテスト運送を行っており、4月に本格稼働する予定です。

 貨物列車は、百済貨物ターミナルから東京貨物ターミナルまで使います。西鉄りんくう貨物センターから50キロほど離れた百済貨物ターミナルまではトラックで運びます。貨物列車は百済貨物ターミナルを21:40に出て、東京貨物ターミナルに5:52に着きます。そこから成田空港(約80キロ離れています)、羽田空港(約10キロ離れています)までは再びトラックで運びます。

 この取り組みにより、西鉄りんくう貨物センターからの全区間を10トントラックで運んだ場合に比べて、CO2の排出量を約6割減らすことができます。最終的には、西鉄が西鉄りんくうから成田空港、羽田空港の国際貨物地区に保税輸送している貨物の約半分を鉄道に切り替えることを目指しています。
(参考:JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20221213_01.pdf)

| | | Comments (0)

新幹線貨物列車はコンテナではない

 これまで旅客オンリーの新幹線に貨物列車を走らせる話が出ています。以前にも記事にしたですが、JR貨物のホームページに貨物新幹線のイラストが載っていました。

 それによれば、貨物新幹線は電車タイプのものを考えているようです。ただ色は、EF210と同じような配色です。そして、貨物はコンテナでは運びません。パレットに入れて、駅などで係員が押して入れるようです。航空機に載せる貨物みたいな感じでしょうか?

 ともかく、コンテナの貨物列車より、輸送量は小さくなりそうです。
(参考:JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20221111_01S.pdf)

| | | Comments (0)

2023年3月ダイヤ改正発表(5)(JR九州、JR貨物)

 九州新幹線では、一部の時間帯の運転時刻をパターン化します。平日の博多13~20時台の鹿児島中央方面を見ると、1分に鹿児島中央行きの「さくら」が発車し、36分に鹿児島中央行きの「さくら」もしくは熊本行きの「つばめ」が発車します。36分に鹿児島中央行きの「さくら」が発車する時間帯を中心に、6分に熊本行きの「つばめ」が発車します。夕方には24分に鹿児島中央行きの「みずほ」もしくは「さくら」が発車します。「つばめ」の運転間隔が空いているところはダイヤの調整を行い、概ね1時間間隔で走らせます。博多23:10発の「つばめ343号」熊本行きが廃止され、代わりに新大阪始発の博多23:01発「さくら573号」が各駅に停まるようになります。

 在来線は、停車駅が多いタイプの特急「ソニック」が赤間に停車します。日中でも毎時1本が赤間に停車します。「みどり」は所要時間を最大4分短縮します。普通列車は夕方の1本を博多着から南福岡着に延長するぐらいで、大きな変化はありません。9月のダイヤ改正の問題点を反映したものにするには時間が足りなかったのでしょうか? 熊本では九州新幹線の最終が繰り上がったことに伴い、最終列車の時刻を最大約15分繰り上げます。

 JR貨物では、要望の強い宅配便などの積合せ貨物の需要に応えるための輸送力増強などを行います。機関車はEF210を15両、DD200を3両新製します。
(参考:JR九州ホームページ https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2022/12/16/221216_train_diagram.pdf、JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20221216_01.pdf、長崎新聞ホームページ https://nordot.app/976669968151642112)

| | | Comments (0)

「フルーティア」が宮城野貨物線に

 福島県内を中心に走っている、JR東日本の観光列車、「フルーティア」。12月17日と18日の2日間、この「フルーティア」が宮城野貨物線(長町-岩切間)を走ります。

 宮城野貨物線を走る「フルーティア」は、1日に2回ずつ走ります。「午前コース」は仙台を9:42ごろに出て、岩沼まで行きます。岩沼で折り返し、東北線、宮城野貨物線経由で岩切まで行きます。岩切で折り返し、再び宮城野貨物線、東北線経由で岩沼まで行き、そこで折り返して仙台に11:57ごろ着きます。「午後コース」は仙台を14:49ごろに出て、今度は北に岩切まで行きます。岩切で折り返し、宮城野貨物線、東北線経由で岩沼まで行きます。岩沼で折り返し、再び東北線、宮城野貨物線経由で岩切まで行き、そこで折り返して仙台に16:29ごろ着きます。値段は大人12000円、子供11000円で、定員は各コースとも36人です(最少催行人員30人)。

 ただし、宮城野貨物線を走る「フルーティア」では、スイーツの提供は行いません。仙台駅のキャラクターのトキムネくんがプリントされたどら焼き、お茶、それと貨物列車懐中電灯がもらえるだけです。一番の売りは日ごろ乗ることができない宮城野貨物線に乗ることができることで、車内ではJR貨物の社員が車内放送を行い、JR貨物オリジナルグッズの抽選会及び仙台貨物ターミナルの写真展を開催しています。

 この「フルーティア」、11月2日からインターネット限定で申し込みを受け付けていますが、11月23日現在、全てのコースでキャンセル待ちとなっています。

(追記)
 その「フルーティア」ですが、車両の老朽化のため、2023年12月で運行を終了することになりました。
(参考:JR東日本ホームページ https://www.jreast.co.jp/press/2022/sendai/20221101_s01.pdf、https://www.jreast.co.jp/press/2022/sendai/20221124_s02.pdf)

| | | Comments (0)

函館線函館-長万部間も大半はバス転換

 整備新幹線が開業すると、並行在来線はJRから分離され、第三セクターとなります。しかし、人口が希薄な北海道では、これまでの常識は通用しません。あまりにも利用者が少なすぎて、鉄道を維持できないのです。

 そのため、北海道新幹線の並行在来線も、第三セクターにならずにバスになる区間が出ています。貨物列車がなく、普通列車しか走らない長万部-小樽間は、バスになります。需要がある余市-小樽間も負担を嫌ってバスになります。

 今回話題にするのは、函館-長万部間。現在、特急も貨物もたくさん通る区間です。しかし、新幹線が開業して特急がなくなると、輸送密度は激減します。普通列車の需要では鉄道を運営することができないのです。

 その結果、新幹線開業後も鉄道が残るのは函館-新函館北斗間のみとなります。函館市はこの区間のみを鉄道として残す意向ですが、ほかの自治体も反対していません。新幹線開業後も函館へのアクセス鉄道として需要が見込まれる区間のみ残し、それ以外の区間についてはバスで対応するようです。

 旅客はこのような考えで良いでしょうが、問題は貨物です。線路を廃止してしまうと、わずかな区間のために鉄道での輸送ができなくなります。この貨物に関しては、函館ぐらいしか貨物駅がないことから、維持は地元の責任ではありません。国が主体となって考えないといけない話になってしまうでしょう。
(参考:朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASQ806GZVQ80IIPE009.html)

| | | Comments (4)

奥羽線の全線復旧まで数か月

 8月に東北地方の大雨の影響で、一部の路線で運転を見合わせています。秋田支社管内では奥羽線鷹ノ巣-大館間、五能線岩館-鰺ケ沢間が大きな被害を受けて、運休しています。被害が深刻なので、運転再開まで奥羽線は数か月、五能線は見込みすら立っていません。観光列車はあるものの、輸送密度が低い五能線はともかく、奥羽線の運休の影響は広範囲に及びます。貨物列車が走っているからです。秋田貨物-大館間が運休しています。関西-北海道間の列車にも影響が及びます。

 そこでJR貨物は16日から、迂回列車を走らせています。関西-北海道間の貨物列車を東海道線、東北線、いわて銀河鉄道線、青い森鉄道線経由で1往復運転しています。20両でコンテナ100個を積むことができます。17日からは関西-秋田貨物間及び仙台貨物ターミナル-大館間(東青森経由)で折り返し列車を走らせています。関西-秋田貨物間は20両、仙台-大館間は11両です。トラックによる代行輸送も行っています。5日から秋田貨物-大館間及び仙台貨物ターミナル-秋田貨物間で1日最大5個を運びます。トラックの輸送量の小ささが伺えます。

 23日からは船舶による代行輸送も行っています。秋田港-石狩湾新港間を船で運びます(秋田貨物-秋田港間及び石狩湾新港-札幌貨物ターミナル間はトラック)。1日80個を運びます。

(追記1)
 このほか、8月の大雨で、津軽線蟹田-三厩間、花輪線鹿角花輪-大館間、米坂線今泉-坂町間、磐越西線喜多方-山都間が運休しています。

(追記2)
 奥羽線は10月中旬に復旧する予定ですが、ほかの路線については復旧の目途は立っていません。
(参考:JR東日本ホームページ https://www.jreast.co.jp/press/2022/akita/20220825_a01.pdf、https://www.jreast.co.jp/pdf/saikaijoukyou_tohoku.pdf、JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20220825_01.pdf、日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC050QG0V00C22A9000000/)

| | | Comments (0)

藤城線は第三セクターに引き継がれずに廃止か?

 北海道新幹線が開業すると、函館線の函館-長万部間は第三セクターに転換されます。ところが、函館-長万部間の全区間が第三セクターに引き継がれるわけではないようです。

 第三セクターに転換されない可能性がある区間は、藤城線と言われる区間。ここは主に貨物列車が通る区間で、旅客列車は3本だけしか通りません。北海道新幹線新函館北斗開業までは札幌方面への特急列車が通っていましたが、北海道新幹線新函館北斗開業で新函館北斗を通るようになったため、藤城線を通る旅客列車は激減しました。北海道新幹線が札幌まで全線開業すると函館線から特急が消えるので、藤城線がなくても旅客列車を走らせることができるのです。

 しかし、函館-新函館北斗間を除けば利用者は非常に少なくなります。わざわざ赤字確実のローカル線を残す必要はありません。そう考えたら、旅客よりも貨物のことを考えて線路を残したほうが賢明とも言えます。以前にも書いたように、むしろ勾配の緩い藤城線を残し、新函館北斗-大沼間を廃止したほうが良いのかもしれません。
(参考:朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASQ8M5H5XQ8MIIPE001.html)

| | | Comments (0)

国交省、新幹線に貨物線用車両導入を検討か?

 トラックドライバー不足が問題となって久しいです。これを解決する方法のひとつとして、貨物列車を走らせるという方法があります。貨物列車なら少ない人数で多くの貨物を走らせることができるからです。トラックに比べて鉄道は二酸化炭素の排出量が少なく、環境面でも優れています。

 ただ、今の在来線の貨物列車は、荷主の期待に応えられるものではありません。そこで実用化することが期待されているのが、新幹線の貨物列車です。28日に開かれた有識者会議でも取り上げられました。

 新幹線でも少量の荷物を運ぶ例はありますが、本格的に貨物を運ぶなら、専用の車両が必要です。2022年度中に国、JR貨物、JR旅客鉄道会社などで検討を進めます。貨物列車を新幹線から在来線に積み替えるための専用ターミナルを設けるのか、旅客ダイヤに支障がないかなどの課題があります。また、専用車両だけで走らせるのか、それとも今のように客車と一緒に走らせるのかもこれから決めます。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/ae3a177e9118c41253f03f5de89f619def2ccbea)

| | | Comments (2)

より以前の記事一覧