貨物列車で長さ150メートルの北海道新幹線用のレールを運ぶ

 これまで整備新幹線で使うレールは、いったん製鉄所でつくられた長さ150メートルのレールを25メートルごとに切断して、船やトレーラーで運び、軌道建設基地で溶接して再び長さ150メートルのレールとしていました。いったん切って、また元に戻すのです。

 ところが、今回、北海道新幹線のレールの敷設において、150メートルレールのまま貨物列車で運ぶことにしたのです。150メートルレールを切らずに貨物列車に積載して輸送する方法が確立し(実はレールは左右には曲がりやすいので、カーブでもレールは線路に沿って曲がることができます)、また目的地の長万部は在来線と新幹線の工事現場が隣接しているので、150メートルのレールを取り卸ろすことができます。黒崎から長万部まで、山陽線、東海道線、東北線などを経由して4日間かけて約2100キロを貨物列車で運ぶのです。150メートルレールをそのまま使うので溶接作業が少なくなります。工程も短縮します。溶接部分はレールが弱くなりますので、品質の向上にもなります。製鉄所から工事現場まで積み替えなく貨物列車で運ぶことができますので、モーダルシフトにも寄与します。整備新幹線で使うレールを長さ150メートルのまま貨物列車で運ぶこと、そして青函トンネルを通過して北海道まで150メートルレールを貨物列車で運ぶことはこれが初めてです。

 ちなみに、この貨物列車の出発セレモニーは、4月18日、北九州市八幡東区の貨物ヤード内で行われました。そのときに起用されたのが、EF81形303号機。定期運用を終えたばかりのステンレスの電気機関車です。このような話題の機関車で新しい貨物輸送が始まったのです。今後、2027年度までに10~15回ほどこのような輸送を行い、長万部付近の上下合わせて15キロ程度に敷設されます。
(参考:鉄道・運輸機構ホームページ https://www.jrtt.go.jp/corporate/public_relations/pdf/5ba6e8998437f2a2ff3b70f0f79868e1.pdf、マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/20250401-3170997/、https://news.mynavi.jp/article/20250426-3242867/、函館新聞ホームページ https://digital.hakoshin.jp/business/tourism/130014)

| | | Comments (0)

EF81形300番台等、定期運用を終える

 下関と門司を結ぶ関門トンネルを専用で走る機関車の中には、海水や湿度で腐食しないよう、さびに強いステンレスでつくられているものもあります。EF81形300番台もそのひとつで、今は1974年につくられた303号機のみが現存しています。元々は関門トンネル専用でしたが、分割民営化後にJR九州の線路の改良がなされ、その後は長崎県を除く九州各地も走るようになりました。

 しかし、その303号機ですが、3月15日のダイヤ改正で定期運用を終えました。老朽化のためで、今後は同じく銀色の車体(塗装で銀色にしているので、ステンレスではありません)のEF510に置き換えられます。ただ、車両の検査期限までまだ時間があるので、臨時的に走らせることもあるようです。

 また、九州で走っていたED76についても、EF510への置き換えにより、この3月15日のダイヤ改正で定期運用を終えることになりました。今後、九州での貨物輸送はEF510が主役になります。
(参考:毎日新聞ホームページ https://mainichi.jp/articles/20250314/k00/00m/040/139000c)

| | | Comments (0)

函館線を貨物専用にしても要員が約200人必要

 北海道新幹線が札幌まで延伸されると、函館線函館-小樽間はJRから分離されます。このうち、函館-小樽間は普通列車しか通らないローカル線なので、利用者がそれなりにいる小樽付近を除いては、地元の問題として割り切ることができますが、函館-長万部間は新幹線ができても貨物列車がたくさん通ります。貨物列車も新幹線に移行しない限り、鉄道を潰すわけにはいきません。

 もし函館線が貨物専用鉄道になった場合でも、鉄道がある以上、維持管理の人員は必要です。どれぐらいの人がいるのでしょうか? JR北海道によれば、約200人が必要だということです。今までならJR北海道から一定数は出向させるのでしょうが、JR北海道にも人がいません。自己都合退職者が増え、採用環境が厳しいからです。費用も年間数十億円がかかります。

 地元が拒否するならバスにしてしまえばよいローカル線ならともかく、国の基幹となる路線は、場合によっては国が維持しないといけないでしょう。維持するのは貨物列車部分だけでよいですから。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC222BS0S5A120C2000000/?msockid=14a30a4a6e7662f310461f4b6ffd6323)

| | | Comments (4)

2025年3月ダイヤ改正発表(7)(JR四国、JR貨物)

 高徳線の特急、「うずしお」の中には、岡山まで行くものがあります。2往復が岡山まで乗り入れていますが、今回のダイヤ改正で岡山発着の「うずしお」は廃止されます。全て高松発着となります。東京や大阪から徳島に鉄道で行くなら、岡山、高松と遠回りではなく、大阪や神戸あたりで高速バスに乗り換えるのが自然です。高松と高知を結ぶ「しまんと」は2往復減り、快速と「南風」を乗り継いで行くことになります。牟岐線の「むろと」は廃止になります。

 予讃線では、「宇和海」の伊予大洲、八幡浜の発着ホームを原則として駅舎に近い1番線にします。跨線橋を渡らなくてもよいのです。また、「宇和海」については、八幡浜-宇和島間がワンマン運転となります。乗務員の習熟等のため、ダイヤ改正前の2025年1月20日からワンマン運転を始めます。八幡浜、卯之町、伊予吉田、宇和島の各駅では、全ての扉から乗り降りできます。

 今回のダイヤ改正も、JR四国はパターンダイヤが一番の売りです。予讃線、土讃線、高徳線・鳴門線、牟岐線でパターンダイヤを導入したり、拡大したりします。特急もパターンダイヤ化するところがあります。停車駅をそろえたり、「うずしお」のように車両をそろえたりします(「うずしお」は全ての列車が2600系もしくは2700系に統一されます)。予土線でもパターンダイヤを導入します。江川崎-宇和島間は2時間間隔です。徳島で行われている、各線の接続を考慮したタクトダイヤについても拡大します。10~19時台になります。

 JR貨物については、札幌貨物ターミナル発広島貨物ターミナル着の便について、日本海縦貫線経由の直行ルートを設定します。所要時間が9時間あまり短縮され、31時間で結びます。機関車はEF210を9両、EF510を9両増備します。
(参考:JR四国ホームページ https://jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2024%2012%2013%2003.pdf、JR貨物ホームページ https://www.jrfreight.co.jp/info/2024/files/20241213_02.pdf)

| | | Comments (0)

新金貨物線の旅客化はバスで対応?

 新小岩と金町とを結ぶ貨物線、新金貨物線には旅客も受け入れるというがあります。新金貨物線の旅客化です。ただ、この旅客化、実現しないようです。

 それではどうなるのかと言えば、BRT。連節バスを新たに導入し、対応するようです。国道6号線との交差や事業費の問題で、鉄道ではなく、バスで対応させるようです。

 バスは全部になるか一部になるかは別として、専用道を走らせる方針です。専用道の用地は、貨物線の複線化用に取っておいた土地を使います。停留所では車両がすれ違うことができるようにして、両方向にホームを設置します。問題となっていた国道6号線との交差は、平面交差で対応します。新小岩や金町で折り返すときは、全線を専用道で走るパターンでも、既存の駅前広場を使います。

 環境問題を考慮し、バスの車両は電気自動車か燃料電池自動車を導入します。車両や停留所は、町のシンボルになるようなデザインにします。
(参考:日刊建設工業新聞ホームページ https://nordot.app/1213230173244654549?c=648454265403114593)

| | | Comments (0)

秋田港クルーズ列車、廃止か?

 秋田と秋田港を結ぶクルーズ列車があります。このクルーズ列車はJR貨物の線路を使って走ります。

 しかし、肝心の貨物列車はありません。2021年に秋田臨港鉄道が事業を終了し、肝心の貨物がないのです。秋田臨港鉄道が事業を終了してからも秋田港までの間はJR貨物が保守と点検を行ってきましたが、JR貨物も鉄道施設の管理を2025年度で終えます。つまり、このままでは、2026年度以降、クルーズ列車を走らせることができないのです。

 それでは、2026年度以降もクルーズ列車を走らせるには、どうすればよいのでしょうか? 秋田県、秋田市、JR東日本秋田支社あたりが管理をする必要があります。まず取得するのに約8億円かかり、さらに維持管理費用として毎年7000万円ほどかかります。めったに走らないクルーズ列車に、これだけのお金をかける価値があるか、ということが問われます。

 さて、話は変わりますが、このクルーズ列車、船に乗らなくても利用することができます。12日に秋田-秋田港間を走るクルーズ列車がそれです。値段は大人2000円、子供1800円で、秋田港近くの道の駅で使うことのできるお買い物券が1000円分ついています。申し込みはインターネットで行い、10月7日12時まで受け付けています。

(追記)
 秋田港のクルーズ列車は、2025年度末で廃止されることになりました。多額の費用をかけてまで線路を取得する必要はないと判断したのです。
(参考:FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/761976、JR東日本ホームページ https://www.jreast.co.jp/press/2024/akita/20240909_a02.pdf、秋田魁新報ホームページ https://www.sakigake.jp/news/article.jsp?kc=20250212AK0023)

| | | Comments (0)

「THE ROYAL EXPRESS」は淡路島に

 普段は伊豆を走っている「THE ROYAL EXPRESS」ですが、再び四国にやって来ます。2025年1月から3月にかけて、走ります。JR四国、JR貨物、JR西日本、東急の協力により運行されます。

 2025年は、2024年にも運行した「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」のほか、2つのプランが用意されます。「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN LIMITED」と「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN PREMIUM」です。「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」は2回、「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN LIMITED」は3回、「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN PREMIUM」は1回催行されます。

 新プランはそれぞれどのような内容でしょうか? まず「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN LIMITED」は初日に「藍よしのがわトロッコ」を貸し切ります(乗車区間は多度津-大歩危間)。そして、「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN PREMIUM」は岡山からではなく、神戸から旅が始まります。ウェルカムセレモニーをANAクラウンプラザホテル神戸で行い、ここからバスに乗ります。「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN PREMIUM」 のバスは両備バスではなく、神姫バスの「ゆいプリマ」、「ゆいプリマOLIVIA」を使います。1日目のお昼は淡路島でとらふぐなどを食べます。3日目の宿泊場所は船です。「ガンツウ」という海に浮かぶ宿です。

 ちなみに募集人数は各回ともに1回あたり最大15組30人(最少催行人員16人)、値段は2人1室の場合で、「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」と「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN LIMITED」は税込96万円から、「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN PREMIUM」は税込145万円です。ホームページや郵送で9月4日から10月21日までの間申し込みを受け付け、抽選を行います。
(参考:JR四国ホームページ https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2024%2009%2002%2001.pdf)

| | | Comments (0)

中央西線の石油輸送について

 2年ほど前の資料ですが、中央西線の石油輸送についてのものがありましたので、紹介します。

 島国の日本では、石油輸送も沿岸部では船で行います。そのため、鉄道の国内石油需要に占める比率は6.7%に留まりますが、船が使えない内陸の長野、群馬、栃木は比率が上がり、県内需要の約80%を鉄道で賄っています。

 その内陸への輸送で今、問題になっているのが、四日市から松本への輸送です。機関車の老朽化で代替の車両が求められていますが、機関車更新費用をどうするかで交渉が難航しています。関西線は単線で線路容量が厳しいため(?)、中央西線は急勾配のため、ディーゼル機関車も電気機関車も機関車が2両要ることもネックになっているようです。新しい電気機関車(EH200)なら1両で牽引できますが、値段が高いようです。

 ただ、石油輸送の拠点となる製油所は、当然ながら海側にあります。四日市や塩浜を除いては、千葉や神奈川に集中しており、長野県には、首都圏と四日市の両方から運び込んでいます。このうち、中央西線からの輸送がなくなれば、首都圏から中央東線経由で運ぶことになりますが、首都圏からの輸送が途絶えたら、長野県に石油が入ってこないということになります。
(参考:国交省ホームページ https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001485832.pdf)

| | | Comments (0)

ゴミ焼却施設改修のため、ゴミを貨物列車で運ぶ

 ゴミの処理は自分たちの町やその近隣で行うのが一般的です。そのため、ゴミの輸送はトラックで行うことになります。しかし、期間限定ですが、家庭で出たゴミの輸送を列車で行うところがあります。

 それは函館市。函館市は2024年から2028年度にかけて、ゴミ焼却施設の改修を行います。その間、隣接する北斗市に一部のゴミ処理を委託しますが、それだけでは対応できません。函館市の規模が大きすぎるのです。

 そこで函館市が頼るのが、札幌市。これぐらいの規模がないと対応できないのです。函館、札幌両市の協議がまとまれば、10月に2週間にわたって、貨物列車を使って、1日あたり最大約12トンを廃棄物専用コンテナで札幌市に運びます。函館市はトラックで運ぶことも考えたようですが、運転士不足のために鉄道にしたのです。

 なお、札幌市の焼却施設では灰が出ますが、それはすでにセメントの材料として貨物列車で函館市に運んでいます。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20240523-ILZYKEEBNZL25KG3K73WH5L664/)

| | | Comments (0)

JR貨物、「スーパーレールカーゴ」の後継車両を開発へ

 東京と大阪の間を高速で走る、「スーパーレールカーゴ」。貨物列車では珍しく、電車の形態を取っています。機関車が貨車を牽引するタイプよりもスピードアップが達成できます。

 ただ、「スーパーレールカーゴ」は2004年につくられ、20年が経過しています。今すぐ、という問題ではありませんが、次を考える時期です。JR貨物が3月29日に発表した「JR貨物グループ 中期経営計画 2026」によれば、電車型貨物列車の開発を検討するとのことです。

 トラックドライバーなど、物流を担う人材の不足は深刻な問題となっています。そのためには、鉄道に頑張ってもらう必要があります。何でもトラックに任せるのは止めて、鉄道が得意なところは鉄道に任せ、トラックに細かい輸送をしてもらうのが良いでしょう。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/d247d24b89a0300802812207ec5ae4eae563da26)

| | | Comments (0)

より以前の記事一覧