2026年度以降の道南いさりび鉄道は?

 道南いさりび鉄道は、北海道新幹線新函館北斗開業に伴いつくられた第三セクター。五稜郭-木古内間を運行しています。

 この道南いさりび鉄道ですが、2025年度までは現在の経営計画に従い、運行します。しかし、開業から10年を過ぎた2026年度以降については未定のようです。2026年度以降については2023年度中に判断するとのことです。

 道南いさりび鉄道の2022年度の純損益は約2.1億円の赤字。赤字分は北海道などからの補助金で穴埋めをしています。実は道南いさりび鉄道が誕生するときにも旅客の営業を取りやめ、貨物だけにするというはありました。さすがにそのときはごくわずかの区間の話だったので、その話は消えましたが、北海道新幹線が札幌まで延びると、並行在来線で旅客営業を行わない区間がほとんどを占めます。貨物専業の鉄道になったり、バスになったりする区間がかなり増えるのです。

 こうなると、並行在来線会社は引き続き旅客運送を行わないといけないという縛りは消えます。それを踏まえて、道南いさりび鉄道も一部分もしくは全部の旅客営業を止めようと考えているのでしょうか?
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/9c23e3cabc64da3faefefbb05f9e307595fe5d8d)

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函館線函館-長万部間、新幹線開業後も鉄路維持へ

 整備新幹線が開業すると、これまで在来線特急が頻繁に走っていた在来線はJRから分離されます。

 これまでなら、分離された並行在来線は、第三セクターとして運行を継続します。整備新幹線の沿線はそれなりに人が住んでいるので、ローカル需要もある程度はあるからです。しかし、北海道新幹線の場合は話が違いました。あまりにも需要が少ないので、ローカル需要が見込めないのです。第三セクターで走らせると、沿線自治体は金銭の負担をしなければなりません。地元自治体の立場で考えると、鉄道の廃止を受け入れ、バスにしてコストを下げるのはある意味合理的です。

 旅客だけを考えると、新幹線アクセス需要が見込める函館-新函館北斗間(新幹線になるかも?)を除いてバスに転換するというのは妥当な考えです。しかし、貨物のことを考えると話はややこしくなります。新幹線が開業しても貨物列車は函館線を走り続けます。これをほかの交通機関で代替するのは厳しいです。国交相もこの区間を基幹鉄道区間として認識しています。

 そこで国交省、北海道、JR貨物、JR北海道の4者が協議をした結果、北海道新幹線が開業した後も函館線を維持する方向で合意しました。旅客はともかく、少なくとも貨物鉄道としては残るのです。線路などの施設維持管理費や人員確保について、これから解決しなければならない課題はありますが、とにかく鉄道が残ると言うことは喜ばしいことと言えます。と言うより、ローカル需要しかない枝線と違って、廃止を考えるべきではなかったのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/867a11c2215acb802f42c0974915efeb004a96e4)

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阿武隈急行も経営見直しか?

 槻木と福島を結ぶ第三セクターの阿武隈急行。白石を経由する東北線とは違って、阿武隈川沿いに走ります。

 ところがこの阿武隈急行、災害による長期不通が相次いでいます。2019年の台風19号のときは全線復旧まで1年ほどかかりましたし、2022年3月の最大震度6強の地震のときも駅や線路などが被害を受け、全線で1か月あまり不通となりました。そのほか、新型コロナウイルスの影響で経営状態が悪くなり、2021年度末の累積赤字は約23.7億円です。

 そこで宮城県、福島県、そして沿線5市町村も参加して、抜本的な経営改善を目指すための会議を設けることとなりました。約2年かけて経営改善策をとりまとめます。最初の1年は鉄道を廃止してBRTにするかどうか話し合います。その後、鉄道を維持するならば、上下分離方式の導入などを検討します。

 阿武隈急行の一番のネックは、県境の区間。福島市や伊達市の市街地は比較的利用者がいるようですが、県境の区間の利用者は少ないようです。ここをどうするかによって、結論が決まりそうです。
(参考:NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230315/k10014008351000.html、朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASR3Y7SWJR3RUNHB007.html)

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石狩市にロープウェイ構想

 札幌の北にある石狩市というところに、ロープウェイをつくる構想があります。

 元々、石狩市には鉄道をつくる構想がありました。1985年からある話でしたが、建設費が莫大で、鉄道にしろ、モノレールにしろ、採算が取れないので、話は前に進みませんでした。この鉄道構想が、ロープウェイというかたちで復活したのです。

 なぜロープウェイにするのかと言えば、設置費用が安いこと。鉄塔を建てる場所だけ用地買収をすればいいので、コストが下がるというのです。また、ロープウェイは上空を走ります。大雪のときの渋滞を避けることができるというメリットがあるようです。

 エネルギーも時代に合わせてアップデートしています。石狩市には、風力や木質バイオマスの発電所をつくる計画があります。沖合には、大規模な洋上風力発電所の計画があります。環境に優しい再生可能エネルギーでロープウェイを動かすのです。ロープウェイは風に弱そうなイメージがありますが、スキー場に同じような構造のリフトがたくさんあるのですから、問題はないようです。

 さて、この構想、実現するのでしょうか? そもそも、軌道系の交通機関が要るほどの需要があるのか、というところから考えないといけません。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/ff4df2a5839ad4e025f9c1fbfd7d7add906b9111、タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/ishikari-ropeway/)

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仙台市営地下鉄南北線、富谷市に延伸か?

 以前にも書きましたが、仙台市営地下鉄南北線を北隣の富谷市まで延ばすがあるようです。泉中央から北に3キロほど延ばして、富谷市に入ってすぐの明石台まで整備します。延伸区間は単線で、途中、1~2駅を設置します。中間の駅はいずれも仙台市内にできます。

 この延伸にかかる建設費は中間駅の数にもよりますが、350~450億円とされています。運行本数は毎時4本、運賃は泉中央までの運賃に加えて、210円を徴収します(仙台市から出るので、別会社にするのでしょうか?)。このような仮定の下で計算すると、最短で21年で累積終始が黒字化するようです。つまり、採算が取れるという結論になるようです。

 泉中央-明石台間には、ガイドウェイバス(BRT)をつくるという考えもあります。混雑する泉中央-明石台間のみ専用高架道路をつくり、明石台以北から路線バスが乗り入れます。最終的には、地下鉄とBRTを比較して、どのような基幹公共交通機関をつくるのかを考えます。

 もっとも、ここでネックになるのは仙台市。富谷市にとっては重要な話でも、仙台市にとっては端のごく一部の地域の問題なので、建設を推進する動きがありません。いくら富谷市がやりたくても、仙台市を巻き込まないと話は進まないのです。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/sendai-tomiya/)

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盛岡にLRT?

 宇都宮のLRTは8月に開業しますが、東北新幹線を北に進んだ盛岡でも、LRT導入の話があるようです。2月11日に市民団体が講演会を開きました。

 盛岡のLRTがどういうものかは分からないですが、今後も市民団体は盛岡にLRTを導入するための活動を続けるようです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/c7bda0b3ad9a12a51192d2cbc791f3b29623e152)

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阿武隈急行、最終を42分繰り上げ

 阿武隈急行も3月18日にダイヤ改正を行います。

 今回のダイヤ改正では槻木発の最終を42分繰り上げます。0:34発から23:52発に42分繰り上げますが、元々の設定がかなり遅かったので(2021年のダイヤ改正でかなり遅くなりました)、そこそこの時間帯に戻したというところでしょうか?
(参考:阿武隈急行ホームページ www.abukyu.co.jp/?p=2284)

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余市-小樽間の第三セクター化試算、経費を過大見積もり?

 北海道新幹線が開業すると、函館線函館-小樽間は並行在来線としてJRから分離されます。通常なら、第三セクター鉄道として存続するところですが、この区間の普通列車での需要はあまりにも少ないので、函館-新函館北斗間を除いて、バスになる予定です。どう考えても貨物需要があるはずの新函館北斗-長万部間も、旅客営業は行わないようです。

 新函館北斗-長万部-余市間はともかく、それなりに需要がある余市-小樽間が廃止になるのは、第三セクターにした場合、かなりの赤字になると試算されたからです。その試算は北海道庁が行ったのですが、その試算に疑問を持つ人がいます。経費を過大に見積もり、「バス転換やむなし」という結論ありきのものにしているというのです。

 それでは、具体的にどの経費が高いとみているのでしょうか? 45.4億円ある初期投資額では、4つを挙げています。まずはJRからの譲渡資産、4.8億円。この区間の鉄道施設はもともと国鉄のものだったのですが、分割民営化のときにほぼ無償でJR北海道に譲渡されました。そこからさらに35年が経過しているので、価値はほとんどないとみています。車両は14.1億円あります。H100形6両の値段のようですが、今は新車でも、北海道新幹線開業時点では10年以上経過した車両です。税法上の耐用年数を考えると、かなり安くなっているはずです。交渉次第ですが、北陸新幹線のときは、新車をいったんJR西日本が買い、それをすぐに第三セクターに渡すという方法で安く車両を手に入れることができました。4.5億円の車両検査施設は、余市構内にある保線用の車庫を転用することで、コストを削減することができるとしています。4億円の信号設備は、留萌線部分廃止で新たに信号設備をつくる石狩沼田が0.8億円でできることから、もっと安くなるとみています。

 開業した後はどうでしょうか? こちらも問題があるとしています。開業初年の2030年度の単年度収支は、運輸収入が2.3億円、営業経費が7.2億円、差し引き4.9億円の営業赤字です。そして、7.2億円の営業経費のうち、人件費が4.2億円を占めています。仮に平均年収が500万円の場合(6年前の資料ですが、JR北海道もそれぐらいの平均年収です)、80人程度が働くとしていますが、そんなにもいるのでしょうか? 余市-小樽間は19.9キロ、これと同じ程度の長さの鉄道に19.2キロの若桜鉄道があります。若桜鉄道は17人で運行しています。余市-小樽間は40分間隔で列車を運行することができるので、若桜鉄道よりは人数がいるでしょうが、5倍近い人はいらないでしょう。
(参考:余市駅を存続する会ホームページ https://yoichi-railway.com/index.php/mondaiten/、東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/183230?page=3)

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弘南鉄道にお座敷車両

 弘南鉄道はこのたび、お座敷車両をつくりました。

 ベースは普通の通勤電車のようですが、和の雰囲気を出しています。窓に障子があるところもあります。2両編成のうち、1両はすでに畳が敷かれていますが、もう1両にも床面に畳を敷くことができます(2両とも、ロングシートの座席は残っています。座席の定員は96人のままで、変わりありません)。床面にはテーブルを置くこともできます。10卓置くことができます。

 車内には木彫りがあります。江戸時代の錦絵の絵師、歌川国芳の「きんぎょづくし」の絵を元にした彫刻ですが(なぜ金魚にしたのかと言えば、弘南鉄道は毎年夏、「金魚ねぷた列車」を走らせているからです)、それをつくったのはだんじりで有名な、岸和田の彫刻師。たんじりには立体的に見える彫刻が施されていますが、それが遠く離れた弘南鉄道でも見ることができるのです。弘南鉄道沿線の名所や名産物をアレンジしています。
(参考:弘南鉄道ホームページ https://konantetsudo.jp/event-train/、「鉄道ジャーナル」2023年4月号 鉄道ジャーナル社

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青函トンネル記念館のケーブルカー、経営危機でクラウドファンディング

 龍飛埼にはケーブルカーがあります。青函トンネル記念館が運営するもので、記念館に隣接する青函トンネル記念館駅と海面下140メートルの体験坑道駅との間を約7分で結んでいます。1998年7月の開業から2022年まで、約135万人が利用しました。

 この青函トンネル記念館のケーブルカーですが、新型コロナウイルスの影響で観光客が減少し(2022年度は2019年度の約6割でした)、収入が減っています。それなのに、車両整備の費用はいつも通りかかります。青函トンネル記念館のケーブルカーも鉄道事業法に基づいて運行されているため、車両の検査が必要です(検査は青函トンネル記念館が閉まっている、冬季に行います)。特に2023年は車両を分解しての検査があるので、レール修理の費用と合わせて約1000万円が必要です。しかし、その費用が捻出できません。このままでは東北運輸局から運行が認められない危険性があります。そこで青函トンネル記念館はクラウドファンディングの手法で整備費を確保しようとしています。2月1日から行い、300万円を集めることを目標としています。

 ただ、青函トンネル記念館のある龍飛埼には行きにくいです。青森から津軽線の列車を乗継ぎ、三厩からはバスに乗り換えます。しかも、津軽線の蟹田-三厩間は廃止の話もあります。津軽線の見直しとともに、途中にある新幹線の駅からのアクセスを向上させることも求められているかもしれません。

(追記)
 1日から始まった青函トンネル記念館のクラウドファンディングですが、たった10日間で目標の300万円が集まりました。また、青函トンネル記念館のある外ヶ浜町は、車両整備のための補助金900万円を出すことを議会で可決しました。これにより、2023年度のケーブルカー運行の目途が立ちました。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/a0a26b1bc9b615e70e8bc9b7e8c381dea4790226、https://news.yahoo.co.jp/articles/9583bf8f80aa630a533ed64ac43e7c0e31af87a3)

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