米坂線、上下分離にすると地元に最大17億円の負担

 米沢と坂町を結ぶ米坂線は、2022年8月の豪雨で被害を受け、一部区間を除いて運休したままです。

 鉄道を存続させないといけないほどの需要があるわけではない米坂線ですが、地元は鉄道での復旧を望んでいます。しかし、採算がとれず、社会的な意義もない路線を民間会社が維持するわけにはいきません。何らかの公的負担が必要になります。

 その公的負担の方法のひとつとして、上下分離があります。線路などの鉄道施設や土地を地元自治体が所有し、JRは運行に専念します。この場合、地元の負担はどれぐらいになるのでしょうか?

 JR東日本によれば、山形県側の今泉-小国間は年間8.1~10.9億円、新潟県側の小国-坂町間は年間4.7~6.1億円です。なお、この数字は、2031年に復旧し、その後10年間の負担額を計算したものです。施設の更新があれば、負担額はさらに増えます。

 この負担額について、沿線自治体からは負担が重いことを訴え、国による財政負担を求めるところもあります。しかし、特急や貨物が走らず、バスで足りる程度のローカル需要しかないところに、国のお金を投じる必要もありません。厳しいですが、地元が負担できるなら第三セクター、負担できないならバスなどコストを抑えた経営にするのが適切なところと思われます。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSCM469XSCMUOHB00HM.html)

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阿武隈急行、宮城県側も鉄路で存続

 鉄路を存続するか、それともバスやBRTに転換するかで揺れていた、阿武隈急行。結局、鉄道を存続させることで決まりました。

 なぜそうなったのでしょうか? 鉄道を30年間維持する場合473億円のお金がかかります。鉄道を廃止し、BRTにすると346億円、路線バスだと299億円かかるので、BRTや路線バスにすることによって、コストが抑えられます。しかし、利用者も大きく減ります。路線バスは31%減り、BRTだと72%減ります。確かにコストは減りますが、それ以上に客が減ってしまうのです。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/abukumakyuko202410/)

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函館市電、停留所の混雑解消のため乗車位置を変える

 函館市民の足であり、観光客も使う函館市電。その函館市電ですが、運営する函館市企業局交通部は、8月30日から、函館駅前停留場(湯の川方向)の乗車位置を変更していました。

 なぜ乗車位置を変更したのでしょうか? 函館駅前停留場は観光客が増え、乗車する人の列が停留場をはみ出すことがあるようです。車道まで人がいることになるのですから、とても危険です。そこで、これまで停留場に路面電車がすっぽりと入るように停めていましたが、約7.5メートル手前で停めることにしました。ホーム全体を乗車する人の場所としてフルに使えるようにするのです。約30人分増えるようです。
(参考:函館市ホームページ https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2024081900019/、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/765cc5178740e38bcae48aa3247ba3db1b38238e)

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三陸鉄道一日乗り放題が400円

 三陸鉄道は全長160キロ以上の長さがありますので、片道乗るだけでも結構します。端から端まで乗れば、3780円。こんな鉄道でフリー切符をつくれば、結構な金額になってしまいます。

 ところが、その三陸鉄道がたった400円のフリー切符をつくりました(子供も同額です)。三陸鉄道開業40周年を記念してのもので、年4日だけ適用されます。すでに4月13日に実施しましたが、残り3日間の日程は未定でした。

 その残り3日間の日程が決まりました。9月14日、10月12日、11月4日です。いずれも休日です。いずれも乗車日の2週間前から盛、釜石、宮古、久慈などの主要駅で購入することができます。大変お得な切符なので、日程が合うのなら是非使いたい切符です。

 なお現在、宮古と新田老の間は、台風5号の被害を受けたため、代行バスでの運行となっています。
(参考:三陸鉄道ホームページ https://www.sanrikutetsudou.com/2024/08/30/400円でリアス線全線乗り放題!400円きっぷ発売決定/、https://www.sanrikutetsudou.com/2024/09/05/9月6日金から当面の間%e3%80%80宮古~久慈間の運行につ/)

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津軽鉄道、「ストーブ列車」を値上げ、倍の1000円に

 津軽鉄道の冬の名物、「ストーブ列車」。旧型客車の中ほどに石炭ストーブがあり、汽車旅を楽しむことができます。

 この「ストーブ列車」ですが、運行に必要な軽油やストーブの燃料の石炭の値上がり(石炭には国内家庭用石炭の採掘が終了したという事情もあります)、車両の維持に必要な修繕材料等の値上がり、人件費の増加によって、このままでは運行が困難となります。

 そこで2024年の運行開始となる12月1日から、「ストーブ列車」の値上げをすることにしました。現在500円(寄付金付は700円)のところ、1000円(寄付金付は1200円)になります。運賃の値上げはありません。500円から1000円に倍の値上げですが、「ストーブ列車」は石炭ストーブで暖を取るという珍しい観光列車ですので、それなりの料金を取るのは理解できます。値上げを嫌ってサービス内容を落とすぐらいなら、それ相応のお金をもらってサービスの向上を図るほうが望ましいのです。
(参考:津軽鉄道ホームページ https://tsutetsu.com/archives/5027)

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弘前市、高校生を対象に市内の鉄道やバス等定額乗り放題に

 弘前市は市内に住む高校生などを対象に、弘南鉄道や弘南バス、市内の乗合タクシーに定額で乗り放題になる取り組みを行います。2025年1月から約2か月間、行います。

 なぜそのようなことを行うのでしょうか? 冬場は徒歩や自転車での通学が厳しくなります。そうなると保護者は子供を車で送迎します。保護者にとっては負担ですし、渋滞を招きます。それを防ぐために定額乗り放題のシステムを導入しようとしているのです。
(参考:NHKホームページ www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20240701/6080022992.html、東奥日報ホームページ https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1806823)

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社長と話ができる、秋田内陸縦貫鉄道

 秋田内陸縦貫鉄道は、鷹巣と角館を結ぶ、94.2キロの鉄道。県庁所在地の秋田を無視して走っているため、利用者は少ないです。ただ、このようなローカル鉄道だからこそのメリットもあります。仕事に余裕があれば、乗客が社長と話をすることができるのです。

 どうすれば話ができるのかと言えば、本社最寄り駅の阿仁合の窓口で申し出れば良いのです(駅には、社長が今、忙しいかどうかわかるボードがあります)。本社は駅から数分のところにあり、社長が来てくれるのです(忙しいときや出張中は、ほかの人が対応します)。

 この社長と話ができるサービスは、社員の発案で1月から始まりました。これまで10~70代の男女10人ほどが利用し、おすすめの風景やお土産、車両の特徴について話をしたそうです。
(参考:共同通信ホームページ https://nordot.app/1177398311053771057)

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大鰐線はバス運転士不足のため存続へ

 弘南鉄道の大鰐線については、存廃の話が出ています。2023年には大鰐線で脱線事故があり、4か月にわたって長期運休をしていました。2023年度の決算は弘南線が約0.97億円の赤字、大鰐線が約1.31億円の赤字でした。どちらも収支見通しよりも悪い数字です。

 そんな中、6月25日に大鰐線の沿線の弘前市長と大鰐町長が、会談を行いました。その会談で弘前市は大鰐線を存続させる方針であることを明らかにしました。大鰐町も弘前市の方針に従う方針です。

 大鰐線の2021年度の輸送密度は400人(同時期の弘南線は1897人)、弘南線ぐらいの輸送密度があれば鉄道を存続させるのが望ましいですが、たった400人の大鰐線を存続させるのは意外です。存続させるということは、お金の負担もあるのですから。それなのに、なぜ大鰐線の存続を決めたのかと言えば、代替交通機関のバスの運転士が確保できる見通しが立たないからです。また、鉄道にしろ、バスにしろ、運行するためにはお金が必要です。鉄道を存続するのにもお金が要りますが、バスでも要ります。弘前市の試算では大鰐線を廃止してスクールバスを運行した場合、約1.37億円かかります。鉄道だからと言って極端に大きな金額が必要になるわけではないと考えているのです。

 JRに甘えるだけのJR赤字ローカル線と違い、大鰐線の場合は地元の負担で鉄道を存続させます。その心意気は買いたいです。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/konan-owani202406/)

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阿武隈急行、宮城県側でバス転換等検討へ

 阿武隈急行は福島、宮城の両県に跨がる第三セクター。しかし、以前にも記事にした通り、阿武隈急行の経営状況が悪化しています。

 特に問題なのは宮城県側。このまま電化鉄道を維持するかどうか考えているようです。非電化、BRT、バス、BRTとバスの併用の4案を候補に、今後どうするかを考えていくようです。10月までに沿線自治体と意見をとりまとめる予定です。特に宮城県柴田町は存続に消極的なようで、2023年度分の補助金、2358万円の支払を拒否しています。柴田町はほかの市町と違い、阿武隈急行は町にとって重要な路線ではありません。阿武隈急行が廃止になっても、メインの東北線は残るので、困ることはあまりないのでしょう。

 もっとも、福島県側はこのまま電化鉄道を維持します。福島近辺は通学のほか、通勤の利用もあるので、鉄道を維持する価値があるようです。福島県、福島市、伊達市は共に鉄道を維持する方針で一致しています。このままの姿で阿武隈急行が残るか、福島県内のみの鉄道になるのかは宮城県側が鍵を握っているのです。
(参考:福島民友新聞ホームページ https://www.minyu-net.com/news/news/FM20240601-861330.php、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240611-OYT1T50019/)

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揺れる列車の中で運動すると効果が高い

 都会の鉄道を中心に、立って乗らなければならないところは多いです。ただ、立って乗るのも悪い話ではないようです。

 どういうことかと言えば、適度に揺れる列車の中でスクワットや足踏みといった軽い運動をしたところ、エネルギーの消費量(運動時に呼吸した酸素や二酸化炭素の量から計算しました)が室内で行ったときよりも最大3割多かったのです。秋田市内にある専門学校が秋田内陸縦貫鉄道で実験したところ、こういう数字が出たのです。なぜこうなるのかと言えば、列車が走るときの揺れに対して、無意識に身体を支えようという動きが出て、全身の筋肉が動いたからと考えられています。

 また、運動せずに静かに立っているだけでも、効果があります。通勤電車で良くあるように、進行方向に向かって横向きに立った場合、室内で立ったときに比べてエネルギーの消費量が5割も増えました。列車の中で立つのも運動になるのです。
(参考:秋田放送ホームページ https://nordot.app/1153643624200716573?c=648454265403114593)

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