北陸鉄道浅野川線は東京メトロ日比谷線の車両で置き換えましたが、石川線は古い車両ばかりです。6編成ありますが、そのうち5編成は1964年から1966年につくられた東急の車両です。北陸鉄道には1990年に来ました。製造から60年近く経ちます。残り1編成は京王井の頭線で使われていた車両で、北陸鉄道には2006年に来ました。こちらも1967年に製造されたものなので、事情はほぼ同じです。元東急の車両も元京王の車両も老朽化が進んでいますが、あまりにも古いため交換用の部品もありません。廃車された車両から部品を流用してしのいでいる状況です。東急7000系はいろいろな地方の私鉄に譲渡されていますが、同じような状況なので、部品の調達は難しくなると考えられます。
浅野川線が東京メトロの車両で置き換えたのなら、石川線もそれで置き換えたらいいのではないかと思われますが、そう上手くはいきません。新西金沢付近に急カーブがあり、対応できる中古車両がないのです。そこで北陸鉄道は、どこかの中古ではなく、新車をつくって石川線の車両を置き換えることを考えているようなのです。2025年度に置き換える予定ですので、2023年度に発注しないといけないようです。
もっとも、北陸鉄道石川線には、バスやLRTになるという話もあります。利用者が減っているので、今のような鉄道でなくてもいいのです。バスやLRTになるのであれば、鉄道車両の置き換えは不要です。さらに言えば、故障している変電所をどうするのかという話もあります。そのため、発注期限の2023年度までに石川線をどうするか決めます。
ただ、バスにするのも問題があります。まず、バスの場合は朝のラッシュをどうするのかという話があります。朝ラッシュの利用者は1時間に600人。列車なら3本で済みますが、バスなら11台が必要です。休みの人もいますから、運転士は15人必要と言われています。しかし、北陸鉄道は今でも運転士が不足気味で、約50人の欠員が生じています。このまま石川線をバスに転換すると、バスの運転士が足らず、既存のバス路線を減便しないといけないということになってしまいます。また石川線の利用者は金沢市の中心部まで利用します。バスにすると所要時間が増えます。鉄道だと野町-鶴来間は約30分ですが、バスだと39~44分に増えます。中心部の香林坊だと鉄道とバスを乗り継いで約40分ですが、バスだと直通でも47~52分かかります。バスだとたとえ専用道にしても一般道の交差部で一旦停まる必要があり、制限速度が時速50キロなので、遅くなるのです。さらにバスだと遅くなるので、車を使う人が増え、渋滞が悪化します。
車両工場の問題もあります。北陸鉄道の工場は鶴来だけなので、石川線を廃止すると、工場の機能をどこに移すかという話が出てきます。また、鉄道の規模が小さくなるので効率が悪くなり、浅野川線の収支にも悪影響を及ぼします。
こうなるとベストは石川県などが補助をして鉄道を維持することと思われますが、どうなることでしょうか?
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/ishikawasen-shinsha/)
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