樽見鉄道、スタフ閉塞に変わっていた

 車だと運転士が周りに注意して走りますが、鉄道は運転士の注意力だけでは安全を担保できません。鉄道車両は鉄でできたレールの上を走るので、なかなか停まりにくいのです。そこで、線路を一定のブロックで区切って、そこには一列車しか入れないという、閉塞という概念が出てきます。決められたエリアにひとつしか列車がないのなら、ぶつかることはありません。この閉塞の考えですが、最初はスタフやタブレットという道具を使って物理的に走ることのできる車両を決めていました。かなりアナログな手段で、人数も多く要します。主要幹線は当然のこと、そうでなくても最近はいろいろな技術で対応しています。駅間に複数の車両を走らせることもでき、前に列車が走っていれば、ぶつからないようにすることもできます。少ない人間で安全を担保できるのです。自動閉塞と言います。

 普通はアナログな方法から機械仕掛けの方法に進むものですが、樽見鉄道は2024年、一部区間を逆にアナログな方法に戻すことにしました。アナログな方法に戻したのは本巣-樽見間、スタフ閉塞に戻したのです。本巣-樽見間にはすれ違いできる駅もありましたが、それを一切なくし、本巣から北はひとつの列車しか入ることができないようになりました。本巣以南に比べて需要が少ないので、これでも何とかなると判断したのでしょう。また、スタフ閉塞の場合、すれ違いできる駅には必ず駅員を置かないといけません。どんなに利用者が少なくても、すれ違いできる駅は無人駅にはできないのです。樽見鉄道の場合、本巣が該当しますが、本巣は本社がある駅なので、誰かは対応できる人がいるのでしょう。
(参考:樽見鉄道ホームページ https://tarumi-railway.com/pdf/safety/file/5)

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黒部宇奈月キャニオンルートは10月2日から

 2024年の能登地震の影響で長い間一部区間で運休していた黒部峡谷鉄道ですが、10月1日に全線開通します。3年目の秋になってようやく全線で復旧することになりました。

 これを待っていたのが、黒部宇奈月キャニオンルート。今まで業務用にしか使われていなかったルートですが、このたび一般開放されることになりました。こちらもアクセスとなる黒部峡谷鉄道が運休していたため、一般開放が延期となり、黒部峡谷鉄道復旧の翌日の10月2日からとなります。

 この黒部宇奈月キャニオンルートを利用するには、旅行会社のツアーに参加しないといけません。専門ガイドと安全添乗員がつきますが、結構な金額がします。有名旅館に泊まることもあり、1泊2日で12万円台からです。これにアルペンルートや宇奈月温泉までの往復の切符が加わります。一般開放されたからといって、簡単に行くことができるわけではないようです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASV733TNHV73PUZB001M.html、JTBホームページ https://www.jtb.co.jp/kokunai/theme/canyon-route/)

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地鉄本線は全線維持へ

 一部区間で廃止の話があった富山地鉄本線ですが、廃止せずに全線を維持する方針になりました。

 その理由は、以前にも書きましたが、あいの風とやま鉄道との並行区間(滑川-新魚津間)を廃止してもコストの削減ができないこと。2026年度から10年間でかかる費用を見ると、むしろ現状維持したほうが安上がりなのです。営業収支は廃止しても残しても6億円程度の赤字は続き、残すことによる社会的便益は年間120億円とも試算されています。それを考えると、あえて廃止する必要はないということなのです。

 問題はその赤字路線を誰が負担するかとのことです。滑川市は市民にアンケートを取っています。滑川市民のうち、年数回でも地鉄を使っているのはたったの3割です。月1回以上になるとたったの6.6%しかありません。その滑川市民でも必要だと判断しているのは7割近くいます。それなのに、行政が負担すべきだというのは半分程度です。赤字路線でも必要ならば、誰かが負担しなければなりません。負担できるのは行政だけです。それを拒否するということは、廃止に同意したと認識されても仕方がないでしょう。

 さて話は変わりますが、富山地鉄の不二越上滝線には増便の話があります。藤井富山市長の提案によれば、全ての区間で終日30分間隔のパターンダイヤを導入し、最終も繰り下げます。小杉までの市街化区域は、朝夕15分間隔の運行を目指します。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/toyama/news/20260721-GYTNT00348/、FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/1079173、https://www.fnn.jp/articles/-/1073450)

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井川線にはいくつかの旅行プランがある

 大井川鐵道の井川線は7月から観光鉄道化され、基本的には一律3500円の均一料金になりました。列車に片道乗るだけで、何のイベントもないのですが、3500円かかるのです。

 しかし、その井川線にも旅行プランらしいものがあります。駅の売店で使える割引チケットが付いていたり、お弁当が付いていたり、温泉の入浴券が付いています。

 本来、このようなプランをいくつか用意しておくものだったのでしょう。ただ乗るだけでは3500円は高いです。それに見合ったサービスがないと客は買ってくれないでしょう。地元の日常的な利用が見込めない区間なのですから。

(追記)
 8月6日から、千頭-井川間を往復することのできる、「南アルプスあぷとライン 往復ぷらっとプラン」が発売されます。8月7日から30日までの期間に利用できます。行きか帰りに1回途中下車することができ、値段は大人6500円、子供3250円です。事実上の往復割引切符と言えるでしょう。
(参考:大井川鐵道ホームページ https://daitetsu.jp/abt、https://daitetsu.jp/archives/320564)

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万葉線、7月から運休する列車を増やす

 万葉線はこの2月から、車両の点検修理のため、一部の列車を運休しています。上りの高岡駅方面が6本、下りの越ノ潟方面が5本の合わせて11本です。本来は15分間隔の綺麗なダイヤですが、ところどころ歯抜けになっています。

 その万葉線ですが、7月から更に減便するのが増えます。車両不足の状態が続いているのに加えて、運転士が不足しているからです。万葉線の場合、全7両の車両に対して少なくとも21人の運転士が要るのですが、7月からは17人に減ってしまうからです。減るのは利用者が比較的少ない10時半から昼過ぎの便で、運休するのは上りが10本(区間運休の6本を含みます)、下りが8本(区間運休の2本を含みます)の合計18本です。今回もところどころ歯抜けになっているダイヤなので、使いづらいです。
(参考:万葉線ホームページ https://www.manyosen.co.jp、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/151484c0f272cec02bedf2a91b31ae955fd5655d)

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12系客車をお座敷に

 鉄道車両の座席は新幹線のリクライニングシートから通勤電車のロングシートまで様々なものがありますが、基本的には椅子です。

 ただ、日本人だと、畳の部屋のほうが落ち着くという感覚があります。鉄道車両も例外ではなく、通常の列車ではありませんが、団体列車用に畳を敷いたお座敷客車というものもありました。2020年ごろまで、大井川鐵道でも走っていました。

 この畳敷きの車両が、大井川鐵道で復活します。使う車両はかつての旧型客車ではなく、12系。ボックスシートの構造をそのまま活かし、ボックスシートの上に縦90センチ、横130センチのベニヤ板と畳を載せました。座布団のほか、折りたたみテーブルもあり、食べ物や飲み物を置くことができます。ボックスシートの上に畳を置いたものなので、セミコンパートメントみたいな感覚になります。後で書きますが、ボックス単位の発売なので、見知らぬ人と一緒のボックスになることほありません。運行日は6月27日からの一部の休日で(初日の6月27日は台風の影響で中止になりました。実質的な初日は7月4日でした)、運行日は金谷-川根温泉笹間渡間を3往復します(一部は新金谷止まりもしくは1時間以上の長時間停車)。12系客車は5両ありますが、そのうちの2両を使います。

 1ボックス当たりの定員は乳幼児を含めて3人まで、ボックス単位で発売され、値段は2500円です。これに人数分の乗車券や急行券が加わります。フリー切符でも構いません。JRE MALLチケットにて発売しています。
(参考:大井川鐵道ホームページ https://daitetsu.jp/archives/315117、鉄道コム https://www.tetsudo.com/report/554/)

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大井川鐵道、2027年秋にひと駅復旧

 大井川鐵道は2022年9月の台風によって被災し、3年半以上が経った今でも、川根温泉笹間渡-千頭間(19.5キロ)で運休しています。2029年春に復旧予定です。

 この運休している区間ですが、2029年春に一気に全線復旧するのではなく、以前にも書いたとおり、工事が終わったところから順次復旧させていきます。工事は2025年12月に始まりましたが、川根温泉笹間渡から進めています。まずは線路内に流れ込んだ土砂等の撤去作業から始まっています。すでに3月末の時点で島田市内の撤去は終え、5月からは川根本町での土砂の撤去作業に入っています。2026年度中に完了させる予定です。7月からはトンネルの補修工事、2027年度からはレールや道床の交換という軌道整備を行います。

 最初に復旧するのは川根温泉笹間渡からひと駅先の地名まで。川根本町に入ったところにある駅で、2027年秋の見込みです。その後、2028年秋ごろには地名から2つ先の下泉まで運行を再開する予定です。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASV6J4GFTV6JUTPB001M.html)

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井川線は7月1日から観光列車化

 当初の予定より1か月遅れましたが、大井川鐵道は7月1日から井川線の観光列車化を行います。井川線の全列車が観光列車になります(上りの始発と下りの最終には一部、従来通りの運賃で利用することができる一般車両も連結します)。

 井川線は千頭-井川間を走るのが1日2往復、千頭-接岨峡温泉間を走るのが1日3往復です。一般車両もある上りの始発と下りの最終を除いて、一部駅を通過します。停車駅は奥泉、アプトいちしろ、長島ダム、奥大井湖上、接岨峡温泉で、尾盛と閑蔵は1往復ずつ停まります。利用者の少ない駅を中心に通過したと思われますが、通過したからといって速くなるわけではありません。

 一般車両を除いて、乗車には事前の予約が必要です。座席定員制となり、当日は空いているところに座ります。予約はインターネットで24時間受け付け、電子チケットで乗車可能です。なお、乗車当日でも空席があれば申し込むことができます。駅窓口や車内でも対応できます。値段は乗車する区間にかかわらず、大人3500円、子供1750円です。旅行商品扱いです。

 地元(川根本町全域、静岡市井川地区)の人に対しては、発行日から2年間、1000円で観光列車を含めて井川線全線が乗り放題のパスを発売します。7月1日から千頭で発売します。
(参考:大井川鐵道ホームページ https://daitetsu.jp/archives/312728)

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大井川鐵道、井川線の6月1日大幅値上げは行わず

 大井川鐵道の大井川本線は川根温泉笹間渡-千頭間が2022年9月の台風被害により運休したままとなっています。しかし、千頭から先の井川線は特に大きな被害はなく、平常運転を行っています。

 ただ、時刻表を見てもわかるとおり、昼間のみの運転(9~17時台)で、日常的な利用は望めません。15年間も定期券の利用者がいないという路線です。終点井川のひとつ手前の閑蔵までなら道路があり、鉄道なら1時間半かかるところを3月で廃止になったバスはたったの30分で結んでいました。車ならさらに速いはずなので、地元の人が使わないのももっともです。

 そこで大井川鐵道は6月1日から、一部の列車を除いて観光列車化することにしました。運賃ではなく、パッケージツアーのような商品として販売し、乗車区間にかかわらず一律3500円(子供は半額)とします。3500円という値段は国内外の観光列車の値段を参考に決めたようです。現在、千頭-井川間が1340円しますので、2.6倍ということになります。これに対して沿線の川根本町の議員が観光客が減るとして反発しています。なお、大井川鐵道も地元の利用については配慮しています。沿線にある温泉の利用客のことを考え、下り最終列車(千頭14:35発接岨峡温泉行き)と上り始発列車(接岨峡温泉10:45発千頭行き)には運賃だけで乗ることができる車両を設けます。また、川根本町と井川地区の希望者には、1000円出せば2年間乗ることができるパスを発行します。

 井川線は終点まで行ってもほかの交通機関がなく(かつては静岡へのバスがありました。そのときの旅行記はこちら)、来た道を戻らないといけません。往復で5時間、7000円もかかるのでは、コスパが悪いです。アプト式の井川線に乗ってきたという体験が欲しいのなら、もっと短くて安いコースを用意しなければならないでしょう。事実、車で泊まりに来て短距離だけ井川線に乗る客はいます。往復7000円もするとさすがにそういう客は乗らないでしょう。もっとも、大井川鐵道としては短距離だとあまり儲からないので乗らなくても結構なのかもしれませんが。また、地元の店と組んで、乗車代金の一部を商品券や食事券で還元しても良いでしょう。

 地元の反発もあり、大井川鐵道は6月1日の観光列車化を見送りました。とは言っても利用者が少ないのは構造的であり、経営が厳しいのも事実です。本来なら運賃の値上げで対処すべきかもしれませんが、運賃の値上げは許認可が絡むため簡単にはいかず、それがためにいびつなものになっているというのは皆さんも御存じの通りです。特別料金で帳尻を合わせざるを得ないのです。
(参考:FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/1041823、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260507-GYT1T00328/、朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASV583TJCV58UTPB006M.html)

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富山地鉄、あいの風とやま鉄道との並行区間を廃止するより残したほうが安上がり?

 富山地鉄の滑川-新魚津間も、存廃が議論されている区間のひとつ。並行してあいの風とやま鉄道があるため、それで代替できるとしています。もし、この区間を廃止したら富山地鉄の収支は改善するのでしょうか?

 3つのパターンを考え、2035年度までの10年間にかかる必要経費の試算を行いました。3つのパターンとは、(1)そのまま存続 (2)営業はしないが、線路は回送用にそのまま残す (3)廃止して線路も撤去する です。まず、2035年度の本線(電鉄富山-宇奈月温泉間)の営業赤字は、(1)が8.8億円、(2)が8.4億円、(3)が7.4億円です。2024年度の営業赤字は5.5億円ですから、どのパターンでも収支が悪化しています。人口の減少が影響しているようです。

 新たな投資も必要になります。(1)の場合は、線路や車両の維持管理に80.6億円、レールや枕木の更新などに27.5億円、定期券の値下げや交通系ICカードの導入に27.8億円、合計135.9億円かかるとしています。(2)の場合、維持管理費は若干減るものの、滑川や新魚津であいの風とやま鉄道との乗り換えのための跨線橋の設置に26億円、滑川-新魚津間の代替バスの費用に5.3億円かかり、合計159.3億円になります。(3)の場合、西側にある車両基地が使えないため、新たに新魚津以東に車両基地が必要になり、最大29.5億円かかります。合計180.2億円です。またこれとは別に、並行区間の軌道や駅などの撤去に約15億円かかります。(1)から(3)までの3つのパターンから外れますが、もしあいの風とやま鉄道に乗り入れる場合、新魚津の改良や車両の購入に204.2億円かかります。

 このことから考えると、あいの風とやま鉄道との並行区間を廃止してもそれほど赤字は減らず、むしろ残したほうが安上がりとも言えます。滑川-新魚津間の存廃は新魚津-宇奈月温泉間も廃止して観光客輸送を含めて新幹線とバスに転換すると割り切れるかどうかにかかっているのでしょう。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/d6e0882a6e48d78a8c9ce626a63ae473e8ba06fd、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/toyama/news/20260324-GYTNT00280/)

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