「スルッとKANSAI」から「スルッとQRtto」へ

 「スルッとKANSAI」は便利なカードでした。これまで切符は基本的に会社ごとに別々に買いなおす必要がありましたが、「スルッとKANSAI」は関西の私鉄なら会社に関係なく1枚のカードで乗り降りすることのできる、画期的なシステムでした。カードそのものは廃止されましたが、1枚のカードで他社にも乗ることができるという思想は様々な交通系ICカードに引き継がれているといえます。

 そして2024年、「スルッとKANSAI」は新しいステージに進みます。6月(予定)にQRコードを活用した乗車券、「スルッとQRtto」を導入するのです。QRコードを使った切符は各社で取り組みがなされていますが、それが拡大されるのです。6月の時点で「スルッとQRtto」を導入するのはOsaka Metro、大阪シティバス、近鉄、京阪、南海、阪急、阪神の7社で、今後ほかの会社にも増えていく予定です。

 「QRttoKANSAI」で発売するのは、現在磁気カード等で発売している企画乗車券の類。処理スピードの速い交通系ICカードはそのまま残り、磁気の切符で残っている企画乗車券をQRコード化するのでしょう。最終的には自動券売機で売っている紙の乗車券もQRコード化することによって、駅の自動改札機は簡素化されます。ICカードとQRコードの読み取り機だけあればよく、高速で磁気の切符を前に送る機構がいらなくなります。

 ともかく、企画乗車券の類がQRコード化されるので、スマホがないと利用できないことになります。私個人としては、スマホの買い替えが必要になってきます。
(参考:スルッとKANSAI協議会ホームページ https://www.surutto.com/newsrelease/release/s231214.pdf)

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阪急、阪神もクレジットカードのタッチ決済

 先ほどの記事で近鉄のタッチ決済について書きましたが、阪急や阪神でも2024年中にクレジットカード等のタッチ決済を始めます。

 阪急は全駅(神戸高速鉄道の花隈を含み、天神橋筋六丁目を除きます)に少なくても1台のタッチ決済に対応した改札機を設置します。対応するクレジットカードは、Visa、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯です。Master Cardについては、後ほど対応する予定です。

 阪神は西代を除く全駅で対応します。2024年の時点では、自動改札機ではなく、駅長室や各駅係員窓口に専用リーダーを設置して対応します。2025年春ごろからは、全駅の一部改札機でも対応できるようになる予定です。対応するクレジットカードは、阪急と同じです。

 また、六甲ケーブルや六甲山上バスでも、2024年春からクレジットカード等のタッチ決済を行います。
(参考:阪急阪神ホールディングスホームページ https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/1bafddc4d3c6c76443ce80dcc72f0d9a06e3e0a9.pdf、阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20231102-keikaku-tattikessai.pdf)

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阪神、オリックス優勝パレードでノンストップ列車

 今日、11月23日は神戸と大阪で「兵庫・大阪連携 阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」を開催します。このうち、阪神タイガースのパレードは11時から三宮で、14時からは御堂筋で行います。

 そして、阪神タイガースの親会社、阪神電鉄は両会場を結ぶ臨時特急を走らせます。11月23日、元町発大阪梅田行きの1本だけで、ダイヤは元町12:24発、神戸三宮12:27発、そして大阪梅田13:00着です。西宮、甲子園などその他の駅には停まらない、ノンストップ運転です。

 車両は、11月7日から運行を始めている、1000系の「日本一特別ラッピングトレイン」を使う予定です。監督や選手のラッピングを施した車両です。
(参考:阪神ホームページ https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/86d11828d7f0b456e499246d4e2170503c9e9343.pdf、https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/a7b1cc268b6076adee21aa785086a8893f61ac80.pdf、マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/20231122-2824258/)

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阪急阪神ホールディングス、2024年度までに全駅にQRコード改札設置

 南海など、関西の私鉄でQRコードに対応しているところが増えています。近鉄もQRコードを活用した切符を発売していますし、先日、京阪もQRコードに対応した自動改札機を全駅に設置することを明らかにしました。

 残る大手私鉄は阪急と阪神。この2社を持つ阪急阪神ホールディングスは、2024年度までに全駅にQRコードに対応した自動改札機を導入します。沿線観光地の入場券や交通手段のチケットをスマホで一括して購入し、そのスマホで改札を通ることができるのです。処理スピードの問題から大都市圏では今後も通常の切符や定期券はICカードが使われるでしょうが、そこまで利用者が多くない地方の路線、観光地の入場券とセットになったもの、外国人用など、それ以外のところではQRコードを使った切符も徐々に出てくることでしょう。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF135SO0T11C22A2000000/)

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2023年の初旅は「楽」の団体列車

 大晦日から元旦にかけての終夜運転を取りやめる鉄道会社も多いですが(京阪は3年ぶりに復活しますが、Osaka Metroは利用者がコロナ前の3割ぐらいしかなかったことを理由に、終夜運転を取りやめます。JR西日本と南海は一部区間のみ3時ごろまで臨時列車を走らせます。阪急と阪神は終夜運転や臨時列車の運行はありません)、近鉄は昨年に引き続き終夜運転を実施します。

 通常、名阪間のみを走っている「ひのとり」は、大阪難波(一部大阪上本町)-五十鈴川間と近鉄名古屋-五十鈴川間にそれぞれ3往復、「ひのとり」が走ります。「ひのとり」で伊勢神宮に初詣に行くことができるのです。このほか、1月1~3日と1月7~9日の6日間、近鉄名古屋-宇治山田(帰りは鳥羽)間に「ひのとり」を毎日1往復走らせます。

 そして、昨年は年末に急遽追加され、運賃だけで乗ることができた臨時快速急行「楽」については、団体列車扱いとして運転されます。1月1日の0~3時台に大阪難波-近鉄奈良間に2往復(4本)、途中停車駅なしで走り、片道だけ乗車して到着後に解散するパターンです。定員は4コースとも各70人で、代金は片道運賃、「楽」片道料金、記念品などが含まれていて大人1500円、子供1020円です。近鉄のホームページで11月28日から受け付けを行っていましたが、記事にするのが遅かったので、すでに4コースとも満席になっています。
(参考:近鉄ホームページ https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/rakuhatumoudepuresu.pdf、https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/nenmatunensiyusou.pdf、https://blog2.kintetsu.co.jp/ekichou/2022/11/post-37c1.html、毎日jp https://mainichi.jp/articles/20221223/k00/00m/040/148000c)

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阪神、年末年始に有料列車

 東武や近鉄のような特急料金を取ることのできる車両がない鉄道会社でも、朝夕の時間帯に有料の列車を走らせるところがあります。関西では、京阪が朝夕に「ライナー」を走らせていますし、阪急も2024年に座席指定サービスを導入します。

 そして、この年末年始限定ですが、阪神も有料列車を走らせることにしました。有料列車が走るのは、12月23日、2023年1月6日、13日、20日の4日間です。いずれも金曜日です。4日間とも大阪梅田発青木行きの有料列車を2本走らせます。

 有料列車の名前は「らくやんライナー」と言います。早いほうの大阪梅田20:19発は「らくやんライナー1号」、遅いほうの大阪梅田21:43発は「らくやんライナー3号」と言います。大阪梅田と野田が乗車専用駅で、尼崎、武庫川、甲子園、西宮、香櫨園、打出、芦屋、青木が降車専用駅です。降車専用駅から乗車することはできません。

 「らくやんライナー」は定員180席の定員制です。座席指定ではなく、係員が各車両に30人程度乗るように案内します(座席の数より明らかに少ないので、余裕を持って座ることができます)。大阪梅田からの席は150席で、1~5号車に乗ります。野田からは30席で、一番前の6号車に乗ります。「らくやんライナー」に乗るには、乗車券や定期券のほか、200円の乗車整理券が必要です。年末年始限定なので前売りはなく、発車の直前に係員から現金で買います。大阪梅田では1番ホームで発車の10分前から受付を開始します。係員が3人いますので、その係員から乗車整理券を買います。野田では3番ホームから発車します。車内で乗車整理券を買います。また、今回は本格実施に向けてのアンケートも行います。

 ところで、「らくやんライナー」にはどの車両が使われるのでしょうか? 阪神はクロスシートのある車両を優先的に使うとのことですが(ただ、阪神は6両全てがクロスシートの車両がありませんので、ロングシートにお金を払って座ることもあります)、場合によっては6両ともロングシートの車両を使うこともあるようです。

(追記1)
 この試行の結果を受けてでしょうか、阪神は2023年の早い時期に有料列車を導入するか判断するようです。なお、実際に車両を改装して導入する場合、1~2年かかるようです。

(追記2)
 「らくやんライナー」の終着駅が青木になったのは、神戸三宮まで走らせると、既存の定期列車のダイヤに大きな影響を与えるためです。
(参考:阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20221201-unyu-rakuyanraina.pdf、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/123094、日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0234G0S3A200C2000000/、「鉄道ジャーナル」2023年2月号 鉄道ジャーナル社)

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阪神、平日昼間の快速急行を30分間隔に

 阪神も12月17日にダイヤ改正を行います。

 近鉄のところでも触れましたが、平日夕方以降、神戸三宮-奈良間の快速急行を8両編成で運行します。尼崎での連結や解放がないため、大阪難波-神戸三宮間の所要時間が平均3~4分短縮されます。このため快速急行の停車駅も変わり、平日の昼間以降及び休日の全時間帯において、武庫川と今津に停車します。芦屋の快速急行停車は平日朝のみです(今は快速急行の停車駅は平日朝夕、平日日中、休日の3パターンに分かれますが、ダイヤ改正後は平日朝とそれ以外の2パターンになります)。8両編成だと芦屋には停められないのです。また、平日朝大阪梅田7時台の甲子園行き急行2本を区間急行に変更します。福島、千船、鳴尾・武庫川女子大前の停車本数が増えます。

 大きく変わるのは、平日昼間の快速急行。これまで1時間に3本走っていましたが、2本に減ります(休日は変わりません)。概ね30分間隔で走るとのことですが、近鉄で快速急行の減少について発表されていないので、20分間隔のままでしょう。20分間隔と40分間隔が繰り返されるという、いびつな間隔になるのでしょうか? 30分間隔ならともかく、20分間隔と40分間隔の繰り返しでは、使いづらいです。阪神は大阪南部から使いやすいという長所がありますが、この本数減少は痛いです。なお、大阪梅田-尼崎間の急行が1時間に1本、西宮まで延長されるので、大阪梅田-西宮間の運転本数は変わりありません。

 阪神もほかの鉄道と同じように、最終の繰り上げが行われます。大阪梅田基準でいくつか例を挙げると、山陽姫路までは23:00発の直通特急から22:36発の直通特急に24分繰り上がります。神戸三宮までは0:00発の特急から23:45発の特急に15分繰り上がります。大阪難波から尼崎への最終も、0:15発から23:55発に20分繰り上がります。

(追記)
 今回のダイヤ改正で、近鉄奈良線の平日昼間のダイヤが大きく変わっています。阪神に直通する快速急行が毎時2本、近鉄線のみの快速急行が毎時2本、近鉄線のみの急行が毎時2本のダイヤになっているのです。
(参考:阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20221012-unyu-daiyakaisei-2.pdf、生駒駅の時刻表)

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Osaka Metro、阪急、阪神、京阪等、バリアフリーのため10円値上げ

 JR東日本など首都圏では、バリアフリー整備のために10円だけ値上げする動きが出ていますが、関西ではそのような動きはありませんでした(なお、JR西日本近鉄は2023年4月に値上げを行います)。ところが、Osaka Meiro、阪急、阪神、京阪などの関西私鉄が相次いで、バリアアリーのために値上げすることを発表しました。

 Osaka Metro、阪急、阪神、京阪、神戸電鉄、山陽電鉄ともに、値上げは2023年4月1日に行います(一応、バリアフリー料金収受期間が定められていますが、期間終了後も継続予定です)。神戸高速と京阪の大津線、鋼索線は値上げの対象外です。いずれも値上げ幅は10円で、通勤定期券は1か月の場合、380円上がります(京阪は370円、山陽電鉄は360円)。子供の運賃はバリアフリー料金として10円を加算した後の大人運賃の半額(10円未満の端数は切り上げ)となります。ただし、通学定期券については、大人も子供も加算はありません。

 余談ですが、Osaka Metroは1933年の御堂筋線梅田-心斎橋間開業時から、エスカレータがあったそうです。
(参考:Osaka Metroホームページ https://subway.osakametro.co.jp/news/news_release/20220810_osakametro_barrierfree_fare.php?_ga=2.80038992.658995649.1660358521-1474479560.1651232397&_gl=1*14w8h9a*_ga*MTQ3NDQ3OTU2MC4xNjUxMjMyMzk3*_ga_LT5TV95QB9*MTY2MDM1ODUyMS45LjAuMTY2MDM1ODUyMS42MA..、阪急ホームページ https://www.hankyu.co.jp/files/upload/topics/220803/2022-08-03_bl.pdf、阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20220803-keikakubu-barifuri-2.pdf、京阪ホームページ https://www.keihan.co.jp/corporate/release/upload/220805_keihan-barrierfree.pdf、神戸電鉄ホームページ https://www.shintetsu.co.jp/release/2022/220804.pdf、山陽電鉄ホームページ https://www.sanyo-railway.co.jp/media/1660107710.pdf)

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阪急、阪神も「ICOCA」でポイント還元サービス

 「PiTaPa」が導入されている関西の私鉄でも、クレジットカードがないといけないという「PiTaPa」の敷居の高さからか、「ICOCA」も発売しています。「ICOCA」なら、クレジットカードがなくても駅で簡単に買うことができるからです。

 JR西日本への対抗意識からか、なかなか「ICOCA」導入に踏み切らなかった阪急及びそのグループの阪神ですが、回数券廃止の代替商品として、「ICOCA」によるポイント還元サービスを行うことになりました。ポイント還元サービスの開始時期は、神戸高速線を除く阪急が2023年4月1日から、阪神と神戸高速線が9月1日からです。先ほども書きましたが、これに伴い、回数券(一部を除きます)の発売を終了します。阪急は2023年4月30日、阪神は9月30日です。

 ただ、以前にも書きましたが、回数券の代替となるポイント還元サービスの付与率は低いのです。1か月の間に11回以上使わないとポイントは付かず、しかも11回目以降付くポイントも利用額の10%しかありません(阪急は31回以上だと15%のポイントがもらえます)。明らかに回数券より悪く、昼間や休日だからと言って付与率が上がるわけでもありません。

(追記)
 同様のポイント還元サービスは山陽や能勢電鉄でも始まります。
(参考:阪急ホームページ https://www.hankyu.co.jp/files/upload/pdf/2022-08-08_i2.pdf、阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20220808-keikaku-pointo.pdf、https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20220310-tosikoutu-kaisuukenhaisi.pdf)

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阪神、7月に磁気定期券の発売を終了

 阪神は3月と7月の2段階に分け、障害者用など特殊なものを除いて、磁気定期券の発売を終了します。IC定期券に一本化されます。

 まず3月14日に、10駅にある自動定期券販売機において磁気定期券の発売を終了します。その後、7月31日に、6駅にある係員定期券発売所において磁気定期券の発売を終了します。8月以降も障害者用など特殊なものは、係員定期券発売所で発売します。一部例外を除いて磁気定期券を廃止するのは、京阪に続いてのことで、ほかの関西の鉄道会社でもIC定期券への移行を勧めています。

 なぜ磁気定期券を廃止するのでしょうか? 磁気の切符には大きな弱点があります。インターネットで購入することができないのです。有料の特急がない阪神では必要ないかもしれませんが、特急券などはインターネットで発売すると、磁気の切符では対応できません。印刷した紙やスマートフォンの画面で対応するか、駅で磁気の切符に替える必要があります。駅の窓口で替えるのなら、切符売り場の人員を減らすことはできません。「みどりの窓口」みたいなものも残す必要があります。自動改札もネックです。磁気の切符に対応するには、複雑な機構が要求されます。保守にもお金がかかり、券詰まり等のトラブルもあります。ICカード専用ならその心配は要りません。

 QRコードは今のところ処理時間が若干かかるので、近距離の切符には不向きです。阪神も、当分の間は普通乗車券等は磁気の切符です。ただ、近鉄はこの春からQRコードでの切符を発売しますし、長距離のものから順々に磁気ではない切符が普及していくのかもしれません。
(参考:阪神ホームページ https://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20220131-unyu-jikiteikikennhaisi-2.pdf、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/115061)

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