近江鉄道、全線存続へ

 先日記事にした、近江鉄道の存廃についてです。

 近江鉄道に関する法定協議会(滋賀県や沿線10市町などで構成)は、鉄道全線の存続を決めました。なぜなのでしょうか?

 鉄道を存続させる理由は、鉄道を残したほうが、バスやBRTに転換するよりも自治体の負担額が減るからです。現状のまま鉄道を負担させた場合、国や県、自治体の年間負担額は6.7億円です。これに対して、鉄道を廃止してバスなどに切り替えた場合、年間負担額は最低でも19.1億円に増えます。12億円以上の負担増になるのです。さらに、鉄道を廃止してほかの交通機関にしたときは、初期投資にもお金がかかります。全線廃止してバスにした場合、初期投資額は約30億円です(その代わり、年間の運行経費は鉄道の77%に減ります)。BRTは専用道をつくる費用がかかるため、初期投資額は約120億円になります。LRTは駅の改造費用や車両の更新費用などで初期投資額は112億円以上になります。またバスだと遅くなり、渋滞の危険性もありますので、鉄道時代より利用者が減ります。その減少率、逸走率はバスで40%、BRTで20%と言われています。運転士の問題もあります。ローカル鉄道は、通学輸送が主体のところが多いです。近江鉄道は通勤客も結構いますが(通勤定期利用者、通学定期利用者、定期外利用者がそれぞれ1:1:1の割合です)、朝晩のラッシュ時に大量のバスがいることには変わりません。運転士もその時間帯に必要になります。しかも、バスは1台で足りるわけではありません。最混雑の時間帯には何台ものバスが必要になり(近江鉄道では、ごく一部の区間を除いて最混雑列車の乗客は100人以上います。八日市-近江八幡間は253人もいます)、運転士も何人も必要になります。1人で一気に多くの客を運ぶことができる鉄道とは違います。

 沿線住民に対して行ったアンケートでも存続を求める声が強く、鉄道は存続することになりました。これからの課題は、赤字をどうやって負担するかです。親会社の西武はすでに人的支援のほか、車両、レール、枕木などを格安で提供しています。永続的に存続させるなら、地元自治体の財政支援は欠かせないでしょう。
(参考:朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASN3V7GPCN3VPTJB005.html、マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/railwaynews-219/、産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/life/news/200325/lif2003250099-n1.html)

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東近江市、近江鉄道存続のため一日乗車券を500円で販売

 存廃が問題となっている、近江鉄道。特に近江鉄道がメインの鉄道である東近江市にとっては、存廃は重要な課題です。そこで東近江市は近江鉄道と連携して、この秋の1か月間、観光シーズンに合わせて500円で乗り放題となる切符を発売します。

 切符は2種類あります。月曜日から木曜日までは、八日市-近江八幡間が終日乗り降り可能な切符。金曜日から日曜日と祝日は、全線が乗り放題となる切符です。有人駅で販売し、値段は2種類とも500円。誰でも購入することができます。八日市-近江八幡間の運賃は片道460円、金曜日から日曜日と祝日に全線で使うことができる一日乗車券「1デイスマイルチケット」は900円なので、元を取るのは簡単です。

 東近江市はこの切符を売り出すことによって、沿線住民や観光客の利用促進を狙っています。値下げをすることによって、鉄道を使うきっかけにしてもらいたいとしています。2018年度秋期のデータですが、八日市-近江八幡間の利用者数は月曜日から木曜日までが1か月当たり約1.6万人、「1デイスマイルチケット」の利用者は全線で1か月当たり約2万人でした。500円のお得な切符を売り出すことによって、どちらも3割の増加を目指しています。現行の運賃との差額を近江鉄道に補填するため、東近江市の2020年度当初予算案に関連費用2000万円を盛り込んでいます。

 さて、その近江鉄道ですが、今後の方針が決まりました。近日中に記事にする予定です。
(参考:京都新聞ホームページ https://this.kiji.is/607203757741720673?c=39546741839462401)

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神戸市営地下鉄と阪急の相互乗り入れ、見送りへ

 神戸市営地下鉄と阪急を相互直通させる構想は以前からあり、阪急の要請で神戸市側が応じるというかたちで2018年度から検討を始めました。ところがこの度、この相互乗り入れ構想について見送ることにしました。現時点では投資に見合う効果が見込めないからです。

 想定される接続箇所は三宮地区、新神戸駅周辺、新長田駅地区の3か所。接続方法や運賃、需要予測などを調査してきました。必要な事業費は2000億円程度と想定していたのですが、すでに神戸市内は東西の交通が便利で、神戸市営地下鉄と阪急が相互直通しても得られる効果は小さく、事業費を回収することは難しいと判断したのです。ちなみに最も利便性が高まる三宮での接続の場合、事業費は2000~3000億円かかるようです。

 もっとも、この構想が完全に消えてしまうわけではありません。社会情勢の変化によって再浮上する余地はありますが、今後神戸の西のほうが爆発的に人口が増えると考えにくいので、実現の可能性は低いでしょう。もっとも神戸市は、人口減少への対策として、地下鉄沿線などで駅前の再整備を行い、周辺で大規模な住宅団地を建設します。西神中央駅周辺などで2024年までに1850戸、約5000人分の民間マンション整備を目指します。
(参考:ひょうご経済プラスホームページ https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202003/0013170138.shtml、日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56497780W0A300C2LKA000/)

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堺市による阪堺支援は9月まで

 阪堺は一時、深刻な経営状態に陥っていました。南海本線など大阪市内に向かう鉄道は何本かあるので、路面電車で遅い阪堺は競争に勝てる要素がなかったのです。抜本的な解決策になると思われた東西鉄軌道が選挙で否定され、もうどうしようもない状態になってしまいました。ただ、その東西鉄軌道を潰した市長(当時)も、阪堺そのものの廃止はしたくはなかったようで、総額50億円の支援策を行うこととなりました。早いものでそれから10年が経とうとしています。この9月が、阪堺への支援の終了の時期です。そして堺市は、9月で支援を終了させることとなりました。

 まずは支援の内容をおさらいしておきましょう。支援は2つあり、運賃に関することと施設に関することがあります。運賃の支援は、総額20億円。大阪市と堺市を乗り通した場合の運賃は290円なのですが、それを210円に下げます。施設の支援は、総額30億円です。した線路の補修を進め、国と堺市の補助で、LRVを3編成導入しました。収支は今でも赤字ですが、乗客は増えています。

 9月が過ぎて、阪堺への支援がなくなったら、どうなるのでしょうか? 堺市によれば、65歳以上の人が1回100円で乗ることのできる「おでかけ応援制度」は続けます。施設の補修やLRVの導入については、堺市の負担は減らしますが、続けていく方針です。これに対して、大阪市と堺市を乗り通すときの運賃の割引については、補助をやめます。290円に戻るリスクがあるのです。堺市が支援をやめた場合、「おでかけ応援制度」は続けることから、毎年の赤字額は1億円程度になります。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASN2X722YN2NPPTB00B.html?pn=5)

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神戸市交通局の利用促進策は失敗?

 北神急行は6月に神戸市営地下鉄となって、値下げされます。

 しかし、単に値下げしただけでは、意味がありません。利用者を増やさないといけないのです。そこで神戸市交通局が目を付けたのは、ほぼ北神急行に並行して走る、市バス64系統の減便。三宮と神戸市北区の住宅地、神戸北町とを直結する路線で、所要時間は約30分、運賃は500円です。1日約9000人が利用しています。代わりに谷上と神戸北町を結ぶ市バス62系統を新設し、谷上で地下鉄に乗り継ぐことができるようにします。地下鉄と市バス62系統を乗り継いでも、所要時間も運賃も市バス64系統と同等で、定期券には乗り継ぎ割引などを設けます。この施策により、マイカーを含めて1日約2000人が地下鉄に移行すると考えられていました。

 これに地元住民が反対しています。谷上駅前が慢性的に混雑していて時間が読めず、乗り継ぎの手間がかかるというのです。結局神戸市交通局は62系統の運行本数を大幅に減らし、64系統をほぼ維持することにしました。減るのは昼間の数便だけで、ラッシュ時は現状維持です。この変更によって、地下鉄に移行すると見込まれる人数は、2000人から800人に大幅に減ることになりました(もっとも、2000人とか800人とかいった人数は、調査に基づいたものではないので、根拠は薄いとされています)。もしこのまま40年推移するならば、約20億円の減収になるとされています。

 谷上駅前の道路事情は改善しなければいけないことかもしれませんが、長距離のバスを鉄道に置き換え、バスは駅からのフィーダー輸送に専念させることを避けることはできません。運転士不足で減便するバス会社が見られる中、よく並行路線のバス路線を維持できるものです。特に朝夕のラッシュ時こそ、直通の64系統を減らして谷上への62系統を増やさないといけないでしょう。
(参考:神戸新聞NEXT https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202002/0013132580.shtml)

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ポートライナーや六甲ライナーでも「ICOCA」を使った割引

 ポートライナーや六甲ライナーを走らせている神戸新交通は4月1日から、「ICOCA」を使ったチャージ還元サービスを行います。

 どうやって受けるのでしょうか? ポートライナーや六甲ライナーの各駅券売機で「ICOCA」を登録します。そこ「ICOCA」での1か月間(1日~末日)の利用額に応じて、その一部が還元されるのです。登録は月末までに行えば、月始に遡って適用されます。

 サービスの種類は2種類あります。ひとつは、1か月間の利用金額が2000円(子供は1000円)を超えた場合に、普通回数券相当の約13%の還元を行うものです。もうひとつは平日の10~16時に入場、もしくは休日や年末年始に利用した人で、1か月間の利用金額が1400円(子供は700円)を超えた場合に、時差回数券以上の利用額の約24%の還元を行うものです。還元は利用月の翌月15日以降にポートライナーや六甲ライナーの各駅券売機で行います。還元開始日から起算して2か月目の末日までできます。

 この「ICOCA」を使ったチャージ還元サービスの実施に伴い、同じ4月1日から「PiTaPa」利用額割引も変わります。これまで1か月間の利用金額が1000円(子供は500円)を超えたら割引になったのですが、「ICOCA」の場合と同じく、月2000円(子供は1000円)を超えないと割引されないようになります。また、3月31日で回数券カードの発売を終了します(4月1日以降も有効期限までは使えます)。きっぷタイプの11枚綴りの普通回数券は引き続き販売されます。
(参考:神戸新交通ホームページ https://www.knt-liner.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/e5e539c60dffa03f7e68dca0f2928677.pdf、www.knt-liner.co.jp/ticket/charge/)

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日本一長い駅名は嵐電に

 3月20日、嵐電に日本一長い駅名が誕生します。

 北野線の等持院を改称してできるその駅名は、等持院・立命館大学衣笠キャンパス前。読みで26字、文字数で17字と、読み、文字両方で日本で一番長い駅名になります。立命館大学に近く、嵐電が立命館大学への通学に利用されていること、嵐電と立命館大学が連携協定を締結することから駅名の変更を決めたのです。これまで最も長い駅名は富山地鉄の富山トヨペット本社前(五福末広町)。読みで24字、文字数で17字です。ディズニーリゾートラインのリゾートゲートウェイ・ステーション、東京ディズニーランド・ステーションも17字です。

 ただ、ほかの長い駅名にも言えることですが、話題づくりになるとは言え、無駄に長いところもあります。等持院・立命館大学衣笠キャンパス前も、等持院・立命館大学前ぐらいで良いかもしれません。
(参考:Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200313-00000604-san-life)

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嵯峨野観光鉄道、「みどりの窓口」での販売を縮小

 山陰線の旧線を活用して走る、嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車。保津川に沿って走ります。

 そのトロッコ列車ですが、前売もやっています。全国の旅行会社のほか、JR西日本の「みどりの窓口」でも売っていますが、3月1日乗車分(発売は2月1日から)からは京阪神エリアでしか販売しません。2月1日以降も販売する駅は、京都、亀岡、二条、嵯峨嵐山、稲荷、新大阪、大阪、鶴橋、京橋、新今宮、JR難波、天王寺、奈良、関西空港、三ノ宮だけです。「みどりの券売機プラス」もこれら15駅だけです。

 駅での発売を縮小しても、JR西日本のインターネット予約、「e5489」では購入できます。受け取りは、JR西日本の「みどりの窓口」のある駅なら乗車当日まで可能です。「みどりの券売機」、「みどりの受取機」でもできます。
(参考:嵯峨野観光鉄道ホームページ https://www.sagano-kanko.co.jp/news.php?id=279)

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山陽電鉄はS特急を増発

 3月14日には、山陽電鉄のダイヤ改正も行われます。

 こちらは、平日朝夕の増発が主体。平日の朝ラッシュ時間帯に、下りS特急を3本新設します。東須磨発高砂行きで、東須磨から霞ヶ丘までは普通として走り、霞ヶ丘からはS特急となります。平日朝ラッシュ時の上りは、高砂発東二見行きの普通を2本増発します。平日夕方のラッシュ時は、高砂発阪神神戸三宮行きのS特急を1本新設します。夕方のラッシュ時と夜間に、網干線で2本増発します。山陽網干17:51発飾磨行きは平日のみの増発ですが、飾磨23:02発山陽網干行きは平日も休日も増発されます(休日は飾磨22:48発)。これも平日、休日に共通することですが、夜間の下りS特急のうち3本(高速神戸22~23時台)が東須磨に新たに停車します。
(参考:山陽電鉄ホームページ www.sanyo-railway.co.jp/media/1579582928.pdf)

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神戸電鉄3月14日ダイヤ改正で、志染-三木間増発

 近鉄阪神がダイヤ改正を行う3月14日、神戸電鉄もダイヤ改正を行います。3年ぶりのダイヤ改正です。今回のダイヤ改正で有馬・三田線の花山に急行が停まるなどの改正事項がありますが、やはりメインは利用者の減少が続く粟生線。増便もあれば減便もあります。

 三木市からの要望を受け、増便が行われます。10~13時台の下り新開地発普通志染行きを毎時1本ずつ三木行きに、12~15時台の上り志染発準急新開地行きを毎時1本ずつ三木発に区間変更することにより、志染-三木間で上下各4本を増便します。2022年春までの2年間、社会実験として行います。この三木市からの要望のほか、朝9時台の新開地発普通志染行きを小野行きに、11時台の志染発準急新開地行きを小野発に区間変更しますので、下り志染発9:35~14:36、上り三木発10:27~15:28の列車の運行間隔が60分間隔から30分間隔になります。

 増便はここまでで、ここからは輸送効率の向上という名目での減便等です。平日朝ラッシュの上り快速3本について、普通1本と急行2本に種別を変更します。平日夕方ラッシュの下り快速3本は普通になります。15分間隔で走ることになります。ここからは平日、休日ともに共通する改正内容です。粟生線5時台の志染-小野間の運行間隔を概ね20~30分間隔にします。朝ラッシュ後の西鈴蘭台-志染間について(下り西鈴蘭台発9:12~10:12、上り志染発9:35~10:35)、15分間隔から30分間隔にします。10~14時台に新開地-西鈴蘭台間の列車がありますが、これを鈴蘭台-西鈴蘭台間に変更します。これにより、新開地-鈴蘭台間の1時間当たりの運行本数が8本から6本に減り、概ね4~15分の運行間隔となります。

 また話を粟生線に戻します。夕ラッシュ前の志染-小野間について(下り志染発15:06~16:35、上り小野発15:45~17:15)、15分間隔から30分間隔にします。下り志染発20:56以降と上り小野発20:50以降も概ね30分間隔にします。夜の鈴蘭台(下りは西鈴蘭台)-志染間について(下り西鈴蘭台発22:35以降、上り志染発21:42以降)、概ね20~30分間隔にします。また、終日、粟生で加古川線や北条鉄道に接続しない列車は、全て運行を取りやめます。
(参考:神戸電鉄ホームページ https://www.shintetsu.co.jp/release/2019/200121.pdf、神戸新聞NEXT https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/202001/0013054807.shtml)

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