雨の日のみに使える回数券

 山陰は雨や雪の日が多く、よく「弁当忘れても傘忘れるな」と言われます。晴れや曇りの日だと自転車で行くことができても、雨だとそういうわけにいかず、家族に車で学校まで送ってもらうことが想定されます。

 そこで、一畑電車は、雨や雪の日ぐらいは鉄道を使ってもらおうと、5月1日から「雨の日回数券」というものを発売します。10枚分の運賃で15回利用できる回数券で、学生(中学生、高校生、専門学校生、大学生)の間であれば、有効期限なく使えることができます(購入するときに学生証の呈示が必要です)。平日も休日も関係なく、365日使うことができます。

 この「雨の日回数券」が使えるのは、雨の日、雪の日だけです。しかし、「降水量何ミリ以上」とか「降水確率何%以上」などの決まりはなく、降雨、降雪の判断は利用者サイドでできます。お得な回数券とはいえ、鉄道に乗ってくれるのはありがたいということでしょう。割合柔軟に対応するものと思われます。
(参考:一畑電車ホームページ https://railway.ichibata.co.jp/news/m_news/amenohi/)

| | | Comments (0)

「グリーンムーバー」、廃車へ

 広電の超低床車両、「グリーンムーバー」。5両編成で12編成がつくられ、広電の路面電車の看板的な存在でした。

 しかしこの「グリーンムーバー」、デビューが1999年なので、路面電車としてはそれほど古くはありません。広電では、被爆した車両がまだ走っているぐらいです。それなのに、3月に「グリーンムーバー」のうちの1編成が廃車になりました。

 なぜそんなに古くない車両が廃車になったのでしょうか? 理由は熊本と同じです。デビューした当時、国産でこのような超低床車両をつくることができなかったので、ドイツでつくられました。問題なく動いているうちはいいのですが、故障すると部品をドイツから調達しないといけません。それには手間がかかります。動かない間は車庫で寝ていることになりますが、広電には全長の長い車両がたくさんあります。そのような状況では、車庫は狭く、復旧の見込みがない車両を寝かし続けることは難しいです。そこで、故障で使われない「グリーンムーバー」を廃車にすることにしたのです。

 ただ、「グリーンムーバー」の後、続々と国産の超低床車両が出ています。広電でもたくさん活躍しています。その意味では、たとえ「グリーンムーバー」が短命に終わったとしても、きちんと役割は果たしたと言えるのではないでしょうか?
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/7c53ede9036289c72818ae684b887dac3d4d6ee3)

| | | Comments (0)

広電の新駅ビル乗り入れは8月3日

 現在、広島駅から路線電車に乗ると、いったん中心部とは逆の東の方向に向かいます。時間のロスです。

 そういうこともあって広電は、駅前大橋線をつくり、広島駅と中心部との所要時間を短縮させることにしました。また、広島駅では駅ビルの2階に乗り入れ、雨に濡れることなく路面電車に乗ることができます。JRの改札口と路面電車乗り場との移動時間は約70秒です。

 その新駅ビル乗り入れですが、開業日が決まりました。8月3日です。以前にも記事にしたように、原爆の日よりも若干早くなっています。開業するのは広島駅-比治山下間の1.1キロで、途中、稲荷町、松川町の2停留所が設けられます(全くの新規の停留所は松川町のみ)。稲荷町からは八丁堀、紙屋町方面につながり、稲荷町-比治山下間は広島港に行く5号線のみが走ります。新線の開通により、広島駅-八丁堀・紙屋町方面の所要時間は約4分、広島駅-比治山下間の所要時間は約4.5分短縮されます。

 広島駅の乗り場は2つから4つに増えるので、乗り場も系統ごとに分けられます。Aホームは5号線比治山下経由広島港行き、Bホームは2号線広電宮島口行き、奥のほうにあるCホームは6号線江波行き、Dホームは1号線紙屋町経由広島港行きです。

 今回の開業により、廃止になる停留所があります。広島駅の隣の猿猴橋町です。的場町と段原一丁目は循環ルート整備のため、2026年春ごろまでいったん休止します。2026年春完成予定の循環ルートは、広電本社前-市役所前-紙屋町東-八丁堀-稲荷町-的場町-段原一丁目-比治山下-皆実町六丁目-広電本社前というルートで走ります。広島の中心部を一周するルートです。
(参考:広島電鉄ホームページ https://www.hiroden-hiroshima-st.jp)

| | | Comments (0)

肥薩おれんじ鉄道、定期外客を11年で1.5倍に増やす計画

 肥薩おれんじ鉄道は熊本、鹿児島2県に跨がる第三セクター。九州新幹線新八代-鹿児島中央間の開業によって、JR九州から分離されました。

 ただ、この肥薩おれんじ鉄道、県境の人口の少ないところを通るため、経営状況は苦しいです。

 そこで、肥薩おれんじ鉄道の沿線自治体は、国の補助を受けようとしています。そしてそのためには、地域公共交通計画というのをつくらないといけません。3月26日に法定協議会があり、その素案が了承されました。

 ところで、今回了承された素案とはどういうものでしょうか? 地域公共交通計画は2025年度から2035年度までの11年間にわたるものですが、頼りにしているのは定期外利用者。2023年度に24.2万人だったのですが、2035年度には1.5倍近い35.9万人に増やす計画です。そのほか、全ての車両もしくは駅にキャッシュレス決済を導入し、運転士は2028年度までに6人増やします

 沿線は人口減少が進む過疎地帯。日常的な利用者が見込めないことは容易に理解できますが、そんな状況で定期外利用者を1.5倍にするには、どうすればよいのでしょうか? 肥薩おれんじ鉄道があるのは貨物輸送のためでしょうが、そもそも末端区間なので貨物をトラックで運べば解決します。赤字でも支える覚悟があるのなら沿線自治体が負担すればいいですが、そうでなければそういう極論も考えないといけません。
(参考:南日本新聞ホームページ https://nordot.app/1277939617479557151?c=648454265403114593)

| | | Comments (0)

「おれんじ食堂」運休の代替企画

 肥薩おれんじ鉄道の観光列車、「おれんじ食堂」ですが、運休しています。運転士が不足しているためで、4月1日から6月30日まで運休します。7月以降も、運転を再開するかは未定です。

 そこで、肥薩おれんじ鉄道は「おれんじ食堂」の代替企画を用意しています。出水のホームに「おれんじ食堂」を停めて、コース料理の提供を行います。「ステーションプラン」です。

 「ステーションプラン」は、4月12日から6月29日までの土日、11時ごろから13時半ごろにかけて営業します。食事はフレンチと和食を週替わりで出します。値段はフリードリンク(コーヒー、紅茶、ほうじ茶、オレンジジュース)、一日乗車券がセットで、大人9800円、子供4900円です。定員は30人、最少催行人員は12人です。食事日の10日前までに催行するかどうかの判断を行います。

 また、4月5、6日には「おれんじ食堂」の検査が終わったのを記念しての「ただいまプラン」、5月5、6日には子供向けの体験イベント、「こどもレストラン列車」を行います。「こどもレストラン列車」ではクルー体験や寿司職人体験ができます。
(参考:肥薩おれんじ鉄道ホームページ https://www.hs-orange.com/page1025.html、https://www.hs-orange.com/kankou/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=3&type=top&id=1022)

| | | Comments (0)

交通系ICカードの機器更新も補助の対象へ

 日ごろ、鉄道を利用するときに一番便利なカードは交通系ICカードでしょう。圧倒的な処理速度の速さで、東京など大都市圏の通勤通学ラッシュにも対応しています。

 しかし、交通系ICカードの難点は導入コストが高いこと。まだ新規導入のときは補助金があるのでいいのですが、問題は更新のとき。更新のときには補助金がなく、事業者自らお金を出さないといけないのです。これがネックになって、せっかく交通系ICカードを導入した事業者で交通系ICカードが使えなくなる事態が出ています。熊本市交通局や熊本の鉄道、バス会社がそれで、すでに市電を除いて交通系ICカードは使えません。

 ところが、国は方針を変え、2025年度から交通系ICカードの機器更新の場合でも補助金を出すことにしました。まだ熊本の場合、市電は交通系ICカードが使えますから、今のうちに市電だけでも交通系ICカードが使えるようにしたほうが良いでしょう。
(参考:熊本日日新聞ホームページ https://nordot.app/1270564851713213229?c=648454265403114593)

| | | Comments (0)

広電での交通系ICカードの使いかた

 広電独自の乗車券システム、「MOBIRY DAYS」。広島に住んでいる人ならともかく、そうでない人は買う人は少ないでしょう。「ICOCA」等の交通系ICカードのほうが使いやすいです。

 そのため広電も、3月29日の「PASPY」サービス終了後も、「ICOCA」等の交通系ICカードが使えるようにしています。どうやって使うのでしょうか? 「ICOCA」の支払いに必要な端末は、簡易型のものを使います。路面電車の場合、乗車時は端末へのタッチは不要で、全ての扉から乗車できます。これに対して降車時は、乗務員がいる扉に端末があるので、そこにタッチしてから降ります。幸い、路面電車は均一料金ですので、タッチすると自動的に240円が引かれます(子供用の交通系ICカードなら120円)。もっとも、乗務員のいるところから降りないといけないので、これまでのような「信用降車」はできず、乗り継ぎをしたいときは、現金のときと同じように、乗務員から「電車乗換券」をもらわないといけません。自動では対応できないのです。また、これまで適用されていた市内線再乗車サービスは使えなくなります。交通系ICカードの場合、かなりサービス水準が低下します。

 バスの場合は、乗車時、端末にタッチせず、整理券を取ります。これに対して降車時は、整理券を運転士に呈示して、乗務員が乗車停留所を確認してから、金額の設定操作を行い、その後に端末にタッチするのです。路面電車と違い、均一運賃でないからです。電車、バス、どちらにしても手続きに時間がかかり、スムーズな乗降はしにくくなります。これまでよりも遅れが発生しそうです。
(参考:広島電鉄ホームページ https://www.hiroden.co.jp/topics/2025/pdf/0305-pressrelease/0305-pressrelease.pdf)

| | | Comments (0)

平成筑豊鉄道の存廃、2025年度中に決定へ

 福岡県内の第三セクター鉄道、平成筑豊鉄道。厳しい経営が続いていて、すでに法律に基づく法定協議会を設置し、公共交通の将来のありかたの議論をしています。

 その平成筑豊鉄道ですが、2025年度中に鉄道を維持するか、バスに転換するかを決めることになりました。1年後には大きな方針が決まるわけです。
(参考:NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250123/5010026870.html)

| | | Comments (0)

琴電にデジタル切符

 琴電は、「ことでんデジタルきっぷ」を発売しています。スマホで購入し、スマホの画面がそのまま切符となるタイプのものです。

 「ことでんデジタルきっぷ」には2種類あります。利用開始から24時間有効の「24時間フリーきっぷ」と48時間有効の「48時間フリーきっぷ」です。値段はそれぞれ1400円と2700円です(子供は半額)。

 鉄道は全線乗ることができますが、バスの利用はできません。払い戻しは利用開始前に限られ(手数料の支払いは必要です)、利用開始後の払い戻しはできません。使用時間を超過した場合は、乗車区間の運賃を支払う必要があります。スマホの電池切れや故障などで券面が表示できないときも、乗車区間の運賃を支払う必要があります。
(参考:琴電ホームページ https://www.kotoden.co.jp/publichtm/kotoden/ticket/quicktrip/index.html、https://www.kotoden.co.jp//publichtm/pdf/press20250307.pdf)

| | | Comments (0)

熊本市電の延伸計画、相次ぐ運行トラブルで延期か?

 熊本市電には、健軍町からの延伸計画があります。健軍町-市民病院間の約1.6キロで、2031年度の全線開通を目指しています。

 しかし、この延伸計画、延期になるようです。その原因は、相次ぐ運行トラブル。2024年の1年間で、2件の脱線事故を含む16件のトラブルが発生しました。2025年になってからも、レールの幅が広がり、一部区間で運休していました。そこで、延伸計画そのものは変わらないものの、安全対策を優先して取り組む必要があるため、延伸の時期が遅くなるようです。

 市電の延伸はして欲しいですが、これほどまでトラブルが相次いでいるのなら、少々遅れるのはやむを得ないといったところでしょうか?
(参考:熊本日日新聞ホームページ https://kumanichi.com/articles/1669533、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250211-OYTNT50011/、毎日新聞ホームページ https://mainichi.jp/articles/20250221/k00/00m/040/173000c)

| | | Comments (0)

より以前の記事一覧