北陸新幹線、小浜まで暫定開業?

 北陸新幹線は敦賀まで延伸しましたが、今のままでは東京と北陸を結ぶだけの新幹線。新大阪まで開業して初めて本来の能力を発揮できます。

 そのためには、まだルートが確定していない敦賀-新大阪間のルートを早期に決め、一刻も早く全線を開業させないといけないのですが、なかなかそのようにはいきません。このままでは永遠に敦賀での面倒な乗り換えを要する、不便な新幹線です。

 ただ、ルートが決まらないのは京都府内だけで、福井県内のルートは決まっています。そこで杉本福井県知事は、敦賀-小浜間を先行して開業させようと考えているようです。着工を遅らせればさらに建設費用がかかるので、問題のない区間から始めようとしているのです。

 確かにこの区間をつくるにあたっての問題はなく、着工すれば完成するでしょう。しかし、枝線の敦賀-小浜間を使う人はどれぐらいいるのでしょうか? 「かがやき」や「はくたか」が忘れたころに通る、ローカル新幹線ができあがってしまいます。最終的には新大阪まで伸びるということを考えると、単線にしてコスト削減を図る、などということはできません。

 「米原ルート」のように小浜を無視する新幹線ができたら、採算度外視で小浜への見返りとなる支線はつくらないといけなくなるのでしょうが、今はまだその時期ではありません。まずは新大阪までのフル規格新幹線ルートを決めるのが先決で、それが難しい場合には、敦賀での乗り継ぎ改善のための改良を図るというのが求められていることでしょう。小浜へのローカル新幹線はそれからの話です。
(参考:日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC092NK0Z00C25A1000000/)

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北海道新幹線全線開業は2038年度か?

 2030年度に全線開業する予定だった、北海道新幹線。北海道内、そして本州と北海道との交通を劇的に変える乗り物です。函館と札幌の間は新幹線が最強の乗り物になりますし、北海道に鉄道で行くことも十分選択肢になります。

 しかし、その夢の乗り物も開業時期は遅くなります。以前の記事でもそのことは紹介しましたが、さらに遅くなります。どうあやらトンネル工事が遅れているようで、開業時期は2038年度になるようです。

 北海道の沿線の街は北海道新幹線の全線開業に向かって再開発などを行っていますが、その計画の見直しが必要となります。また、JR北海道も北海道新幹線の全線開業が遅れることによって、投資計画の見直しが求められます。北海道新幹線が開業するまではディーゼル特急車両を維持しなければなりませんが、全線開業が2038年度だと、キハ261系でさえ初期の車両は廃車の時期になってしまいます。当初予定では不要だった、ディーゼル特急の新車をつくらないといけないかもしれません。
(参考:北海道新聞ホームページ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1105941/)

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対面接続の場合の敦賀の駅構造

 北陸新幹線金沢-敦賀間が開業した今となっては、残る敦賀-新大阪間を早期に開業させ、北陸と関西をフル規格で結ぶことが求められていますが、現状ではその気配がありません。着工も先送りされました。1年経ったら着工できるという保証もなく、先の展望が見えないまま、敦賀での面倒な乗り換えが続くだけです。フル規格新幹線が開業したとしても、それは20年以上先のことです。

 仮にフル規格新幹線ができるとしても、それまでのつなぎが必要となります。今のような中間改札もある大がかりな移動は、かなり面倒です。敦賀の新幹線ホームに在来線を乗り入れさせれば、対面での乗り換えができます。新幹線開業直前には敦賀の配線を新幹線用にしないといけないため、その間は今のような大がかりな乗り換えになりますが、将来が見えているので、一時の我慢で済みます。

 新幹線ホームに在来線を乗り入れさせるなら、どういう配線になるのでしょうか? フリーゲージトレインが実用化しなかったときにJR西日本が検討した配線は次のようなものです。敦賀は2面4線の駅ですが、内側を新幹線、外側を在来線が使います。11番線が在来線到着ホーム、12番線が新幹線出発ホーム、13番線が新幹線到着ホーム、14番線が在来線出発ホームです。敦賀の新幹線ホームはかなり高いところにありますが、車両基地は地上にあるので、高低差は問題になりません。そして、在来線の福井方に引き上げ設備を設けます。

 実際のダイヤはこの通りになると思われます。まず、「しらさぎ」が到着し、客を降ろすと福井方の引き上げ設備に入ります。その後、「サンダーバード」がやってきて、同じように客を降ろします。向かいには「つるぎ」が停まっていて、2本の列車からの客を乗せると、すぐ出発です。北陸から名古屋、関西方面はこの逆です。

 もちろん、フル規格で全線開業するのが望ましいことであり、積極的に進める必要があります。しかし、フル規格新幹線が実現しない危険性もあり、またフル規格新幹線が実現したとしても、かなり先のことです。何らかのかたちでのつなぎの改善策は必要でしょう。
(参考:鉄道コム https://www.tetsudo.com/report/470/)

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北陸新幹線、京都市内のルート決まらないため着工できず

 北陸新幹線は敦賀まで開業しましたので、残る区間は敦賀-新大阪間のみです。それほど距離は長くないのですが、まだ着工もされていません。どこを通るか、まだ決まっていないからです。

 どこが決まっていないのかと言えば、京都。北陸新幹線の京都の駅をどこにつくるのかについては、東西案、南北案、桂川案の3つがあります。ここが決まれば北陸新幹線のルートが確定するのですが、それが予定の12月になっても決まらないのです。事業費や地下水の問題で話が進まないのです。ただ今回決まったのは、東西案が外れたことぐらいです。東西案は地下水に与える影響が大きいとして、候補から外れました。これで、南北案と桂川案の2つが残ったことになりますが、どちらが本命かと言えば、アクセスに優れ、地下水への影響が比較的小さい南北案です。京都までなら3案の中で一番早くできることも評価できるポイントです。しかし、南北案では京都の街中を通るので、地元の懸念があります。それを考えると、京都の中心部を通らない桂川案が採用される余地もあります。

 ともかく、後もう少しで全線できる北陸新幹線ですから、なんとしても残りの区間をつくらないといけません。「サンダーバード」は在来線特急の中では結構速いのに加え、大都市大阪を起点としているため車だと混んでいて使いづらいこと、高速道路が米原経由という遠回りをしていることから、例外的に新幹線がないにもかかわらず一定の競争力を持っています。今までのように「おらが県に新幹線を」という論理が通じないので、難しい面はありますが、国全体のためには必要な区間です。万難を排してルートを決定し、新大阪までの全線開業の道筋をつけたいものです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSDN0G4RSDNULFA001M.html)

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西九州新幹線が全線開業すると、特急はどうなるか?

 西九州新幹線が全線フル規格で開業すると、現在、長崎線を走っている特急、「リレーかもめ」、「みどり」、「かささぎ」はどうなるのでしょうか?

 当然、フル規格で開業すると、在来線特急を使っていた人の多くは新幹線に移ると考えられます。そのため、JR九州としては、長崎線の特急、「リレーかもめ」、「みどり」、「かささぎ」はそのまま維持しない方針です。佐賀に新幹線の駅ができる以上、「かささぎ」が残るかどうかは江北や肥前鹿島の利用者がどれくらいあるかによりますし、「みどり」の武雄温泉以西は特急がなくても何らかのかたちでリレー列車は求められますが。

 また、並行在来線については、バスで代替できるレベルの輸送密度ではないため、鉄道が廃止になることはありません。ただ、経営主体については不明です。輸送密度が27881人(2023年度)にもなる鳥栖-佐賀間はともかく、佐賀以西についてはJRのまま残ることが確約されているわけではないようです。これで佐賀県側が納得するかはともかくとして。
(参考:長崎新聞ホームページ https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=aaee6981e4c04c77b3ecf52d637485fc)

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北陸新幹線新大阪乗り入れの必要はあるが、新宿乗り入れの必要はない

 近いうちに北陸新幹線敦賀-新大阪間のルートが決まる予定ですが、すでに充実している反対の東京側を強化すべきと主張している人もいます。どこにつくるのかと言えば、新宿-池袋-大宮間。元々上越新幹線は新宿が起点であり、その区間が未完成だというのです。

 これができれば、東京でも西のほうは便利かもしれません。しかし、北陸新幹線を新大阪まで全線開業することに比べれば、必要性は格段に低いです。すでに東京までできあがっていて、JR東日本の線路で行くことができるからです。今後の北海道新幹線全線開業によって本数がさらに増え、東京-大宮間の走行は難しくなりますが、今のようにスピードを抑えれば詰め込むことはできます。東京-大宮間は距離が短いので、列車の追い越しは考える必要はありません。山手線のように同じスピードで走れば、在来線のように詰め込めるのです。

 反対に大阪方面はそのようにはいきません。「米原ルート」にすれば費用は節約できるかもしれませんが、乗換駅が敦賀から米原に変わるだけです。敦賀にある今ならば、臨機応変に「サンダーバード」や「つるぎ」のダイヤを変えることができます。しかし、米原だとそのようにはいきません。「つるぎ」が遅れたら、接続予定の「こだま」は時間通りに発車するだけです。東海道新幹線にとって、北陸新幹線はどうでもいい存在なのです。JR同士の利益を調整するJRホールディングスみたいな会社をつくっておくとか、6つの会社に分割するのは在来線だけにして新幹線は全国1社にするとか、あるいは東海道新幹線米原-大阪間はJR東海とJR西日本の共同経営にしておくとか、北陸新幹線長野-金沢間をつくる前に金沢-新大阪間をつくっておくとかしなかった国交省の先見のなさは非難すべき事項かもしれませんが、今となってはどうしようもありません。そういう話をすれば、根本は線路を狭軌でつくってしまった(あるいは大正時代ぐらいに改軌しなかった)こと自体が失策なのです。

 今の北陸新幹線の最大の問題は、北陸と関西が1本の列車で直通しないことです。新大阪までフル規格新幹線をつくるのが唯一の解決策です。何らかの事情でそれができなかったとしても、ベストではないですが、北陸新幹線を改造するかたちで北陸と関西の直通列車は確保しないといけません。すでに新幹線鉄道網が充実している東京に投資する暇はないのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/5b54dec5a41c10cf859d7177b206778758f447b6)

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北陸新幹線、12月に新大阪までのルートの詳細を決定へ

 北陸新幹線が敦賀まで延伸したので、残る区間は敦賀-新大阪間。ここについてはまだルートの詳細が決まっていません。

 このルートについてですが、ようやく12月に新大阪までのルートの詳細が発表されることになりました。12月8日の週に与党のプロジェクトチームでつくる委員会の中でルートを決定し、その翌週(12月15日から始まる週)に与党のプロジェクトチームとしてルートの正式な決定を行います。そのルート決定の前に、沿線の福井県、京都府、大阪府、京都市、そして営業主体のJR西日本から意見を聞きます。

 ただ、ルートを決まっていないため確定しない京都にできる駅を除いて、駅の場所やホームの構造は決まっています。新大阪は東海道・山陽新幹線の駅の南側地下20メートルのところにできます。2面4線の駅で、長さ400メートル、幅50~60メートルです。山陽新幹線との接続が考慮されています。東小浜は小浜線の駅の北西約1キロ、高さ約15メートルの高架駅です。舞鶴若狭道小浜インターチェンジに近いところです。2面2線の駅で、長さ330メートル、幅30メートルです。松井山手は学研都市線の駅の北側にでき、地下約40メートルのところです。東小浜と同じく、2面2線の駅で、長さ330メートル、幅30メートルです。
(参考:NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241120/k10014644881000.html、朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSCX46CYSCXPLFA004M.html、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20241127-OYT1T50250/)

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整備新幹線、30年定額の貸付料を見直し&駅舎の建設費をJRに負担させる

 整備新幹線は建設費がかかるため、国が税金で建設します。JR各社は国に使用料を払います。この使用料は開業時に乗客の需要予測によって決まり、30年間固定となっています。北陸新幹線高崎-金沢間の場合、年間420億円で、JR東日本とJR西日本が支払います。

 ところが、以前にも記事にしたことがありますが、本当ならもっと貸付料を高くしても良かったのです。財務省によれば、利用実績が予測を2~6割上回っていたようです。これを貸付料に反映させるなら、追加で年間176億円増やすことができたのです。4割以上高くすることができたのです。最初の整備新幹線が開業してからもうすぐ30年を迎えます。貸付料の見直しの時期です。財務省はそのときに貸付料を見直すことを考えています。また、新幹線の延伸により既開業区間の収支が改善したときには、貸付料を見直すことを考えているようです。

 財務省のこの考えはある意味正しいです。北陸新幹線が金沢まで延伸したときには、高崎-長野間の収支は改善されましたし、北海道新幹線が札幌まで開業すれば、盛岡-新青森-新函館北斗間の収支も改善されることでしょう。「根元受益」に適正に負担を課するのは、むしろ正しいです。

 しかし、これは国の負担を軽減させるのが目的ではありません。整備新幹線の費用を抑えるよりも、規模の大きい道路予算を減らしたほうが効率的です。公共事業よりも、社会保障を見直したほうが良いです。整備新幹線の貸付料を増やすのは、残っている区間を完成させる財源に充てるためです。鉄道はネットワークにならないと効果を発揮しないものであり、一部分が未完成のままだともったいないです。しかも、ライバルが多い都市間輸送でほかの交通機関に勝つためには、新幹線が必須です。在来線特急ぐらいのスピードは、車でも出せます。枝線の西九州新幹線はともかく、北陸新幹線は新大阪まで完成させないといけません。これに充てるのなら貸付料の増加は許されます。

 JRは鉄道では稼げないので、都市部を中心に関連不動産やホテルなどでも収益を上げています。財務省はこのことにも目をつけています。この関連収入についても、貸付料の算定に考慮すべきだとしています。駅舎についても、大都市では税金ではつくらず、JRが整備することも考えています。商業施設で稼ぐことができると財務省が見ています。整備新幹線の駅は、地元産品を使うなど、無駄にお金をつかっている面もあります。大都市だから問題というのではなく、駅はもっとシンプルにしても良いでしょう。

 貸付料の値上げは財務省にとって虫が良さそうな話ですが、JR側としてはメリットがあるのでしょうか? このような話を飲んでも確実に整備新幹線ができるのならば、応じる余地はあるようです。整備新幹線を潰すのではなく、整備新幹線をつくることが財務省にも求められています。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSBX33DVSBXULFA01KM.html、産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20241028-CG7H2TKZE5OQ7LL36APUWY7BJA/)

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北海道新幹線函館乗り入れはフル規格10両で東京・札幌から

 北海道新幹線の函館乗り入れについて、新たな情報が入ってきました。

 函館に乗り入れる車両は、フル規格の車両。10両編成が分割せず、そのまま東京と札幌から、函館に乗り入れます。分割併合のできる車両だと、先頭車両が増えるので、その分輸送力が減ります。分割併合作業にも時間がかかります。また、ミニ新幹線にすると、車両が小さい分輸送力が減ります。さらに、ミニ新幹線だとフル規格10両編成と扉の位置が異なることになるので、東北新幹線の駅についてもホームドアの改修が必要になります。そこで、フル規格10両編成を函館に直通することにしたのです。もっとも、札幌からの直通は道内だけの需要も大きいので問題ないでしょうが、東京から函館に直通をすると、その分札幌への直通が減ってしまいます。早朝や深夜など、札幌発着が難しい時間に絞って函館に乗り入れるのが賢明でしょう。

 なお、函館に乗り入れることによって増加する車両の費用については、函館市サイドで負担するようです。函館-新函館北斗間の距離を考えると、1~2編成程度で良いようですが、この負担をJR北海道に求めないことによって、JR北海道の態度は軟化したようです。これまでの調査により、フル規格の函館乗り入れは大きな技術的問題がないことが判明し、何とかなるようです。函館の中心部に直通ができたら便利になることは間違いないので、前向きに考えたほうが良さそうです。
(参考:マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/20240929-hakodateshinkansen/?dicbo=v2-MJ73TXt)

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函館線余市-小樽間の代替バスは1日125本

 北海道新幹線が全線開業すると、函館線長万部-小樽間はバスに転換されます。果たして、どれくらいのバスが走るのでしょうか?

 場所によって本数は大きく違いますが(一番本数の少ないところでは、1日上下合わせて8本しかないところもあります)、一番本数の多い余市-小樽間の場合、上下合わせて125本のバスが走ります。現在、鉄道では上下合わせて33本しか走っていないので、4倍近く増えることになります。

 これで済むのならありがたい話です。しかし、話には続きがあります。すでに余市-小樽間には多くのバスが走っています。上下合わせて112本も走っています。このことを考えると、鉄道廃止によって増えるバスは、たったの13本しかありません。33本の列車の代わりに走るのは、たった13本のバスなのです。今走っているバスは空席のものが結構あり、将来的には人口が減ります。2020年に11万人いる小樽市は、2050年には5.5万人に減ります。2020年で1.8万人の余市町は、2050年に0.95万人になります。鉄道やバスのメインユーザーである15~19歳の人口の減りはこれよりさらに大きいです。ですから、効率よくすれば12本のバスを増やす程度で乗りきることができると考えているようです。

 しかし、これほど多くのバスが走る路線なら、むしろ鉄道を存続させ、バスから鉄道に利用者をシフトさせることを逆に考えたほうが良いかもしれません。そこそこ利用者がいる余市-小樽間を廃止するのは早計とも言えます。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/hokkaidoshinkansendaitai2408/)

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