北陸新幹線敦賀-新大阪間は難工事の連続

 北陸新幹線が敦賀まで延びると、残る区間は敦賀-新大阪間。ここまでつくったら、何としても残りの区間を完成させたいところですが、かなりの難工事となるようです。

 実際の建設工事で何が難しいのかと言えば、新大阪付近の工事。東海道・山陽新幹線、在来線、Osaka Metro、幹線道路、ビルがある中を工事しなければなりません。また、地層が複雑で地下水対策が難しいので、施行方法の検討が必要なようです。

 また、敦賀-新大阪間は全体の8割がトンネルです。トンネルを掘ると土が出ますが、その土の一部に自然由来の重金属が含まれることがあるようです。それについて、詳細な地質の調査が必要なようです。

 課題はたくさんありますが、以前から何度も書いているように、北陸新幹線を全線フル規格でつくり、北陸と新大阪の間を直通列車が走ることが必要です。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/127970)

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北陸新幹線、2024年度も新規着工なし

 北陸新幹線金沢-敦賀間が開業すると、残る区間は敦賀-新大阪間のみ。ここが完成すると、単に東京との間が便利な新幹線から、東にも西にも便利な新幹線になります。

 この未着工区間の早期着工及び開業が待たれるところですが、なかなか着工できません。元々は2023年度初めに着工する予定でしたが、さらに着工時期が延びることになりました。2024年度には着工せず、2025年度以降となります。着工の前提となる環境影響評価に時間がかかり、トンネル掘削によって生じる残土の取り扱いや、新大阪付近の地質調査をしないといけないからです。

 このままではいけないでしょう。北陸新幹線は東海道新幹線のバイパスになり得ます。地震みたいな大災害でなくても、1か月ぐらい前の静岡での大雨クラスでも効果を発揮します。リニア中央新幹線もバイパスの候補になり得ますが、東京から大阪までこれからつくらないといけません。それに比べれば、敦賀と新大阪だけで良い北陸新幹線のほうが安上がりです。北陸新幹線は現在決まっている小浜、京都を経由するルートでそのまま完成するのがベストでしょうが、うまくいかないのなら北陸と新大阪を直通できるのならば(北陸新幹線敦賀開業時のダイヤを考えると、東京や信州と関西を結ぶ需要は少ないと見ているのでしょう)、ほかのルートでも構いません。国、沿線府県、JRさえ納得でき、場合によっては必要な補償を出すことができたら、それで構いません。必要なのは、東京と大阪を結ぶ北陸新幹線を全線開通させることなのです。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230824-OYO1T50030/)

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函館新幹線総合車両所、北海道新幹線延伸で拡張

 函館新幹線総合車両所は北海道新幹線の総合車両基地。北海道新幹線が全線開業しても、札幌には大掛かりな車両基地ができないことから、北海道新幹線の車両基地は函館がメインだということになります。そして、その函館新幹線総合車両所ですが、車両基地を拡張するようです。

 現在、函館新幹線総合車両所にはH5系3編成30両が所属していますが、北海道新幹線延伸後には、JR北海道の所有する車両の数も増えます。それに合わせて着発収容庫に線路を8本増設し、12編成を収容することができるようにします。このほか、電気・軌道総合試験車の機器類検修などを行う総合試験車線も1線新設し、保守用車庫なども増築します。

 もともと函館新幹線総合車両所は北海道新幹線札幌延伸時には拡張することを前提とした計画を組んでおり、そのための土地はすでに確保しています。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/127519)

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函館線函館-長万部間、新幹線開業後も鉄路維持へ

 整備新幹線が開業すると、これまで在来線特急が頻繁に走っていた在来線はJRから分離されます。

 これまでなら、分離された並行在来線は、第三セクターとして運行を継続します。整備新幹線の沿線はそれなりに人が住んでいるので、ローカル需要もある程度はあるからです。しかし、北海道新幹線の場合は話が違いました。あまりにも需要が少ないので、ローカル需要が見込めないのです。第三セクターで走らせると、沿線自治体は金銭の負担をしなければなりません。地元自治体の立場で考えると、鉄道の廃止を受け入れ、バスにしてコストを下げるのはある意味合理的です。

 旅客だけを考えると、新幹線アクセス需要が見込める函館-新函館北斗間(新幹線になるかも?)を除いてバスに転換するというのは妥当な考えです。しかし、貨物のことを考えると話はややこしくなります。新幹線が開業しても貨物列車は函館線を走り続けます。これをほかの交通機関で代替するのは厳しいです。国交相もこの区間を基幹鉄道区間として認識しています。

 そこで国交省、北海道、JR貨物、JR北海道の4者が協議をした結果、北海道新幹線が開業した後も函館線を維持する方向で合意しました。旅客はともかく、少なくとも貨物鉄道としては残るのです。線路などの施設維持管理費や人員確保について、これから解決しなければならない課題はありますが、とにかく鉄道が残ると言うことは喜ばしいことと言えます。と言うより、ローカル需要しかない枝線と違って、廃止を考えるべきではなかったのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/867a11c2215acb802f42c0974915efeb004a96e4)

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山口佐賀県知事、西九州新幹線フル規格も排除せず

 西九州新幹線は武雄温泉-長崎間のみが開業し、途中の新鳥栖-武雄温泉間は着工もされていません。博多と長崎を行き来するときでさえ乗り換えが必要で、しかもその解消の見込みがありません。利用者に不便を強いています。

 この未着工区間の新鳥栖-武雄温泉間は佐賀県内にあります。新規着工に進むためには、佐賀県の了承を得なければなりません。その鍵を握っている佐賀県ですが、6月15日に開会した佐賀県議会において、山口佐賀県知事は西九州新幹線についての議論を進めていくとの発言を行いました。フル規格新幹線も排除しないとのことです。

 佐賀県(と言うより佐賀市)の立場で言えば、現状維持がお金もかからず良いかもしれませんが、全体的な見地で見れば、フル規格新幹線を整備するのが最も望ましいことは明らかです。何とかフル規格新幹線が実現する方向に持っていきたいです。
(参考:毎日jp https://mainichi.jp/articles/20230616/k00/00m/010/050000c)

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川勝静岡県知事、リニア松本経由を提案

 2027年に品川-名古屋間が開業する予定だったリニア中央新幹線。静岡県内の着工ができないため、その見込みが立っていません。

 その静岡県ですが、川勝静岡県知事が非公式ですが、妙な案を出してきたのです。品川-名古屋間を先行開業するのを止めて、品川-名古屋-大阪間を一気に開業させるというのです。いったん名古屋まで開業するというJR東海の思惑とは違いますが、大阪まで一気に開業させることによって最終的には不要になる名古屋での大規模な乗り換え設備が不要になるというメリットがあります。

 そして、もうひとつの案も出しています。甲府-中津川間のルートを大幅に変えるのです。飯田ではなく、松本にするのです。リニアを少しずらすだけでも開業が10年遅れるのですが、松本まで大きくずらすとルートの大幅な変更になり、今までの議論を完全にひっくり返します。リニアは一直線に結ぶから採算が取れるのであって、以前にも記事にしたように松本まで遠回りにすると採算が悪化します。南アルプスをトンネルで掘ることができないなどの理由がない限り、ルートを変えるにしても静岡県をギリギリ通らないようにする程度の小幅なものにしたほうが良いでしょう。

 もっとも、川勝静岡県知事がこのような大幅なルート変更案を出していないという報道もあり、真偽のほどは定かではありません。ただ、周りが振り回されていることは確実のようです。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20230602-GIVW3HLOPNJULICS56KFYBWOXI/、中日BiZナビ https://biz.chunichi.co.jp/news/article/10/64063/)

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後藤田徳島県知事も瀬戸大橋経由での新幹線建設を支持

 今のところ新幹線がない四国ですが、新幹線の構想があります。四国新幹線です。

 この四国新幹線をどこから引っ張ってくるかについては、2つのルートがあります。ひとつは岡山で分岐して、瀬戸大橋を経由するルート。そしてもうひとつは淡路島を経由して四国に入るルートです。

 これまで、徳島県は淡路島経由を支持していたのですが、後藤田徳島県知事は6日の四国4県知事会議で、ほかの県と同じように瀬戸大橋を経由するルートで新幹線をつくることを支持しました。本州と淡路島の間は鉄道が通ることのできる橋はありませんが、瀬戸大橋はすでに新幹線が走ることを前提に橋がつくられています。瀬戸大橋経由ならその分、簡単に新幹線ができるのです。また後藤田徳島県知事は、4県の考えが揃わないことで、新幹線ができないことを危惧したのです。赤字の在来線を維持するために、新幹線をつくって稼いでもらわないといけないのです。

 単純に徳島県だけの事情を考えたら、淡路島経由のほうが良いでしょう。瀬戸大橋経由だと遠回りで、時間がかかってしまいます。お金もその分かかります。メリットが薄いことは分かっているのですが、四国全体のことを考えてのことでしょう。具体的には挙げませんが、足を引っ張っている、どこかの都道府県とは違います。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20230606-LJ3KINL66BOTZFOKYY2HKPW6H4/)

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北陸新幹線における京都府のメリット

 北陸新幹線が2024年春に敦賀まで延びると、残る区間は敦賀-新大阪間のみとなります。ここまで来たら残りもつくって完成させたいところですが、なかなかうまくいきません。京都府内での環境アセスメントが遅れているので、着工ができないのです。

 京都府としては新幹線をつくることによるメリットが小さいとのことですが、駅が亀岡にしかできないのならともかく、京都駅に併設されるのですから、メリットは十分あるでしょう。おまけに松井山手にも新幹線の駅ができます。メリットは十分にあるのであり、本来なら恩恵のある京都府や京都市がお金を出して、環境対策を行うものでしょう。

 とは言っても、この原則にこだわって新幹線ができないのは大問題です。敦賀と新大阪の間がフル規格でできて、北陸と関西の間を直通することができたらそれでいいのです。ただ、今までの経緯がありますから、これまでの「小浜-京都ルート」を変えることによって大きな損失を被るところが出たら、それなりの補償はしないといけないでしょう。

 地震のような大災害でなくても、1週間前(6月3日)のように東海道新幹線が大雨で運休すれば、北陸新幹線に迂回する乗客が出てきます。金沢までしか開業していない時点でもこうですから、新幹線の区間が増えれば効果はさらに高まります。ガラガラの新幹線を走らせることはありませんが、平時には北陸に行く人の輸送を担い、有事には東海道新幹線の代替を果たすことが求められます。北陸新幹線はそれができる新幹線なのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/c95d07ae19a02249efadb6756f0817513f850020、https://news.yahoo.co.jp/articles/3c9b5fd5b442ee326d72cc5f84bd83060bb69cce)

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近鉄奈良線の移設、凍結か?

 今から37年後の2060年にできるという近鉄奈良線の移設計画。ずいぶん気の遠い話ですが、消えることになりました。

 なぜかと言えば、4月の奈良県知事選で知事が替わったからです。これまで荒井氏が4期16年県知事を務めてきましたが、今回の選挙で当選したのは維新の山下氏。これまでの荒井奈良県知事が進めてきた事業を見直しているのですが、その見直しの対象になっているもののひとつが、近鉄奈良線の移設計画です。事業の必要性や費用対効果の検討が不十分なので、2023年度予算の執行を止めるのです。

 このほか、関西空港への鉄道網整備についても予算の執行を止めます。近鉄奈良線の移設はともかく、こちらは元々何の意味があるのかわからなかったですから(わざわざ奈良からの鉄道をつくる必要はない)、見直しは必然とも言えるでしょう。関西広域連合の全面加入も行い、府知事、市長ともに維新が占めている大阪との歩調を合わせます。
(参考:共同通信ホームページ https://nordot.app/1026147448404934656?c=996030135055417344)

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新幹線函館乗り入れに関する補足

 大泉函館市長の公約である、北海道新幹線の函館乗り入れ。この補足です。

 まず、新幹線の軌間は1435ミリであるのに対して、在来線は1067ミリ。どうやって新幹線の車両を走らせるのかと言えば、三線軌条にするのです。在来線の線路の外側にレールを追加し、新幹線も在来線も走ることができるようにします。函館-新函館北斗間のうち函館-七飯間は複線ですので、工事期間中でも在来線の運行は何とかなりそうです。新幹線の車両は在来線より重たいのですが、函館線は貨物列車用の重たい機関車に対応していますから、問題はないようです。また三線軌条のため新幹線の車両は在来線の車両とずれますが、北海道の線路は除雪を考慮して広めにつくっています。駅のホームを除いて、支障となるものはないようです。さらに言えば、函館の駅は、フル規格新幹線が来てもいいようにつくられているようです。なお、新幹線から在来線への乗り入れは、北海道新幹線の車両基地を通って行います。

 三線軌道になるのは東側だけです。距離が短いので新幹線同士がすれ違うことはなく、交換設備なしの単線で足りるとしています(1か所ぐらい交換設備があったほうが良いような気はしますが)。西側は狭軌のままなので、狭軌のほうは複線扱いとなります。また現在、電化されている函館-新函館北斗間で電車が走るのは、「はこだてライナー」のみです。しかし、新幹線が函館に乗り入れると、「はこだてライナー」はその役割を終えてなくなります。新幹線しか電車はないので、狭軌のほうの電化設備は撤去します。在来線のローカル輸送はディーゼルカーで賄い、「はこだてライナー」用の車両は札幌で使います。

 以前にも書きましたが、函館-新函館北斗間をフル規格にすると1000億円かかりますが、ミニ新幹線なら75億円で済みます。また、ミニ新幹線の建設にかかった費用は30年間で回収することができます。電化の廃止により在来線電車が不要になること(初期投資の車両費や運行経費が減ります)、国からの補助金、新幹線利用者からの加算運賃などにより回収することができるようです。
(参考:マイナビニュース https://news.mynavi.jp/article/20230503-shinkansenhakodate/)

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