鳥になった気分で関門海峡を飛ぶ?

 関門海峡には橋もトンネルもあり、いろいろな手段で行くことができます。中にはトンネルで歩いて行くこともできます。

 そんな関門海峡ですが、空を渡るものが計画されています。計画しているのは下関市にあるレジャー施設の管理運営会社、ケイエムアドベンチャー。関門海峡にワイヤロープを渡して、滑り降りるのです。標高268メートルの下関の火の山公園と標高70メートルの北九州の和布刈公園との間をつなぎ、最高速度110キロで関門海峡を渡ります。所要時間はたった90秒です。利用料金は28000円を予定しています。実現すれば、全長1740メートルで、日本一の長さとなります。鳥になった気分で関門海峡を渡ることができ、愛好家などがやってくると見込まれています。下関、北九州の両市も観光客が見込めるとして支援を考えています。

 このジップラインは2025年春の開業を目指していますが、いろいろ難しい面もあります。関門海峡は外国船も行き交う国際航路であるので、海上保安部など10以上の許認可が必要になります。両端の鉄塔やワイヤに十分な強さを持たせる必要があり、船の航行を妨げないように建設作業にも注意を払う必要があります。事業費も約15億円かかるとされています。金融機関からの借り入れのほか、クラウドファンディングで調達することも考えているようです。
(参考:西日本新聞ホームページ https://nordot.app/1071963626461692560?c=996030135055417344)

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「青春18きっぷ」でも宮島に行くと税金?

 以前、記事にしたこともある宮島に入るときの税金ですが、実現することになりました。

 この税金は宮島訪問税という名前で、10月1日から課税されます。宮島町の住民、未就学児、高校までの児童・生徒で学校行事として入島するとき、障害者などを除いて、課税されます。金額は1回100円で、1年分(500円)を前払いすることもできます。自分の船で宮島に入らない限り(この場合は自分で納付します)、フェリー会社などが運賃等と合わせて徴収し、廿日市市に納めます。ですから、基本的に納めるのはJR西日本宮島フェリーと宮島松大汽船ということになります。同じ10月1日からは運賃が180円から200円に上がりますので、行きは宮島訪問税を含めて300円、帰りは200円を払うことになります。

 それでは、「青春18きっぷ」のようなフリー切符だとどうするのでしょうか? この場合、宮島訪問税分は現地で支払う必要があります。宮島口の桟橋で宮島訪問税だけの切符(100円)を買います。改札(自動改札は使えず、有人の改札を通ります)では「青春18きっぷ」を呈示し、係員に宮島訪問税だけの切符を渡します。現に、10月7日から22日の間に使える「秋の乗り放題パス」では、宮島訪問税が別途かかることが明記されています。
(参考:廿日市市ホームページ https://www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp/soshiki/110/59551.html、JR西日本宮島フェリーホームページ https://jr-miyajimaferry.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/d6c64d323e7d1f4fc214c57a22485ed8.pdf、宮島松大汽船ホームページ https://drive.google.com/file/d/1n1iVxhp71pCT9guOgp_cMaKECabv80rn/view?pli=1、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/127857、JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230829_00_press_norihodai.pdf)

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大鳴門橋の下に自転車道

 淡路島と徳島とを結ぶ大鳴門橋は、もともと道路の下に新幹線が走る予定でした。しかし、残念なことに鉄道は開通せず(これができたら四国への鉄道がかなり便利になっていたでしょうが)、一部を渦潮観光の遊歩道として使っています。

 この鉄道部分ですが、以前にも書きましたが、自転車道として整備されることになりました。道路の真下に歩行者や自転車が通ることのできる幅4メートルの道をつくります。総事業費は58億円で、兵庫県と徳島県がほぼ半分ずつ負担します。

 本州四国連絡高速道路会社によれば、自転車道を整備しても重量の面での問題はないようです。渦潮観光の展望室があるところは道が狭いので、そこは自転車を押して歩くことになるようです。料金については未定です。

 この自転車道、早ければ2027年度に完成する見込みです。なお、大鳴門橋に新幹線を通すことになった場合は、自転車道は撤去されます。あくまでも暫定的な扱いなので、やむを得ないことでしょう。
(参考:朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASQBS7531QBSPTLC00P.html、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20221102/8020016047.html)

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中国山地のローカル線に乗る(3)

 倉敷5:43発の西出雲行きに乗る。伯備線の列車は岡山方面から直通するのがほとんどで、倉敷始発は珍しい。西出雲行きは115系2両編成。ワンマンである。早朝なので座ることができると思ったいたら、セミクロスシートが災いして、座ることができず。これから朝を食べるので、相席にはしたくなかったのだ。総社で開いているボックスシートを見つけたが、ほかの人も座ってきたので、食べることができず。途中の駅から、ワンマン列車のはずなのに、車掌が乗ってきた。「ICOCA」が使える区間なので、ワンマンでもそうでなくても全ての扉から乗り降りできることには変わりがない。備中高梁で大半の客が降りて、ガラガラになる。相席の人も降りて、ようやく朝食を食べることができる。その後も乗客は増えることなく、新見に到着。車掌もここで降りる。

 昨日は新見から芸備線に乗ったが、今日は姫新線に乗ることにする。7:04発の東城行きを見送り、7:18発の津山行きに乗る。同じキハ120だが、芸備線は1両、そしてこちらの姫新線は2両。後ろの車両に乗ったが、私以外誰も乗ってこない。朝霧の中を列車は走る。ガラガラの列車に乗ってきたのは、3駅過ぎた刑部。この駅から高校生が乗ってくる。ほかの駅でも乗ってくるが、中国勝山で大量に降りる。ただ、中国勝山で降りずに残っているのもいるし、逆にここから乗るのもいる。完全に高校生がいなくなったのは美作落合。ここにも高校があるようだ。津山の扇形機関庫を博物館にしたものが、「津山まなびの鉄道館」。機関庫は駅と反対側にあり、ぐるっと回らないといけないので、歩くと10分ほどかかる。博物館の入館料は310円だが、駅に置いてあったチラシを持って行くと、団体割引と同額の240円になった。ちょうど小学生の団体(遠足?)が来ていて、かなり賑わっていた。

 同じ道を歩いて駅に戻り、片上鉄道に乗りに行ったときに乗り残した区間に乗る。そのときは林野から乗ったので、そこまで乗れば良い。津山9:56発の佐用行きに乗り、林野で下車。しかし折り返しの列車は当分来ないし、並行して走るバスもない。ここで出ているのが高速バス。姫新線の北に中国道が走っており、そこを走る「中国ハイウェイバス」を使って津山に戻るのだ。国鉄時代から走っているバスなので、一部区間を除いては短距離の利用もできる。「中国ハイウェイバス」は美作インターに停まる。林野から2キロほどのところにあるが、津山駅行きのバスの発車時間は10:36、16分で着かないといけない。事前に津山のコインロッカーに荷物を入れておいたので身ひとつで走る。発車時刻の3分前にバス停に着いた。なお、林野にはタクシーも停まっているので、走るのが苦手ならそれを使っても良い。ところが、走ってきたにもかかわらず、バスは定刻に来ない。大阪からの高速バスなので少々の遅れはしかたのないことだが、事前に分かっていればここまで走ることはなかったのだ。バスは10分ほど遅れてやってきた。「ICOCA」が使えるので、ICカードリーダーにタッチして空いている席に座る。バスは遅れを取り戻すべく走ったが、津山市内も渋滞していて、遅れを取り戻すことができないまま津山駅に着いた。

 津山で昼にしようと思ったが、時間の余裕がなかったので、そのまま11:35発の智頭行きに乗る。キハ120の1両編成だが、こちらもテスト期間中なのか、高校生が乗っている。25人ぐらい乗っていたか? 智頭行きが発車した。高校生は途中の駅で降りていき、県境を越えたのは7~8人ぐらい。智頭で乗り換え。智頭からはキハ47かと思っていたら、見慣れない車両がやって来た。智頭急行の車両だ。智頭急行からの直通でもないので不思議だが、とりあえず乗ることにする。智頭12:56発はセミクロスシートの2両編成、このまま鳥取まで行く。(続く)

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中国山地のローカル線に乗る(0)

 休みが取れたので、「秋の乗り放題パス」を持って、10月14日と15日に乗りに出かけました。今回乗ったのは、中国山地のローカル線です。どのような旅になるのでしょうか?

 明日から何回かに分けて、そのときの様子を書いていきます。

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大鳴門橋に自転車道

 大鳴門橋は淡路島と四国とを結ぶ全長1629メートルの吊り橋。上下2層構造になっていて、上は車道となっています。下は新幹線を通すことができるようになっていますが、本州と淡路島とを結ぶ明石海峡大橋が鉄道に対応していないため、活用することができません。

 そこで出てきた話が、空いている橋の下部に自転車の専用道をつくり、そこに自転車を通す案。兵庫県は2018年5月から徳島県と共同で、橋の下部に自転車道をつくったときの安全性についての調査を行いました。自転車道は幅4メートルでアスファルト塗装をします。両側には高さ2.5メートルの防護柵を取り付けます。鳴門海峡は風が強いので、精密な模型をつくって実験を行いました。その結果、設計風速の1.2倍に当たる秒速87メートルの暴風が吹いても、橋の破壊を起こすような振動はなかったようです。アスファルトなどを敷くことによる重量増加があっても強度に影響しないようです。

 兵庫県は2019年度から自転車道の敷設に向けて設計を行います。これが完成すれば淡路島と四国とは自転車で行き来することができますが、明石海峡大橋を自転車で通ることができない以上、本州と淡路島との間は自転車で行き来することはできません(船を使わないといけません)。

(追記)
 10月1日からは、南あわじ市と鳴門市が共同で、高速バス(淡路交通)のトランクに自転車を載せるサービスを始めます。自転車を載せるサービスを行うのは、淡路島南インターチェンジから小鳴門橋バス停の間。660円の運賃だけで利用できます。バスは平日7便、休日6便を運行し、1便当たりトランクに3台、輪行袋に入れた自転車4台の合わせて7台を運ぶことができます。

 このサービスは半年間続け(その後も続ける予定です)、その費用として南あわじ市、鳴門市は合わせて約15万円を払います。トランクの一部を借りる代金です。
(参考:神戸新聞NEXT https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/0012733369.shtml、https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/201910/0012751635.shtml)

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阿波池田に簡易宿所

 インバウンド需要は東京、大阪、京都などといった大都会だけではなく、地方にも影響を与えています。そこに目を付けたのがJR四国。JR四国はすでに京都市内において簡易宿所事業を行っていますが、阿波池田でも簡易宿所事業を行うこととなりました。阿波池田は観光地として知られた祖谷、大歩危の玄関口で、インバウンド需要が見込めるのです。

 簡易宿所の名称は、「4S STAY 阿波池田駅前(仮称)」。阿波池田駅から約100メートル、徒歩2分のところにあります。商店街の空き店舗(寿司屋)を3000万円かけて改装して簡易宿所とするのです(建物所有者とは賃貸借契約を結びます)。3階建ての建物で、1階の一部と2階は宿泊エリアで、20人が宿泊できます(4人部屋が5室あります)。2人利用で1泊8000円程度の予定です。1階の飲食エリアでは、宿泊者に朝食を出すとともに、地元の人がランチや夕食を食べることもできます。飲食エリアには、鉄道会社らしく、鉄道車両の座席などがある特設コーナーを設置する予定です。稼働率は冬場に落ち込むことも考慮して55%とし(京都のほうは開業3か月での数字ですが、稼働率は7割強です)、年間売り上げは1200万円を見込んでいます。

 「4S STAY 阿波池田駅前(仮称)」の開業予定は11月。JR四国が旅館業法における簡易宿泊業許可を取得しますが、実際に運営を行うのはJR四国ではなく、すでに三好市内において民泊及び飲食施設を有している会社に委託する予定です。今後JR四国は、阿波池田でさらに拡充させるとともに、ほかの地域でも簡易宿所事業を展開する予定です。

(追記)
 2018年11月に開業した「4S STAY 阿波池田駅前」は好評で(2019年4~9月の客室稼働率は57%でした)、近隣に2号店を開設することになりました。阿波池田駅から徒歩10分のところにできる2号店は、「4S STAY 阿波池田 本町通り」と言い、2020年4月下旬ごろに開業する予定です。
(参考:JR四国ホームぺージ http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2018%2007%2030%2002.pdf、www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2019%2010%2028%2001.pdf、日本経済新聞ホームぺージ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33630820R30C18A7LA0000/、徳島新聞ホームぺージ http://www.topics.or.jp/articles/-/80504)

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岡山へ新春散歩(2)

 駅の目の前が小豆島へのフェリー乗り場である日生の名物は、カキオコ。牡蠣の入ったお好み焼きだ。カキオコを出す店は何軒かあるが、駅からすぐ近くの店にする。線路をくぐってすぐ左、歩いて2、3分のところだ。ちょうど駅の北側にある。開店は11時なので、少し駅のあたりを散歩して、店の前で待つ。何組か待っている人がいた。

 開店時間になり、店に入る。カウンターが8席ほどと座敷が3つだけの小さな店で、20人も入ることができない。開店時間に来ていた人は入ることができたが、少し遅れてきた人は店の外で待たされる。注文は店に入る前に取っていて、カキオコなどを焼いている。お好み焼きのつくりかたは、どちらかと言えば広島風である。私はカキオコのほか、漁師焼(牡蠣とネギを炒めたもの)を頼んでいたが、席の前に焼き牡蠣(蒸し牡蠣かも?)が5個ある。先着10人限りのプレゼントで、1グループにつき5個もらえるのだ。私はひとりで来たので、5個とも食べることができた。その後、漁師焼、カキオコの順にできあがり、冬の海の幸をお腹いっぱい楽しむことができた。

 カキオコの店に並ばなくても済んだので、予定していた列車よりも1本早い、日生11:54発の播州赤穂行きに乗ることができた。この列車も115系だが、2両編成と短い。しかも、後ろの車両は元々中間車だったのを改造して制御車にしたものである。その証拠に、先頭の顔が切妻になっている。後ろの車両に座っていると、ワンマン列車に不慣れなのか、無人駅に着いてから最寄りの扉が開かないのに気付き、慌てて先頭車の開いている扉(本来は乗車用)から降りる客がいた。播州赤穂で姫路行きに乗り換え。向かいに停まっていて、乗り換えはスムーズ。4両編成とまだまだ短いものの、車両が223系になって、アーバンネットワークに入ったことを実感させられる。

 姫路で山陽電鉄に乗り換え。山陽姫路から枝線の山陽網干に寄って、東に向かう。山陽垂水で直通特急から普通に乗り換え、須磨浦公園で降りる。カキオコの店を早く出ることによって生まれた時間で、須磨浦公園だけにある国内ただひとつの乗り物、カーレーターに乗ることにする。NHKの「ブラタモリ」で紹介された、あのカーレーターだ。カーレーター乗り場へはロープウェイに乗る必要があるが、ロープウェイとカーレーターなどのセット券が駅のすぐ隣で売られている。JAFの会員証を見せると、定価の2割引、1040円で買うことができた。ロープウェイは15分間隔だが、乗り場を探しているうちに14:30発が出てしまい、次の14:45発に乗る。私のほかはカップルだけの3人で発車した。

 ロープウェイを降りて左に行けば、カーレーター乗り場。カーレーターとは、ベルトコンベアにいくつかあるかごみたいなもの(かなり小さく、窮屈である)に乗って斜面を登り降りする乗り物である。途中の斜面の部分は問題ないが、そこに入るまでは乗り心地が悪く、衝撃が伝わる。もっとも、カーレーターはここだけにしかないので、この乗り心地の悪さを逆に売りにしている。スキー場にあるリフトと同じようにかごは動いてくるので、タイミングを見計らって乗る。最初はゴツゴツとした振動が体に伝わるが、真ん中の斜面はそういうものはなく、快適。やがて再び乗り心地が悪くなって、上の駅にたどり着いた。上の駅のすぐ近くの建物からの展望を楽しんだ後、再びカーレーター、ロープウェイに乗って須磨浦公園に戻り、山陽、神戸高速、阪神、近鉄経由で名古屋に戻った。

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岡山へ新春散歩(0)

 1月5日の深夜から6日にかけて岡山に行ってきました。お昼は冬の瀬戸内ならではのものを食べてきました。

 明日、2回に分けて、そのときの様子を書いていきます。

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中国地方のローカル線の現状を見る(3)

 3日目の15日は米子駅6:00発のバスで広島に行く。日本交通のバスで、夜行仕様の3列シート。10人ほどが乗っている。広島までの通常運賃は3900円(大塚駅までなら3800円)だが、「WEB片道割引」が適用されたので2500円で済む。1日目とは逆に米子駅から山陰道に向かうが、最寄りの米子中インターチェンジには西側への入口がないので、山陰道に沿って西に走り、次の米子西インターチェンジから高速道路に入る。山陰道、松江道、中国道と2時間弱走り続け、ようやく江の川パーキングエリアで10分間の休憩をとる。かなり広島に近づいたところで休憩をとるのは、松江道の休憩施設が乏しいからなのか? とは言っても、江の川パーキングエリアはトイレと自販機しかない(売店は短時間のみの営業)。広島道広島西風新都インターチェンジで高速道路を出て、物を落としたらどこまでも転がっていきそうな坂を下り、谷底にあたる大塚駅で下車。所定より15分ほど早く到着した。

 高速バス停留所の大塚駅は、アストラムの駅が近くにあるが、もうひとつ先が終点の広域公園前なので、そこまで歩く。10分余り歩いて到着。バスが予定よりも早く着いたため、アストラムは予定より2本早い広域公園前9:10発に乗ることができた。アストラムは新交通システムの長所である、勾配への強さを武器に坂を降りていく。広域公園前を出た時点ではガラガラだったが、中心部に向かうのでだんだん乗ってくる。アストラムは広域公園前を出てからずっと高架を走っていたが、新白島で地下に潜る。JRとの接続駅でもある、その新白島からは各駅ごとに降りていき、県庁前でごそっと降りた。

 終点の本通で階段を上がるとバス停がある。目の前をバスや路面電車がひっきりなしに通る。広島から呉には鉄道のほか、高速バスもある。広島の中心部から発着し、日中でも1時間に3本ある。米子からの高速バスが予定よりも早く着いたので、呉へのバスも予定より早くなり、本通り9:57発に乗ることができた。この呉へのバスは広島電鉄と中国ジェイアールバスの共同運行だが、乗ったのはジェイアール中国バス。観光バスタイプでトイレはない。ICカードは使える。広島市内でこまめに停まって客を乗せるが、中心部以外では乗るのはなく、10人弱で呉に向かう。バスは広島呉道路を通り、長いトンネルを抜けたらいきなり呉市街が現れる。40分ほどで呉駅前に到着した。

 呉は戦前、海軍の拠点として栄え、今も海上自衛隊のあるところである。ショッピングセンターを抜けて、「てつのくじら館」(海上自衛隊呉史料館)に行く。何を展示しているか、予備知識なしに訪れたが、掃海(機雷)除去と潜水艦についての博物館だった。かつて使われていた潜水艦(「あきしお」)が展示され、見ることができる。「てつのくじら館」を出たらちょうどお昼になったので、呉に因んだ料理としてカレーにする。海上自衛隊でも使われている鉄板の食器にカレーのほか、鯨のカツ、肉じゃがなどが載っていた。海上自衛隊の艦船のを再現したものらしい。スタンプラリーもやっていて、訪れた店の数に応じて景品がもらえる。昼からは「大和ミュージアム」(呉市海事歴史科学館)に行く。映画のためにつくられた大和の1/10の模型のほか、呉が海軍の拠点として選ばれてからの歴史を詳しく紹介している。1時間半あれば企画展も含めて十分見ることができると思っていたら、思ったよりも時間がかかり、後半は急ぎ足。というより、正直言ってちらっと見ただけ。かなり時間に余裕を持たせたほうがよいだろう。

 呉駅に戻り、今度はJRで行く。呉線の日中のダイヤは、快速が1時間に2本、普通が1本という珍しいもの。快速のほうが多いのだ。呉15:14発の快速「安芸路ライナー」に乗る。広始発で、227系の3両編成。意外なことにワンマン運転である。広島近郊は「ICOCA」が使えるので、運転士は集札をしなくてよい。第一、運賃箱すらない。都市型のワンマンなのだ。呉を出た時点で座席がほぼ埋まり、立っている人もいる。呉線は本数が多いのに、単線である。ところどころで交換待ちもある。複線が望ましいが、線路が海と山に挟まれ余裕がないのだろう。途中の停車駅で乗ってくる人がいるが、海田市で降りる人がいる。海田市で降りるのか、後続の普通に乗るのか、乗り換えなのかはわからない。

 広島から乗ったのは、16:01発の緑井行き。227系の2両編成。こちらはワンマンではない。芸備線からの接続を取り、2分ほど遅れて出発。その後も接続待ちや交換待ちで、遅れは増えていく。新白島や横川で増え、ドア付近はかなり混む。しかし、座席のあたりまで入って立つ人はいない。奥まで入って来ないのだ。クロスシートによく見られるものだが、ロングシートでも奥に入らない現象はあるので、座席を減らして扉付近の立席を増やすのが最善というべきか。可部線に入ると、各駅で降りていく。それにしても可部線はJRらしくない。家が線路の近くまで迫り、駅はコンパクト、構内踏切もたくさんある。元々が私鉄だったので当然と言えばそうなのだが、227系のような転換クロスシートではなく、トイレなしのロングシートのほうが似合う。もっとも、そのロングシートを可部線に限定せず、ある程度の距離を走るほかの線区にも使ってしまう危険性があるので、万能の227系のほうが問題なく使えるのであろう。各駅で降りていったので、緑井に着いたときにはガラガラになっていた。終点のあき亀山に行くのが可部線に乗った目的なので、後続の緑井16:37発に乗る。115系の4両編成で、黄色に塗られている。国鉄型車両だが後期の2000番台で、座席はセミクロスシートから転換クロスシートに変えられている。外観はともかく、中身はリニューアルされている。こちらは終点まで行くので、緑井止まりよりは混んでいる。可部からは3月に復活した区間。2駅間をゆっくりと走り、あき亀山に16:59に到着。これで未乗区間はなくなった。

 あき亀山は自動券売機と自動改札があるだけの無人駅。駐輪場と送迎用スペースがあるだけで、店の類は全くない。バスも乗り入れず、駅の近くの人しか利用できない。少し前に記事にしたが、延伸区間の利用者数が想定を下回っている。この状況ではやむを得ないところか。再び乗ってきた列車で折り返すのはおもしろくないので、可部まで歩くことにする。近道をしようとして住宅地に迷い込むこともあったが、25分ほどで可部に到着した。(続く)

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